公認心理師 2019-110

2019年09月27日金曜日

問110はベルスキーの「親の養育行動の規定因に関するプロセスモデル」に関する問題です。
親の養育行動に関するモデルとしては有名なものですが、突っ込んで学んでいないと把握しづらい概念かもしれません。

問110 J.Belskyのモデルにおいて、親の養育行動に直接影響するものとして、不適切なものを1つ選べ。
① 学歴
② 仕事
③ 夫婦関係
④ 子どもの特徴
⑤ 社会的交友・支援関係

子どもの育ちに親の養育行動が影響するのは当然のことと言えますが、さいきん巷で言われているのは「親の所得が~」「東大に入れるための~」などのような無味乾燥なものばかりで徒労感を覚えます。
私の好きな絵本のシリーズのひとつに、川端誠さんの落語絵本シリーズがあります。
これの「じゅげむ」の中に、「それでも、頭をなでて育てて、わるい人間になったものは、いないんで」という一節があります。
単純ですが、私は「頭をなでて育てる」で良いんでないのかな、と思っています。

さいきんの風潮は子どもを「○○にする」という考えが強いように感じますが、子育てというものは子どもが「何者になるか」をわくわくしながら行うものだと思うのです。



解答のポイント

ベルスキーの親の養育行動モデルについて把握している。



選択肢の解説


① 学歴
② 仕事
③ 夫婦関係
④ 子どもの特徴
⑤ 社会的交友・支援関係

親の養育行動や養育意識に係わる要因は多くあるが、それらは個々独立に働いているわけではありません。
相互に複雑に影響を及ぼしあいながら、個人の養育行動・養育意識を規定していると考えられます。

ベルスキーは以下のような3つの要素を重視し、養育行動の規定因に関する理論モデルを案出しています。
  1. 親自身の心理・感情的要因:親の生育歴やパーソナリティなどを指す。
  2. 親子を取り巻く社会的要因:夫婦関係、仕事、社会的ネットワークなどを指す。
  3. 子どもの特徴
このように、ベルスキーは、親側の要因として親自身の生育歴とパーソナリティをとりあげ、社会的要因として夫婦関係、仕事、社会的ネットワークをとりあげて、それらと子どもの特徴との3要因が、それぞれに養育機能を促進または阻害するように働き、あるいはまた、互いに機能的に補完しあっているさまを以下のように描き出しました。


親自身の心理・感情的要因、その中でも特にパーソナリティは、当然親の生育歴の影響を強く受けます
しかし、それは社会文脈的な要因、すなわち夫婦関係、仕事、親の社会的交友関係といった要因によっても変化し得るものです(もちろん、その逆の影響過程も想定されます)。
親の養育行動の質は、まずこのように決まってくる親個人の心理・感情的状態の影響を強く受けると考えるのが妥当とされています

また、社会的要因は、上述したように親自身の心理・感情状態にまず影響を及ぼすという形でいわば間接的に、またそれだけではなくストレスやサポートの多少を規定するという形で、より直接的にも養育行動の質を左右するかもしれません

更に、親の養育行動は、子どもの特徴の影響を受けて変質する可能性があり、そして親子それぞれの要因の相互規定的作用の中で、子どもの実際の発達が規定されてくると考えられます

ベルスキーは、これら3要因全てが重要であるが、あえてその順序性に順列を付すとすれば、親自身の心理・感情的要因→親子を取り巻く社会的要因→子どもの特徴の順になるだろうとしています。
以下の表は、3つの要因がプラス・マイナスどのように組み合わさったときに親の養育行動がより有効に機能するかということに関して、ベルスキーが立てた仮説です。


3要因全てが好条件であることが望ましいわけだが、例えば、どれか1つの要因が潜在的にマイナスの影響力を持つものになるとすれば、親個人の要因よりは、他の2つのうちいずれかの要因が、社会文脈的要因と子どもの要因の比較で言えば、子どもの要因がマイナスのものであるほうが、まだ救われるところが大きいとされています。
ただし、こうしたベルスキーのモデルは、現時点で、完全に実証されているとは言えないということです。

以上より、選択肢②~選択肢⑤は適切と判断でき、除外することが求められます。
また、選択肢①はベルスキーのモデルにおいて、親の養育行動に直接影響するとはされておりませんから、こちらを選択することが求められます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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