公認心理師 2019-55

2019年08月12日月曜日

問55は虞犯について問う内容です。
出題のしやすさから言っても、実践上の基礎知識としても、やはり法律的な定義等は押さえておくことが肝要です。

問55 虞犯について、正しいものを2つ選べ。
①虞犯少年とは14歳以上の者をいう。
②虞犯少年は少年院送致の処分を受けることがある。
③虞犯という概念は少年に限らず、成人にも適用される。
④虞犯少年とは、将来罪を犯すおそれのある少年のことをいう。
⑤虞犯少年は児童相談所における措置は受けるが、家庭裁判所には送致されない。

非行少年の処遇の流れについては、以下の図が有名ですしわかりやすいと思われます。


これらからしっかりと流れを掴んでおきましょう。
各ポイントでどういった法律が絡んでいるかも把握しておくと良いでしょう。



解答のポイント

少年犯罪処遇の流れを把握していること。
少年法には福祉的役割があることを理解していること。



選択肢の解説


①虞犯少年とは14歳以上の者をいう。
③虞犯という概念は少年に限らず、成人にも適用される。
④虞犯少年とは、将来罪を犯すおそれのある少年のことをいう。

こちらについては2018追加-20の選択肢②などでも解説していますね。
他にも類似の問題は見られます。

少年法第3条(審判に付すべき少年)に記載があります。
  1. 罪を犯した少年
  2. 十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
  3. 次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
    保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
上記はそれぞれ、犯罪少年、触法少年、虞犯少年と呼ばれます。
そして、これら3つをまとめて非行少年と呼びます。
ちなみに少年法における「少年」は男性女性の両性を指しています。

より平易に述べると以下の通りです。
  • 14歳以上20歳未満で罪を犯した少年:犯罪少年
  • 14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年:触法少年
  • 家出、不良交友、不純異性交遊等があり、その性格及び環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる恐れがある少年:虞犯少年
上記の通り、虞犯少年に関する年齢の規定はありませんが、少年法に規定される年齢は原則として20歳未満とされています
この点は少年法第2条(少年、成人、保護者)にて「この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、「成人」とは、満二十歳以上の者をいう」とされていることからも明らかです
第3条のように年齢の提示がない場合、こうした少年法自体の基準を援用しておくことが大切です

以上より、虞犯少年は「20歳に満たない将来罪を犯し、または刑罰法令に触れる恐れがある少年」のことを指しますし、少年と成人を20歳という明確なラインで区切っています。
よって、選択肢①および選択肢③は誤りと判断でき、選択肢④は正しいと判断できます。



②虞犯少年は少年院送致の処分を受けることがある。
⑤虞犯少年は児童相談所における措置は受けるが、家庭裁判所には送致されない。

少年法第6条には通告に関する規定が定められております。
  • 第1項:家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、これを家庭裁判所に通告しなければならない
  • 第2項:警察官又は保護者は、第三条第一項第三号に掲げる少年について、直接これを家庭裁判所に送致し、又は通告するよりも、先づ児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは、その少年を直接児童相談所に通告することができる
このように家庭裁判所には非行少年(すなわち犯罪少年、触法少年、虞犯少年)が通告され、特に虞犯少年については児童福祉法による措置も考えましょう、ということになっています

おそらく選択肢②で迷うのは「将来罪を犯し、または刑罰法令に触れる恐れがある」というだけで少年院に送致できるのか、という点だと思われます。
罪を犯したわけではなく、将来罪を犯すおそれがあるだけで少年審判の対象とし、保護処分の対象とする虞犯少年が定められていることは、少年法の福祉的な趣旨をあらわすものです
この趣旨を反映して、虞犯少年は要保護性の高い少年が多くなります。

虞犯少年は家庭裁判所送致後、犯罪少年と同じ手続で観護措置も取られるし、少年院送致になることもあります
この際の家庭裁判所の決定には、都道府県知事又は児童相談所長送致(18歳未満に限る)、保護処分(保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設送致、少年院送致)などがあります。
もっとも、罪を犯したわけではないので検察官送致(逆送)になることはありません。

ただし「何も悪いことをしていないのになぜ」という思いは、その少年自身が一番強く持っています。
その点を汲み取った対応であることが望まれますね。

以上より、選択肢②は正しいと判断でき、選択肢⑤は誤りと判断できます。

Share /

0 件のコメント

コメントを投稿

About Me

小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

Followers

CONTACT

名前

メール *

メッセージ *

© 公認心理師・臨床心理士の勉強会
designed by templatesZoo