公認心理師 2019-57

2019年08月12日月曜日

問57はうつ病によく見られる妄想に関する把握を問うています。
学生時代は「日差し(んこん・いごう・んき)が見えない抑うつ妄想」と覚えていました(これは以前にこちらのページに書きましたね)。
不謹慎と知りつつも脳内に刻まれて私を離さないんです、この覚え方。

問57 うつ病にみられることが多い症状として、適切なものを2つ選べ。
①心気妄想
②迫害妄想
③貧困妄想
④妄想気分
⑤世界没落体験

妄想はその種類というか特徴というか主題によって、うつ病に出やすいもの、統合失調症に出やすいものなどが分かれます。
本問では、その辺の知識を問うていますね。



解答のポイント

うつ病に特徴的な妄想について把握していること。



選択肢の解説


①心気妄想
③貧困妄想

妄想はその内容によって様々な名前がついています。
かなりの数があるのですが、これのカテゴライズで優れているのが以下の書籍です。
こちらでは妄想を大きく3群に分けていて、非常にわかりやすいです。
細かく見れば問題はあるでしょうけど、大まかに妄想の種類をカテゴライズされたものとして見ておくには大変役立つと思います。

示されている3群は以下の通りです。
  1. 被害妄想:関係妄想、注察妄想、被毒妄想、追跡妄想、嫉妬妄想、物理的被影響妄想、憑き物妄想、好訴妄想
  2. 微小妄想:貧困妄想、罪業妄想、心気妄想、虚無妄想、不死妄想
  3. 誇大妄想:発明妄想、血統妄想、宗教妄想、恋愛妄想
このうち本選択肢にある事項を中心に詳しく述べていきましょう。

心気妄想とは、病気がないのに重病があるのではないかと心配し、あるいは軽い故障を重病ではないかと心配するなど、自分の身体が病気に罹っているという病的確信です
ひどい場合は「身体が腐っていく」「内臓が全く働かない」などと強い不安とともに訴えます。
ちなみに「心気」とは漢方では精神の働き、こころもちのことを指しますが、辛気くさいという表現があるように、心がむすぼれて悶々とするということが本意です。
また、ヒポコンドリアは肋軟骨の下の内臓のことで、ここに病気があってこういう気分になるとして古代の人が作った言葉です。

貧困妄想とは、どんなにお金があっても、お金がないと感じてしまいます

「自分は非常に貧しい」「借金を抱えてしまった」などと信じる妄想です。
そして、これらは罪業妄想(何もしてないのに自分が咎人であるかのように確信する)などとともに微小妄想(自分がちっぽけに感じる、ということ)とまとめられます

微小妄想はうつ病のときに主に現れ、抑うつ妄想とも呼ばれています
よって、選択肢①および選択肢③が適切であると判断できます。



②迫害妄想

迫害妄想とはいわゆる被害妄想のことであり、自分が迫害されている、被害を受けていると思い込みます
これは追跡が主だったり、食べ物に毒を入れられるという観念(被毒)が主だったりします。

その関係づけは被害的内容と結びつくことが多く、被害関係妄想は統合失調症を主として、妄想の中で最も多いタイプになります
その内容から言って当然ですが、この妄想があると不安が非常に強く、周囲に対して警戒的になり、不信感を抱きます。

このように選択肢②はうつ病ではなく統合失調症に最もよく見られるタイプの妄想と言えます。
以上より、選択肢②は不適切と判断できます。



④妄想気分
⑤世界没落体験

妄想気分は妄想の一種であり「妄想観念なき妄想」と言われます。
その症状は「何とは言えないけど、あたりの様子がいつもと違う」ということです。
程度が強まると「ただごとではない」「なにか未曾有のことが起こりそう」「世界がもうすぐ破滅する」となっていきます
そして、この最後の感じになってくると「世界没落体験」という名前がついています
妄想気分も世界没落体験も、通常、統合失調症に多く見られ、たいていは始まりのころ、あるいは発病の直前に見られることが多いです

そのため統合失調症の早期診断に重要な手掛かりとなる症状と言えます。
妄想気分を正しく把握することは、早期発見、早期対応につながります。
特に妄想気分については少量の抗精神病薬が効くことが多いため、早期発見の価値は高いです。

妄想気分と妄想の関係については以下の2説があります。
  1. 妄想気分から妄想が生まれる、すなわち、妄想気分は妄想の母体であり前段階である、という考え方。Jaspersなどがその代表。
  2. 妄想気分と妄想とは特に関係がない、つまり妄想形成に妄想が不可欠ではないという考え方。Schneiderがその代表。
臨床の実際では、妄想気分がまず見られ、次いで妄想状態に入っていくことが多いです。
ただし、シュナイダーの説のように、妄想気分のまま推移することもみられます。
あまり「どっちが正しいのだ!」と突き詰める必要もないのかな、というのが正直なところでしょうか。

以上より、選択肢④および選択肢⑤は不適切と判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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