公認心理師 2019-19

2019年09月04日水曜日

問19はライフサイクルに関する問題です。
どれだけ読んでも、選択肢④の言いたいことはちんぷんかんぷんでした。
違うことはわかるのですけどね。

問19 ライフサイクルと心の健康の関わりについて、正しいものを1つ選べ。
①人の心身の発達は、成人期でピークになると考えられている。
②女性の更年期障害は、閉経後に様々な身体症状や精神症状を来す病態である。
③青年期は、統合失調症、うつ病、社交不安症などの精神疾患の発症が増える時期である。
④各ライフサイクルにおいて対応を要する問題は、疾患の種類にはよらず年齢によって決まる。
⑤認知症は老年期に発症する病気であるため、成人期における認知機能の低下の原因としては別の疾患を考える。

生涯発達心理学の考え方や、各精神疾患の好発年齢を知っておけば、それほど迷うことが無い問題かなと思います。
ちなみに各精神疾患が出てくるには、どういった精神機能が整うことが重要かという視点で覚えておくと、その疾患についての理解が深まると思います。



解答のポイント

各発達段階において生じやすい問題を把握していること。



選択肢の解説


①人の心身の発達は、成人期でピークになると考えられている。

発達心理学の歴史上、多くの場合で、発達は小児期と青年期で終わるという説が有力でした。
成人は最終的発達段階に達した完成形と見なされていました。

一方で、妊娠、結婚、育児、加齢などの成人の体験が、成人期における精神的過程や経験に明らかに重大な影響を及ぼすとする考え方も長く認められてきました
このような成人期の見方は、何歳であっても発展途上にあることを示しています。
こうした論争はまだ続いていますが、現在の心理学では、発達は生涯を通して続くという考え方が強くなっています

現在では老年期までも含め、人は生涯を通して変化・成長を続けるものと捉えられるようになったため、発達心理学の研究対象も、加齢による人の一生涯の変化過程となりました
一生涯を研究対象とする視点を強調するために、生涯発達心理学と呼称される場合もあります。

以上より、選択肢①は誤りと判断できます。



②女性の更年期障害は、閉経後に様々な身体症状や精神症状を来す病態である。

更年期障害については2019-56で詳しく解説しているので、こちらをまずはご参照ください。
日本産婦人科学会は「閉経の前後5年間を更年期と言い、この期間に現われる多種多様な症状の中で、器質的変化に起因しない症状を更年期症状と呼び、これらの症状の中で日常生活に支障をきたす病態を更年期障害とする」と定義しています。
上記の「前後」の部分が、選択肢の表現とは異なりますね。

更年期障害は、大きく分類すると自律神経失調症状、精神的症状、その他の3種類に分けられます
以下のようなものになります。
  1. 自律神経失調症状
    ・血管運動神経症状:のぼせ、発汗、寒気、冷え、動悸
    ・胸部症状:胸痛、息苦しさ
    ・全身的症状:疲労感、頭痛、肩こり、めまい
  2. 精神的症状
    ・情緒不安定、イライラ、怒りっぽい
    ・抑うつ気分、涙もろくなる、意欲低下
    ・不安感
  3. その他の症状
    ・運動器症状:腰痛、関節・筋肉痛、手のこわばり、むくみ、しびれ
    ・消化器症状:吐気、食欲不振、腹痛、便秘・下痢
    ・皮膚粘膜症状:乾燥感、湿疹、かゆみ・蟻走感
    ・泌尿生殖器症状:排尿障害、頻尿、性交障害、外陰部違和感
これらは加齢に伴う退行性変化(女性ホルモンの低下に伴う内分泌学的変化)と個人を取り巻く家庭や社会での環境の変化(心理社会的変化)などが、複雑に関与して表現されると考えられております。

以上より、選択肢②は誤りと判断できます。



③青年期は、統合失調症、うつ病、社交不安症などの精神疾患の発症が増える時期である。

身体疾患もそうですが、精神医学的問題においても、それぞれ固有の好発年齢層をもつものが少なからずあります。
なかでも、青年期には精神科疾患の大半が出揃うので、各疾患の好発年齢を細分して眺めてゆくと、精神病理像の側から青年期の発達段階を新たな視点より理解することが可能になるくらいです

10代に入る数年間は、精神分析における潜伏期と呼ばれ、比較的安定した時期と言えますし、統合失調症の発症年齢にも空隙が見られます。

青年期前期に入ると、精神病理像が急速に多様化し、受診者数も増えます。
統合失調症がこの年代より見られるようになってきます。
笠原先生の「出立」という概念も、青年期心性と関連があるように見て取れますね。

抑うつ体験に関しても同様であり、実存的苦悩として抑うつを語ることができるようになるにはかなり加齢を要すると考えられ、単極うつ病の初発を22歳ころからと見る意見があります。
躁鬱病に関しては意見が分かれるところだが、おおむね15歳以降に現われるという見解が少なくありません。

強迫症や恐怖症などの不安関連の問題も青年期前期から生じ始めます。
だいたい12歳ごろから「成人型の強迫体験様式を不完全ながら備え始める」と考えられています。
不登校も増加してくるわけですが、それと社交不安などの問題は無関係ではないでしょう。

以上より、選択肢③は正しいと判断できます。



④各ライフサイクルにおいて対応を要する問題は、疾患の種類にはよらず年齢によって決まる。

正直、本選択肢の文章表現は理解に苦しみます。
何度読んでも、何を言いたいのか理解しがたいというのが正直な印象です。

例えばエリクソンの挙げた段階を列挙すると…
  1. 乳児期
  2. 幼児期初期
  3. 幼児期
  4. 学童期
  5. 青年期
  6. 成人期初期
  7. 成人期後期
  8. 老年期
…となりますね。
これが選択肢にある「各ライフサイクル」に当たると考えてよいでしょう。

これらの各時期において「対応を要する問題」は様々ありますね。
例えば、「青年期」であれば、選択肢③のように多岐にわたりますね。
統合失調症、抑うつ、各不安関連の問題、摂食障害、各神経症圏の問題、などです。
これが選択肢にある「疾患の種類によって決まる」ということになるのか、よくわかりません。
「疾患の種類によって、各ライフサイクルにおいて対応を要する問題が決まる」という表現にすると、よりこの選択肢の文章表現がおかしいことがわかりますね…。

そもそも「年齢によって決まる」とはどういうことを指しているのは不明瞭です。
例えば、「年齢によって、各ライフサイクルにおいて対応を要する問題が決まる」と読んでみると、明らかに言っていることが誤りなのがわかります

この選択肢表現では「○○によって、ライフサイクルにおいて対応を要する問題が決まる」という表現としたときに、「○○」に何を入れても何やら納得いかない表現にしかならないと思われます。
何度も読んでみて思うのが、この表現がおかしいのは「問題の何が決まるのか」を示していないという点にあるのではないでしょうか。

例えば、「各ライフサイクルにおいて対応を要する問題の出現形態は、疾患の種類にはよらず年齢によって決まる」となっていれば、まだ答えようがありますよね。
選択肢表現のままだと「問題の何が疾患の種類(もしくは年齢)によって決まるというのか?」という点が常に宙に浮いてしまうため、読み手に不要な混乱を招くと思われます。

どれだけ読んでも、言いたいことがわからない選択肢でした。
いずれにせよ、選択肢④は誤りと判断できます。



⑤認知症は老年期に発症する病気であるため、成人期における認知機能の低下の原因としては別の疾患を考える。

認知症には若年性という分け方があります。
若年性認知症とは、従来から言われてきた40歳から64歳に発症した初老期認知症に、18歳から39歳までに発症した若年期認知症を加えた認知症の総称です

若年性認知症という独立した病気があるわけでなく、発症年齢で区分した概念であるため、認知症を引き起こしている原因はさまざまで病理学的にもいろいろな疾患を含んでいます。
若年性認知症の発症頻度は調査された国、どの年代までを含めるかによって異なりますが、10万人あたり50人から60人と考えられています。

これは高齢発症の認知症の1000分の1以下ではありますが、やはり認知機能の低下を老年期でないからという理由で、認知症の可能性を除外するのは不適切と言えるでしょう
以上より、選択肢⑤は誤りと判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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