公認心理師 2019-127

2019年09月16日月曜日

問127は対人魅力に関する問題です。
社会心理学の一領域ですね。
学部生の講義では食いつきがよいテーマです。

問127 対人魅力について、適切なものを2つ選べ。
①相手からの評価や好意が対人魅力に影響を与える。
②相手との物理的距離が大きいほど対人魅力につながる。
③容貌などの身体的特徴は対人魅力に影響を与えることはない。
④相互作用を伴わない単なる接触の繰り返しが対人魅力につながる。
⑤性格が自分と類似した相手より相違点が多い相手に対人魅力を感じやすい。

対人魅力に関しては、今年度の試験の直前に記事を出しています。
その内容で解くことができましたので、見ていた人はラッキーだったですね(覚えていればですけど)。



解答のポイント

社会心理学の対人魅力に関する基本的な理解がある。



選択肢の解説


①相手からの評価や好意が対人魅力に影響を与える。

こちらは「返報性」に関する内容を問うています
有体に言えば、好きだと言われたら好きになっちゃう、という現象です。
この点は研究でも証明されていて、自分に魅力を感じてくれる人に対して好ましい感情を抱きやすいとされ、これを「返報性」と呼びます

近年、褒めることによって相手の自信をつける、自尊心を高められるという意見が多いですが、実際は怪しいものです。
それよりも、褒めることによって相手からの行為を獲得できるということの方が確実性があるように感じます。

以上より、選択肢①は適切と判断できます。



②相手との物理的距離が大きいほど対人魅力につながる。
④相互作用を伴わない単なる接触の繰り返しが対人魅力につながる。

こちらは「近接性」についての理解を問うています(それと連なる単純接触効果も含む)。
こちらは有体に言えば「馴染む」ことを指します。
「遠くの好きな人より、近くの普通の人」ということですね。
そもそも近接性が行為を生む理由のひとつは、それが馴染みの程度を増大させるためであり、馴染むことによって好意度を増加させることができると思われます

この点に関する有名な研究としてZajonc(1968)の単純接触効果です
これは、たとえ閾下であっても繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果で、熟知性の原則などとも呼ばれます

顔写真提示の実験でも、提示回数が多いほどに、すなわち馴染むほどに好意度が高まることが示されております
この辺は有名な実験ですが、やはり関わり方も大切でしょうね(ストーカーなどが良い(悪い?)例)。

あるアパートで最も好意度が高かった人は、ポストの近くに住んでいる人(朝、顔を合わせやすい)という研究結果もあります。
それ以外にも、とある音楽を繰り返し聞かせることでその音楽の作曲家への好意度が高まったり、無意味語を頻繁に見るとそれを好ましいと感じるなどが証明されています。

以上より、物理的距離が近いほど対人魅力が高まることが示されていますから、選択肢②は不適切と判断できます。
また、単純接触効果には閾下でもよかったり、単純に顔写真を見せるだけでも対人魅力が高まることが示されていますから、選択肢④は適切と判断できます。



③容貌などの身体的特徴は対人魅力に影響を与えることはない。

こちらは「身体的魅力」に関する理解を問うています。
外見が他者への第一印象に大きな影響を与えることは既に知られています(実感している人も多いでしょうね)
そういった意味で人は完全に民主的ではあり得ないのでしょう。
意識調査では身体的魅力は上位に来ないのですが、実際の行動ではかなり上位に来ることが明らかにされています。
身体的魅力の重要性は最初のデートだけでなく、その後のデート(Mathes,1975)や結婚(Margokin&White,1987)にも影響するとされています。

ただし、生涯の伴侶となる人を選ぶ際には、身体的魅力の重要度は後退するともされています(Stroebe,Insko,Thompson&Layton,1971)。
上記の「結婚」と「生涯の伴侶」は違うのかな…?

身体的魅力が重要な理由のひとつとして、身体的魅力が高い人と一緒にいるのを見られることで、社会的名声や自己評価が高められるという説明がなされています
実際に、男性も女性も、魅力的な恋人や友人と一緒にいるときの方が、そうでない場合よりもより好ましいと評価されるという結果があります

これには例外があって、その相手が身体的魅力が高い「見知らぬ人」の場合は、より低く評価されるという結果が出ています。
比較されるということでしょうね。

この点に関しては、ブランド物を好んで身につける人の心理と近いような気がしています。
それを身につけることで自分の魅力が増すような気がする、ということかなと。
もちろん、ブランド物を身につける動機はそれ以外にもあるのでしょうけどね。

以上より、選択肢③は不適切と判断できます。



⑤性格が自分と類似した相手より相違点が多い相手に対人魅力を感じやすい。

こちらは「類似性」について問うています。
要は「類は友を呼ぶ」ということです。
自分と似た性質をもつ人に対して、人は魅力を感じやすいとされています
信念や態度の似た人、価値感を共有できる人、似たような経験がある人、社会的地位が近い人、に対してそうでない場合よりも好きになりやすいということですね

個人的な印象ですが、類似性が好意度を高めるかどうかは、その類似している特徴によるような気がします。
すなわち、その人が自分自身の特徴について「認めている」「理解している」ならば類似性はプラスに働きやすく、逆に自身の特徴について「認めていない」ならば周囲から見ていわゆる「同族嫌悪」という形になりやすいかなと。
重要なのは、自分自身が自らの特徴について「どう思っているか」ではなく、単に「自覚している」ことが大切な気がしています。
この辺は、そういう研究結果があるわけではない(あったとしても知らない)ので、あくまでも個人的な意見として受けとめておいてください。

以上より、社会心理学の対人魅力における「類似性」のルールでは、類似点が多い方が対人魅力を感じやすいとされていますから、選択肢⑤は不適切と判断できます。

Share /

0 件のコメント

コメントを投稿

About Me

小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

Followers

CONTACT

名前

メール *

メッセージ *

© 公認心理師・臨床心理士の勉強会
designed by templatesZoo