公認心理師 2019-44

2019年08月16日金曜日

問44はスクールカウンセラーに求めらえる役割に関する内容です。
こちらは「児童生徒の教育相談の充実について(報告)」に詳しく示されております。
スクールカウンセラーの役割を問われたときに、まずチェックすべきものですから必ず押さえておきましょう。

問44 スクールカウンセラーに求められる役割として、最も適切なものを1つ選べ。
①チーム学校の統括
②児童生徒への学習指導
③教職員へのスーパービジョン
④心理的問題などへの予防的対応

上記の資料は「教育相談等に関する調査研究協力者会議」が、児童生徒の悩みや不安を受け止める相談体制の充実を図る観点から以下の点について検討した結果示したものです。
  • 教育相談体制の今後の方向性について
  • スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの役割の明確化について
  • 教育相談体制の充実のための連携の在り方について
そして本報告は、学校や教育関係者等における教育相談に関する取組の充実に資するための指針となる提言を盛り込んでおり、各教育委員会や学校等が本報告を活用し、今後の教育相談に関する取組の更なる充実が図られることを期待されています。

この報告を中心にしつつ、解説を述べていきましょう。



解答のポイント

「児童生徒の教育相談の充実について(報告)」に示されている、教育相談体制におけるSCの役割を把握していること。
「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」も把握していることが望ましい。



選択肢の解説


①チーム学校の統括

こちらについては、まず「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」を把握しておきましょう。
一方、チーム学校の統括に関する記述は上記の報告になされております。

上記報告書の「校長の役割」には以下のように記載があります。
校長は、児童生徒や地域の実態を踏まえ、学校の教育目標を示し、チーム学校のリーダーとして教職員及びSC、SSW等の意識や取組の方向性の共有を図るとともに、学校の教育目標の実現に向かって学校を運営し、教職員、SC及びSSWが一体となった教育活動が行われるようにすることが重要である」

このようにチーム学校の統括については学校長の役割であることがわかりますね
以上より、選択肢①は不適切と判断できます。



②児童生徒への学習指導

学習指導に関してはチーム学校の答申に記載があります。
例えば、教職員が学習指導・生徒指導・部活動等、幅広い業務を担い、子供たちの状況を総合的に把握・指導している状況を踏まえ、それらに特化した専門家を配置していないために勤務時間が長くなる等の指摘がなされています。
学習指導などが中心であるはずが、専門性が求められるような業務までが委ねられることで、本来の学習指導等に時間を割くことができなくなっているということです

この答申では教員について「我が国の教員は、教育の専門性を生かし、これまで学習指導、生徒指導等の面で主要な役割を担い、子供たちの状況を総合的に把握して指導を行うなど、学校において中心的な役割を果たしてきており、これまで高く評価され、成果を上げてきた」とされており、学習指導の主要な役割を果たすのが教員であることが示されています。

更に「教員が行うことが期待されている本来的な業務」についても記載があり、それは「学習指導、生徒指導、進路指導、学校行事、授業準備、教材研究、学年・学級経営、校務分掌や校内委員会等に係る事務、教務事務(学習評価等)」と定められています。

以上より、選択肢②は不適切と判断できます。



③教職員へのスーパービジョン

まず本報告にスーパービジョンの定義が示されているので、こちらをチェックしておきましょう。
SSWのSVに関しての記述の中で示されているものなので、それを念頭に置いた記述ですが、下線部に関しては共通と見てよいでしょう。
援助者の専門的実践についての指導・調整・教育・評価する立場にある機関の管理運営責任を持つ職員や熟練したソーシャルワーカーが行うもので、スーパーバイジー(スーパビジョンを受ける人)との信頼関係を基底にその人の業務及びソーシャルワーク実践を管理し、教育し、支持することによって専門職としての熟成を図ること

まずこのような前提に立つとき、「教職員へのスーパービジョンをSCが行うこと」には論理矛盾があることがわかりますね。
SCは教職員の専門的実践について指導・調整・教育・評価の立場にはないわけです。
もちろん、このような明確な基準を用いずにSVという表現を使う場合もあるでしょうが、それでも「SCが教職員の専門的実践に明るいわけではない」「同じ職種として研鑽を積んだわけではない」ということについては自覚しておかねばならないことでしょう

さて、スーパービジョンに関する「報告」の記載を挙げていきましょう。
SCに関する部分で言えば、都道府県教育委員会の役割としてスーパービジョン体制の整備が示されております(以下の通りです)。
「SCの職務及び勤務形態が特殊であるため、SCが同じ専門職であるSCから助言・指導を受けることができない場合がある。そのため、教育委員会は必要に応じて、SCが同じ専門職であるスーパーバイザー等に相談し、自分の見立ての妥当性等について示唆を受けることができるスーパービジョンの体制を整える必要がある。スーパーバイザーには、見立てと手立てに関して指導ができ、教育現場と心理に関して専門的知識と経験を有している者を充てることが望ましい。また、スーパーバイザーは、SCの専門性を活かした教育相談が行われているかについて、市町村教育委員会や学校の状況を把握し、必要に応じ改善に向け教育委員会やSCに対し助言・指導を行うことが望ましい

このように、SCがSVを行うことよりもむしろ、SCがSVを受ける体制に関しての記載が中心になっています。
以上より、選択肢③は不適切と判断できます。



④心理的問題などへの予防的対応

「報告」における関連がある箇所を抜き出していきましょう。

まず「SCの職務内容等」の箇所には以下のような記述があります。
「児童生徒の状態の把握や、児童生徒がSCの存在を認識し、児童生徒がSCと関わったり相談しやすい環境を作ったりするため、年度当初に全児童生徒への面談の実施や利用方法の周知等を行うことが必要である。またSCは、児童生徒の心の健康促進のために、予防的な取組や活動を、教員と積極的に協働して行うことが望ましい。それらに加え、学校内の教育相談体制(教職員やSCの役割分担含む)について児童生徒・保護者へ周知するとともに、保護者に対して、子育てや思春期の子供との関わり方や、子供の心理状態についての理解を深めるための講習会の開催や、教育相談だより等広報誌の発行を行うことが重要である」

また「SCの校内体制への位置付け」では以下のように記載されています。
SCが、事後対応だけでなく、予防的な対応を行うためにも、校長は、校内の生徒指導に関わる会議(生徒指導委員会、教育相談部会、いじめ・不登校対策委員会等)を定期的に開催して出席を要請し、SCが助言及び援助できる体制をつくり、組織的な対応が図れるようにすることが望ましい

これらより、SCが心理的問題に関して予防的に関わることも、その役割の一つと見なすのが妥当です。
よって、選択肢④が適切と判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
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