公認心理師 2019-83

2019年09月12日木曜日

問83はホルモンと関連が深い視床下部-下垂体系に関する問題です。
ホルモンに関しては過去にも必ず出題されている内容ですね。

問83 視床下部-下垂体系の解剖と生理について、正しいものを1つ選べ。
①視床下部のニューロンの一部は下垂体前葉に軸索を送る。
②視床下部は下垂体後葉ホルモンの分泌を制御するホルモンを産生する。
③視床下部で産生されたホルモンは下垂体門脈によって下垂体に運搬される。
④視床下部から分泌されるソマトスタチンは下垂体からの成長ホルモンの分泌を促進する。
⑤血液中の副腎皮質刺激ホルモンの濃度が上昇すると、視床下部に対する負のフィードバックが低下する。

視床下部-下垂体系は文字にするとややこしく見えますが、絵で見てみるとそれほど難解ではありません。
と言っても試験は文字で出ますから、絵の理解と文字の理解を併せて行っておくことが大切でしょう。
生理系に苦手意識のある方は、まずは頑張って読んでみて、絵を見て理解しましょう。



解答のポイント

視床下部-下垂体系の働きの概略を理解している。



選択肢の解説


①視床下部のニューロンの一部は下垂体前葉に軸索を送る。
②視床下部は下垂体後葉ホルモンの分泌を制御するホルモンを産生する。
③視床下部で産生されたホルモンは下垂体門脈によって下垂体に運搬される。

視床下部は、下垂体前葉から分泌される6種類のホルモンの分泌を調節しています。
視床下部ニューロンは、血中に下垂体前葉ホルモン放出ホルモンを分泌し、前葉ホルモンの分泌を促します。
一方、下垂体後葉ホルモンは、実際には視床下部ニューロンが作り、下垂体後葉まで伸ばした軸索終末より視床下部ニューロン自体が分泌しています。


つまり、視床下部で産生されるホルモンには、下垂体門脈によって下垂体前葉に運ばれて働くものと、視床下部と下垂体後葉を結ぶ神経線維(ニューロン)によって運ばれて下垂体後葉で分泌されるものがあるということです
ちなみに下垂体門脈とは、視床下部で産生されたホルモンを下垂体前葉に運ぶための血管のことを指します。

以上より、選択肢①および選択肢②は誤りと判断でき、選択肢③は正しいと判断できます。



④視床下部から分泌されるソマトスタチンは下垂体からの成長ホルモンの分泌を促進する。
⑤血液中の副腎皮質刺激ホルモンの濃度が上昇すると、視床下部に対する負のフィードバックが低下する。

脳の視床下部には、ホルモン産生神経細胞が分布しており、重要な内分泌腺と言えます。
これらの細胞は、2種類の様式で下垂体からのホルモン分泌に関わっています。
下垂体前葉に作用してホルモンの分泌を調節するホルモンと後葉で分泌されるホルモンがあります。

下垂体前葉に対しては、そのすぐ上流の血管である下垂体門脈に下垂体からのホルモン放出ホルモンを分泌します
主なものは以下の通りです。
  1. 成長ホルモン放出ホルモン
  2. 成長ホルモン抑制ホルモン(ソマトスタチン)
  3. プロラクチン抑制ホルモン(ドパミン)
  4. 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
  5. 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
  6. 性腺刺激ホルモン放出ホルモン 
これらのホルモンはその名の通り、成長ホルモン放出ホルモンは下垂体前葉からの成長ホルモンの分泌を促します。
ソマトスタチンは視床下部に存在し、下垂体門脈中に放出され、下垂体前葉の成長ホルモン分泌細胞に作用し、分泌を抑制します
同様に、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンは副腎皮質刺激ホルモンを、性腺刺激ホルモン放出ホルモンは性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)を、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンは甲状腺刺激ホルモンおよびプロラクチンの分泌を促します。

これに対し、2つ目の様式として、視床下部からニューロンが直接その軸索を下垂体後葉に伸ばし、そこから下垂体後葉ホルモンを分泌するもので、バソプレシンとオキシトシンがあります。

下垂体前葉ホルモンのうち、副腎皮質刺激ホルモン・性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)・甲状腺刺激ホルモンは、それぞれ副腎皮質の副腎皮質ホルモン(コルチゾールなど)・性腺の性ホルモン(エストラジオール、テストステロン)・甲状腺からの甲状腺ホルモンの分泌を刺激し、さらにそれらのホルモンは視床下部に対して下垂体ホルモン刺激ホルモンの分泌を抑制するネガティブフィードバックの機構を持ちます

こうやって書くとややこしいのですが、図で見るとわかりやすいです。
甲状腺系を例にとった図が以下です。


このように、甲状腺(副腎や性腺でも)でのホルモンが多いと、視床下部や下垂体前葉にホルモンの放出を抑制する「ネガティブフィードバック」が行われます。
こうした分泌調節ループがあるわけですが、これらにはそれぞれ名称があります。
  • HPA軸:視床下部-下垂体前葉-副腎
  • HPG軸:視床下部-下垂体前葉-生殖腺
  • HPT軸:視床下部-下垂体前葉-甲状腺
特に生体のストレス反応を理解するためにはHPA軸の理解が大切です。
2018追加-100でも出題されていましたね。

以上より、選択肢④および選択肢⑤は誤りと判断できます。

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2 件のコメント

  1. わかりやすい解説ありがとうございます。大変勉強になります。
    一つ、気づいたのですが・・・選択肢の解説①②③の「ちなみに下垂体門脈とは、視床下部で産生されたホルモンを下垂体前葉に運ぶための欠陥のことを指します。」の欠陥は「血管」の変換ミスではないでしょうか?ご確認いただけると幸いです。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      あ、その通りですね、明らかな誤植でした。
      修正致しました。

      ご指摘ありがとうございます。
      またお気づきの点などございましたら、ご連絡いただけると幸いです。

      削除

About Me

小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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