公認心理師 2019-108

2019年09月19日木曜日

問108は共同注意に関する問題です。
乳児の発達も頻出問題となっていますね。

問108 共同注意行動の例として、誤っているものを1つ選べ。
①指さし(pointing)
②クーイング(cooing)
③参照視(referential looking)
④相手に物を手渡す行動(giving)
⑤相手に物を見せる行動(showing)

共同注意はもちろん、クーイングについても過去に出題がありますね(2018-852018追加-40)。
比較的解きやすい問題だったと思います。



解答のポイント

共同注意について理解している。
各共同注意行動についての発生流れを把握している。



選択肢の解説


①指さし(pointing)
③参照視(referential looking)
④相手に物を手渡す行動(giving)
⑤相手に物を見せる行動(showing)

「子どもは自分と同じものを見たり聞いたりしている」という確信から、養育者は子どもをコミュニケーションの主体として捉え始める,という認識の変化が1歳という文化的区切りにおいて指摘されています。
この「対象に対する注意を他者と共有する」現象は共同注意と言われ、社会的コミュニケーション発達上重要な意味をもつと考えられています。

ブルーナーは乳幼児の共同注意行動に2つの段階があることを示しました。
  • 第1段階:
    2ヶ月頃の乳児が大人と視線を合わせる行動。
    この段階では、外界と関わるやり方として、大人と視線を合わせたりして関わる子ども―大人のやりとり(二項関係)と、モノと関わる子ども―モノのやりとり(二項関係)しかもっていない。
  • 第2段階:
    9~10ヶ月では、例えば大人が指さした対象(犬)を子どもも一緒に見るといった、外界の対象への注意を相手と共有する行動がみられるようになる。
    第1段階が乳児と大人という2者間の注意共有であったのに対し(二項関係)、第2段階では、自分-対象-他者の3者間での注意のやりとりが可能になる(三項関係)。 
トマセロは、9~10ヶ月頃の子どもは大人と同じ対象に注意を向けるだけだが、12ヶ月頃になると対象を指さした後、大人を振り返ってその対象を見ているかどうかを確認する行動が出現するとし、これを他者の意図を理解した行動と指摘しました。

また共同注意の発達は意図的行為主体としての他者理解の過程を示すものでもあるとし、その発達的変化を以下の通り、3つの段階に分類・記述されています。
  1. 対面的共同注意:
    生後2か月から半年の間に最も顕著に出現する。この時期には乳児の視線が他者の顔、とりわけ目をしっかりとらえ、更に社会的微笑の出現が明確になってくる。この乳児が他者と視線をしっかり合わせる状態を「2者の視線が出会う単純な共同注意」と呼び、共同注意の原型的形態と見なされている。
  2. 支持的共同注意:
    乳児と他者のいずれかが相手の視線を追跡して同じ方向を見たり、そこに存在する対象物を注目したりするときに生じる。このタイプの共同注意では、他者と同じ方向や対象物を見ていることに乳児が気づいているかは不明である。Butterworthらはこの誰かほかの人が見ているところを見ることを視覚的共同注意と呼んでいる。この共同注意は6か月頃より出現する。
    更に乳児があるものを凝視したときに、養育者がそれに気づき、その対象物に視線を向けるように作用する。これにより養育者は乳児の対象物に対する意図を感じ取り、それに促されるように一定の行動、例えば、対象物を見せたり動かしたり、手に持たせようとしたり、感情表現に合わせるようにするなど。このような行動は、乳児に対して対象物を目立たせ、母親自身や母親自身とのコミュニケーションチャンネルを浮かび上がらせ、乳児がそれに気づきやすくする方向に働く。このような母親の与える様々な情報に基づいた共同注意を支持的共同注意と呼んでいる。
  3. 意図共有的共同注意:
    生後9~12か月頃より乳児の共同注意に新たな質的変化が生じる。乳児は自分、大人、そしてこの両者が注意を共有する第三の対象物から三項関係をより緊密なものにし、参照的な相互作用に関わりだす。例えば乳児は自分の視線を柔軟に調整しながら、大人が見ているところを確実に見始める。子どもは自分の注意を対象物と大人にしっかり配分させながら共同注意をしている。そこには大人による乳児の意図理解と同時に、乳児による大人の意図理解がある。こうした他者への注意の配分を明確に伴う共同注意行動を「意図共有的共同注意」と呼ぶ。ここで共同注意が一応完成したと言える。これらによって視線追跡、社会的参照、模倣学習といったことが可能になるさらにこの時期に身振りを使って、自分が関心を持った対象に大人の注意や行動を誘導しようとし始める。指さしの出現である。
このように、三項関係を表す共同注意行動には、指さし(見てほしいものを指差す)、参照視(既知の物を目にした場合にも母親の方を見る)、社会的参照(対象に対する評価を大人の表情などを見て参考にする)などがあります

また、12ヶ月に出現する対象を含んだ社会的行動の中に、物を他者に見せる、または、手渡しをする行為が含まれることについては多くの研究報告があります
12ヶ月に現れる提示・手渡しはその前後に出現する指さし理解と指さし産出の中間に位置しており、両者の発達的連鎖を橋渡しする役割を担っているのではないかとも考えられています。
指さしを含め、こうした手渡し・提示という行為については、子どもが自らの行動で他者の注意を自分の興味対象へと巻き込むための行動とされています

なお、共同注意の関連行動は以下の通りです。


上記の通り、ここで挙げた選択肢は共同注意という社会的行動の一部として見なされています。
よって、選択肢①および選択肢③~選択肢⑤は正しいと判断でき、除外することが求められます。



②クーイング(cooing)

まず乳児の発声は啼泣で始まります。
この啼泣には、乳児が自身に生じた不快感を自力で取り除くことができないため、養育者の注意を引いて、自分に代わってそれをしてもらうという役割があります。
養育者がこの啼泣に応答しようとすること(マザリング)によって、乳児には能動性(泣くことで周囲に働きかける力を持つという感覚)やエリクソンの言う「基本的信頼感」、身体感覚の分化が生じてきます。

生後1か月~2か月くらいから「アーアー」といった単音節の発声が生じ、このことを「クーイング」と呼びます。
啼泣が不快感の発声であるのに対し、こちらは心地よさを示すとされています。
クーイングは生理的な発声であり、例えば聴覚障害があっても生じます。
養育者はこの生理的な発声を「自分に向けられたメッセージ」と感じ応答することで、次のバブリング(喃語)が生じてきます。

生後6か月くらいには規準喃語といわれる複数の音節をもち、「子音+母音」の構造を持つ喃語が現れます。
生後11か月頃になると、非重複喃語といわれ、「ババババ」のような規準喃語から「バダ」「バブ」のように喃語の「子音+母音要素が異なる母音」が反復して表出されるようになります。

クーイングに対して養育者が「自分に向けられたメッセージ」「意味ある言葉」として受け取り、関わりを続けることによってバブリングという「やり取り」の世界が生じてきます

このようにクーイングの実態は生理的発声であり、他者との社会的関係を基盤にしたものではありませんから、共同注意の文脈で理解するのは不適切です
よって、選択肢②が誤りと判断でき、こちらを選択することが求められます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
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