公認心理師 2019-118

2019年09月23日月曜日

問118は出席停止措置に関する問題です。
出席停止に関しては、2018-38の選択肢⑤で少し触れる程度で、2018追加-29の選択肢⑤では明確に解説を行っていますね。
これらの内容を把握しておくだけで解ける問題でした。

問118 教育委員会が行う児童生徒に対する出席停止措置について、誤っているものを1つ選べ。
①出席停止は児童生徒本人に対して命じられる。
②出席停止を命ずる前に、保護者の意見を聴取する。
③出席停止の理由及び期間を記載した文書を保護者に交付する。
④出席停止は、公立の小学校、中学校及び義務教育学校に限られている。
⑤出席停止は学校の秩序を守り、他の児童生徒の学習権を保障するために行う。

出席停止の判断を下すのは、実際にはそれほど簡単ではありません。
規定上さまざまな手続きが必要になることもその一因ですが、そのせいだけだとは私は考えておりません。

老子は「兵は不祥の器なり」と述べています。
これは軍事力は必要であるが、あくまでもそれは「不祥の器」、つまり必要悪であって無闇にこれを使うことを戒めています。
出席停止のような強い制限を伴う規定は「そう簡単には使ってはいけない」という封印とともに存在するものであり、封印されているからこその強い制限を伴う規定であるとも言えます。
軽々しく好き勝手に使える規定は、その組織が都合の良いように運用しがちです(これは歴史上の様々な出来事が傍証となっていますね)。

特に、学校のような教育を司る場所では「その場所にそぐわないからといって軽々に出席停止にしてはならない」のです。
教育は「子どもたち全員が社会のフルメンバーとして参与していく」ために行われるという面があるはずです。
それにも関らず「その場所にそぐわない」という理由で、その人を一時的とはいえ除外するようなことは慎むことが大切なのです(除外された側には、そういう事実が一生胸に刻み込まれる)。

もちろん他の児童生徒が「社会のフルメンバーとして成長するための教育」を受けられなくなるのは避ける必要があるので、そのために「仕方なく」「苦渋の中で」行われるのが出席停止という対応になります。
学校の先生方がそう易々と出席停止を検討・実施しないのは、単に規定上の困難さだけでなく、こうした教育における「持つべき葛藤」を抱えているからだと考えています。



解答のポイント

出席停止制度、特に学校教育法第35条各項の規定を把握している。



選択肢の解説


①出席停止は児童生徒本人に対して命じられる。

学校教育法第35条第1項に「市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる」と定められており、以下の通り各号が規定されています。
  1. 他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
  2. 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
  3. 施設又は設備を損壊する行為
  4. 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
このような行いがある場合、出席停止を命じることができます。

以上より、出席停止は保護者に対して命じるものです。
よって、選択肢①は誤りと判断でき、こちらを選択することが求められます。



②出席停止を命ずる前に、保護者の意見を聴取する。
③出席停止の理由及び期間を記載した文書を保護者に交付する。

学校教育法第35条第2項以下に、その際の留意する事項が示されております。
  • 第2項:あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない
  • 第3項:出席停止の命令の手続に関し必要な事項は、教育委員会規則で定めるものとする。
  • 第4項:市町村の教育委員会は、出席停止の命令に係る児童の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。
すなわち、出席停止を行ったとしても、教育上の支援は行う必要があるということです。

以上より、出席停止のためには保護者の意見を聴取し、理由・期間を記した文書交付が定められています。
よって、選択肢②および選択肢③は正しいと判断でき、除外することが求められます。



④出席停止は、公立の小学校、中学校及び義務教育学校に限られている。

まず、文部科学省の「出席停止制度の適切な運用について」というページでは、以下のように示されております。
「学校は、児童生徒が安心して学ぶことができる場でなければならず、その生命及び心身の安全を確保することが学校及び教育委員会に課せられた基本的な責務です。学校において問題行動を繰り返す児童生徒には、学校の秩序の維持や他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障する観点からの早急な取組みが必要であり、児童生徒を指導から切り離すことは根本的な解決にはならないという基本認識にたって、一人一人の児童生徒の状況に応じたきめ細かい指導の徹底を図ることが必要です」
このように、出席停止は児童生徒の義務教育を受ける権利を保障する観点から設けられたものと言えます。

また学校教育法における「学校」とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校を指します(第1条)。
このうち、義務教育であるのは小学校・中学校・義務教育学校ということになります
よって、出席停止の条項が適用されるのは「小学校・中学校・義務教育学校」ということになりますね。

以上より、選択肢④は正しいと判断でき、除外することが求められます。



⑤出席停止は学校の秩序を守り、他の児童生徒の学習権を保障するために行う。

先述の通り、学校教育法第35条第1項に「市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる」と定められております。
こちらの内容は本選択肢の表現に沿ったものになっていますね。

また文部科学省の「出席停止制度の適切な運用について」というページでは、以下のように示されております。
「学校は、児童生徒が安心して学ぶことができる場でなければならず、その生命及び心身の安全を確保することが学校及び教育委員会に課せられた基本的な責務です。学校において問題行動を繰り返す児童生徒には、学校の秩序の維持や他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障する観点からの早急な取組みが必要であり、児童生徒を指導から切り離すことは根本的な解決にはならないという基本認識にたって、一人一人の児童生徒の状況に応じたきめ細かい指導の徹底を図ることが必要です。
しかし、公立小学校及び中学校において、学校が最大限の努力をもって指導を行ったにもかかわらず、性行不良であって他の児童生徒の教育の妨げがあると認められる児童生徒があるときは、市町村教育委員会が、その保護者に対して、児童生徒の出席停止を命ずることができます。
この出席停止制度は、本人の懲戒という観点からではなく、学校の秩序を維持し、他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障するという観点から設けられています

以上より、選択肢⑤は正しいと判断でき、除外することが求められます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
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