公認心理師 2019-42

2019年08月13日火曜日

問42は児童相談所の業務内容を問うているものです。
児童相談所は福祉・教育・医療・司法などと関わることが多いので、どの領域にいる支援者でも関わったことが多い機関だと思います。
だからこそ「なんとなくこういうお仕事してるんでしょ」という恣意的な判断をしてしまいがちですが、試験で大切なのは根拠ある解答を導く力です。

問42 児童相談所の業務内容として、誤っているものを1つ選べ。
①親権者の同意を得て特別養子縁組を成立させる。
②必要に応じて家庭から子どもを離して一時保護する。
③親権者の同意を得て児童福祉施設に子どもを入所させる。
④子どもに関する専門性を要する相談を受理し、援助を行う。
⑤市区町村における児童家庭相談への対応について必要な助言を行う。

これらは全て児童福祉法に根拠があります(特別養子縁組については民法)。
試験勉強に限定ではなく、各機関が法的にどのような役割を持っているのか、明確に把握しておくことが連携において重要なことです。
もちろん、その上でその領域に特有の枠組みを理解していくことが求められます。



解答のポイント

児童福祉法に規定されている児童相談所の業務内容を把握していること。



児童福祉法に基づく児童相談所の業務内容

児童福祉法第12条には「都道府県は、児童相談所を設置しなければならない」と定められており、それ以下にはその業務について規定されています。
業務に関する規定は以下の通りです。
「児童相談所は、児童の福祉に関し、主として前条第一項第一号に掲げる業務(市町村職員の研修を除く)並びに同項第二号(イを除く)及び第三号に掲げる業務並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第二十二条第二項及び第三項並びに第二十六条第一項に規定する業務を行うものとする。」

上記の下線部の箇所について細かく見ていきましょう。


前条第一項第一号に掲げる業務(市町村職員の研修を除く)

まずは「前条第一項第一号に掲げる業務(市町村職員の研修を除く)」についてです。
同法第11条第1項第1号の内容としては「第十条第一項各号に掲げる市町村の業務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供、市町村職員の研修その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行うこと」となっております。

そして「同法第10条第1項各号」は以下の通りです。
  1. 児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。
  2. 児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な情報の提供を行うこと。
  3. 児童及び妊産婦の福祉に関し、家庭その他からの相談に応ずること並びに必要な調査及び指導を行うこと並びにこれらに付随する業務を行うこと。
  4. 前三号に掲げるもののほか、児童及び妊産婦の福祉に関し、家庭その他につき、必要な支援を行うこと。
これら市町村が行う業務について、必要な援助を行うことが児童相談所には定められているということですね。


同項第二号(イを除く)

児童福祉法第11条第1項第2号には「児童及び妊産婦の福祉に関し、主として次に掲げる業務を行うこと」とあり、以下が列挙されています(イを除いて挙げていきましょう)。
  • ロ:児童に関する家庭その他からの相談のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものに応ずること。
  • ハ:児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行うこと
  • ニ:児童及びその保護者につき、ハの調査又は判定に基づいて心理又は児童の健康及び心身の発達に関する専門的な知識及び技術を必要とする指導その他必要な指導を行うこと。
  • ホ:児童の一時保護を行うこと。
  • ヘ:里親に関する次に掲げる業務を行うこと。
    (1)里親に関する普及啓発を行うこと。
    (2)里親につき、その相談に応じ、必要な情報の提供、助言、研修その他の援助を行うこと。
    (3)里親と第二十七条第一項第三号の規定により入所の措置が採られて乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設又は児童自立支援施設に入所している児童及び里親相互の交流の場を提供すること。
    (4)第二十七条第一項第三号の規定による里親への委託に資するよう、里親の選定及び里親と児童との間の調整を行うこと。
    (5)第二十七条第一項第三号の規定により里親に委託しようとする児童及びその保護者並びに里親の意見を聴いて、当該児童の養育の内容その他の厚生労働省令で定める事項について当該児童の養育に関する計画を作成すること
  • ト:養子縁組により養子となる児童、その父母及び当該養子となる児童の養親となる者、養子縁組により養子となつた児童、その養親となつた者及び当該養子となつた児童の父母(民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二第一項に規定する特別養子縁組により親族関係が終了した当該養子となつた児童の実方の父母を含む)その他の児童を養子とする養子縁組に関する者につき、その相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うこと


第三号に掲げる業務

こちらは「前二号に掲げるもののほか、児童及び妊産婦の福祉に関し、広域的な対応が必要な業務並びに家庭その他につき専門的な知識及び技術を必要とする支援を行うこと」となっております。
すなわち、子どもに関係する専門性を要する相談を受け、支援することが定められているということですね。


障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第二十二条第二項及び第三項並びに第二十六条第一項に規定する業務

この法律の第22条第2項及び第3項は以下の通りです。
  • 第2項:市町村は、支給要否決定を行うに当たって必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、市町村審査会又は身体障害者福祉法第九条第七項に規定する身体障害者更生相談所、知的障害者福祉法第九条第六項に規定する知的障害者更生相談所、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第六条第一項に規定する精神保健福祉センター若しくは児童相談所その他厚生労働省令で定める機関の意見を聴くことができる。
  • 第3項:市町村審査会、身体障害者更生相談所等又は前項の厚生労働省令で定める機関は、同項の意見を述べるに当たって必要があると認めるときは、当該支給要否決定に係る障害者等、その家族、医師その他の関係者の意見を聴くことができる。

また同法第26条第1項は「都道府県は、市町村の求めに応じ、市町村が行う第十九条から第二十二条まで、第二十四条及び前条の規定による業務に関し、その設置する身体障害者更生相談所等による技術的事項についての協力その他市町村に対する必要な援助を行うものとする」とされております。


以上が、児童相談所の業務として法律で定められている主なものとなります。
こちらを前提にしつつ、各選択肢を見ていきましょう。



選択肢の解説


①親権者の同意を得て特別養子縁組を成立させる。

上記の通り、児童福祉法法第11条第1項第2号トには以下のように記載されています。
養子縁組により養子となる児童、その父母及び当該養子となる児童の養親となる者、養子縁組により養子となつた児童、その養親となつた者及び当該養子となつた児童の父母その他の児童を養子とする養子縁組に関する者につき、その相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うこと

上記の通り選択肢で示されている「特別養子縁組を成立させる」ということは業務に含まれていないことがわかります。
養子や養親、それになる前やその後について、相談に応じて、情報提供や助言を行うことが定められているのみです

特別養子縁組を成立させることができるのは家庭裁判所になります
そもそも特別養子縁組とは、原則として6歳未満の未成年者の福祉のため特に必要があるときに、未成年者とその実親側との法律上の親族関係を消滅させ、実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度です。
そのため、養親となる者は、配偶者があり、原則として25歳以上の者で、夫婦共同で養子縁組をする必要があります。
また、離縁は原則として禁止されています。

これが規定されているのは民法第817条の2(特別養子縁組の成立)になります。
以下の通りです。
家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という)を成立させることができる

以上より、選択肢①は児童相談所の業務内容として誤っていると判断でき、こちらを選択することが求められます。



②必要に応じて家庭から子どもを離して一時保護する。

上述のように児童福祉法第11条第1項第2号ホには「児童の一時保護を行うこと」とあります
このように一時保護は児童相談所の業務内容として見なすのが妥当です。

一時保護に関しては児童福祉法第33条第1項が根拠となっており、以下のように規定されています。
児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる

児童の心身の安全を第一にしながら行われるということが規定されていますね。
よって、選択肢②は児童相談所の業務内容として正しいと判断できるので、除外することが求められます。



③親権者の同意を得て児童福祉施設に子どもを入所させる。

こちらは児童福祉法第11条第1項第2号ヘ(5)に規定があります。
第二十七条第一項第三号の規定により里親に委託しようとする児童及びその保護者並びに里親の意見を聴いて、当該児童の養育の内容その他の厚生労働省令で定める事項について当該児童の養育に関する計画を作成すること

上記の児童福祉法第27条第1項第3号には虐待を疑われる児童に対し、「児童を小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託し、又は乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させること」と示されております。

ただし、こちらには続きがあり、以下のように規定されています。
第一項第三号又は第二項の措置は、児童に親権を行う者(第四十七条第一項の規定により親権を行う児童福祉施設の長を除く)又は未成年後見人があるときは、前項の場合を除いては、その親権を行う者又は未成年後見人の意に反して、これを採ることができない

すなわち親権者の同意をもって施設入所を進めていくことになるわけです
だからこそ児童相談所では保護者との連携を重ね、協力していく体制を重視するということになります。
強権を振るえば関係が修復不可能になることもあるので、この辺についてはかなり慎重に行うのが当然ですね。

よって、選択肢③は児童相談所の業務内容として正しいと判断できるので、除外することが求められます。



④子どもに関する専門性を要する相談を受理し、援助を行う。

こちらは児童福祉法第11条第1項第2号ハに「児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行うこと」とあります。

また、児童福祉法第11条第1項第3号には「前二号に掲げるもののほか、児童及び妊産婦の福祉に関し、広域的な対応が必要な業務並びに家庭その他につき専門的な知識及び技術を必要とする支援を行うこと」となっております。

これらは選択肢④の内容と齟齬がないものと考えるのが妥当です。
よって、選択肢④は児童相談所の業務内容として正しいと判断できるので、除外することが求められます。



⑤市区町村における児童家庭相談への対応について必要な助言を行う。

こちらは児童福祉法法第11条第1項第1号の内容に基づいたものです。
第十条第一項各号に掲げる市町村の業務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供、市町村職員の研修その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行うこと

そして「同法第10条第1項各号」は以下の通りです。
  1. 児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。
  2. 児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な情報の提供を行うこと。
  3. 児童及び妊産婦の福祉に関し、家庭その他からの相談に応ずること並びに必要な調査及び指導を行うこと並びにこれらに付随する業務を行うこと。
  4. 前三号に掲げるもののほか、児童及び妊産婦の福祉に関し、家庭その他につき、必要な支援を行うこと。
これら市町村が行う業務について、必要な援助を行うことが児童相談所には定められているということですね

以上より、選択肢⑤は児童相談所の業務内容として正しいと判断できるので、除外することが求められます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
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