臨床心理士 ロールシャッハ:H15-47

2019年11月19日火曜日

エクスナー法の解釈を問うた内容の2つ目です。
今回は「思考の側面を推測した」ということですね。
詳しい記号の解釈等を交えつつ、解説していきます。



A.現実検討力が歪んでいて、物事を客観的に判断できない。

エクスナー法において現実検討力の検証を行う場合は、X-%やX+%を見ていくことが重要になります。

クライエントはX-%(FQ-/R)=10%です。
X-%はFQ-の割合になりますから、ざっくりといえば、質が良くない反応がどのくらいあるのか、という指標になります。
つまり、健康な人ほどこの反応は少なくなるのが一般的であり、この期待値は0.15未満とされます。
クライエントはこの中に納まっているので、認知的媒介の機能の低下はたいていの人よりも起こりにくいと判断できます。

また、X+%(FQ+とo/R)=76%となっています。
X+%はX-%の逆で、質の良い反応の割合を刺しており、期待値は0.70~0.85です。
クライエントはこの期待値に収まっているので、社会的要求や期待に一致した行動をとる傾向がかなりあることを示しています。

ついでに、エクスナー法には存在しない記号としてF+%が記述されており、この値が71%であることからも現実検討力の低下はないと見て良いでしょう。
以上より、本選択肢の内容は正しくないと考えられるので×となります。



B.思考の構えや価値観を変えにくく、可塑性の欠如が目立つ。

エクスナー法において「思考の構えや価値観」の変わりにくさの検討では、a:pを参考にすることが求められます。
aはアクティブの頭文字で、pはパッシブの頭文字ですから、それぞれ能動的・受動的という意味になります。
エクスナー法では、運動反応にaもしくはpを必ずコードすることが決まっています。
つまり、aやpは運動反応の中身のニュアンスを決定づけるものと言えます。
運動反応は思考を司る反応と言えますから、そのニュアンスということになりますね。

エクスナー法においてa:pは態度や価値観がどれほど変わりにくいかを扱い、それが概念化の過程にどれほど影響するのかを見るものです。
a<pの場合で、より態度や価値観が変わりにくいという解釈が採用されます。
態度や価値観が非常に変わりにくいと、他の人では十分考慮に入れるかもしれない概念化の範囲を自ずと狭めてしまうことになります。
態度や価値観が変わりにくいほど、その態度や問題に関連する事柄を扱うときのその人の思考は柔軟性のないものとなります。
思考に柔軟性がないと、与えられた問題について色々な概念的な選択肢を考えるのが億劫になったり、或いはできなくなったりして、比較的狭い、凝り固まった概念の枠組みの中でしか考えようとしなくなります。

なお、この解釈はa+p=4以上のときにのみ行われます。
事例はa:p=1:5であり、この場合、その人の思考の構えや価値観は変わりにくく、柔軟性がないと結論することになります。
このような人は、態度や意見を変えたり、自分の見方と異なる見方をすることが非常に困難であると言えるでしょう。
以上より、本選択肢の内容は正しいと考えられるので○と判断できます。



C.思考をしているとき、他のことが浮かび、注意を集中させにくい。

エクスナー法において「注意の集中」のしにくさの検証ではFM+mを参考にします。
これらの変数は意識的な注意の中心からそれた精神活動に関連しています。
この精神活動は、欲求体験(FM)や、外部からの要請を敏感に感知すること(m)によって日常的に発生します。
この辺縁の思考形式は、誰にでもある当たり前のもので、警戒刺激として価値があり、注意をそらしたり、注意の向きを変えたりする働きをしますが、この辺縁の思考が頻繁にまた強烈に注意の中心に割り込んでくると、意図的で概念的な思考が混乱することになります。
そうなると、本来警戒機能として役立つはずの、誰にでもある当たり前の心理活動が、注意散漫を引き起こすものになってしまうことになります。

少しわかりづらいかもしれませんが、FM+mが「裏の体験型」の左辺であることを踏まえて解説し直しましょう。
体験型も裏の体験型も、意志決定においてどういった基準を大切にするか、という点を検証する指標です(すごくざっくりと言えば、ですよ)。
裏の体験型は無意識レベルの意志決定の方向性というイメージで、それが上記の説明の中での「辺縁の思考形式」ということの意味になります。
簡単に言えば、FM+mはそういう自分が意識していないレベルでの思考の動き、という感じでしょうか。
ですから、これが強すぎたりすると、考えたくないのに思考が浮かんじゃう、という感じの反応が出やすいということになるわけです。

事例はFM+m=3であり、これは平均値の範囲内(3~6)です。
よって、注意の集中を阻害するような思考が存在することはないものと思われます。
ちなみにFM+m>6であるなら、内的欲求状態によって辺縁の精神活動はかなり高まっていると解釈します。
またFMが0もしくは1ならば、自分の本音がわからない場合が多いともされていますね。
いずれにせよ、本選択肢の内容は誤りと言えますから×と判断できます。



D.悲観的な構えによる思考をしやすい。

「悲観的な構えによる思考」の判断はMORを参考にします。
MORは片口法の逸脱言語反応の一つである、ズタズタ反応に類するものです。
「○○がボロボロになっています」「ぐちゃぐちゃになっています」などの反応でコードされるものです。

自己知覚のクラスターの解釈では、MOR反応が1を超える場合は、被検者はネガティブな特徴あるいは損傷感を伴う自己イメージを持っていることが多いとされます。
原因が何であれ、こうした特性がもたらす影響は長く続きやすく、その影響力が大きければ大きいほど、自分に対する悲観的な見方も強まるわけです。

しかし、思考のクラスターの解釈では、「MORが3以上であれば、概念思考は悲観的な構えが目立ったものとなる」とされています(本問の条件は思考の側面とあるので、こちらを見るのが適切なはず)。
クライエントはMOR=2ですから該当するとは言えないのですが、正答は○となっています。
この辺に明らかな矛盾があるので、本来ならこの選択肢によって本問は不適切問題と認定されて然るべきなはずです。

とは言え、MORが2個あるだけでもそれなりに悲観的な構えによる思考が生じると言えるでしょうし、ネガティブな自己内省を示すVも1つ見受けられます。
総合的に判断すれば、悲観的な構えによる思考をしやすいと見なしてよいとは思います。

以上より、本選択肢の内容は正しいと言えますから○と判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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