公認心理師 2019-35

2019年08月10日土曜日

問35は公認心理師法に関する設問です。
代表的な条項に関する選択肢が並んでいますね。

問35 公認心理師法について、誤っているものを1つ選べ。
①秘密保持義務についての規定がある。
②信用失墜行為に対しては罰則が規定されている。
③主務大臣は文部科学大臣及び厚生労働大臣である。
④国民の心の健康の保持増進に寄与することが目的である。
⑤公認心理師は、心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果の分析を行う。

これらの選択肢に該当する条項に関しては、条項数までもパッと浮かぶくらい覚えておいても良いものです。
それくらい2018年度の2回行われた資格試験で出題されていますし、2019年度の本試験でも問1で類似の出題があります。
公認心理師法関連は頻出問題と言ってよいでしょう。



解答のポイント

公認心理師法の内容について把握していること。



選択肢の解説


①秘密保持義務についての規定がある。

公認心理師法第41条(秘密保持義務)には「公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする」と記載があります。

ちなみにこの秘密保持義務に違反した場合は、公認心理師法第46条に基づき「一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」に処されることになります。
※ただし、この罪は告訴がなければ公訴を提起することができません(つまり親告罪です)。

以上より、選択肢①は正しいと判断できるので除外することが求められます。



②信用失墜行為に対しては罰則が規定されている。

まずは信用失墜行為の禁止は公認心理師法第40条に「公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない」と規定されています。

そして、こちらに違反した場合は、公認心理師法第32条第2項に規定されており「文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる」ということになります。

一見、選択肢の内容が正しいように見えますが、それは違います。
上記で定められているのは、いわゆる「行政処分」であり、罰則規定ではありません

この点を詳しく見ていきましょう。
まず刑罰については、刑法第9条に定められております。
刑罰の種類として、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料、没収の7つを定めています。
  1. 死刑:命を奪う刑
  2. 懲役:身柄を監獄に拘束する刑で、その監獄内で決められた作業をさせられるもの
  3. 禁錮:懲役と同じく身柄を監獄に拘束する刑だが決められた作業をさせられない。もっとも、自主的に作業を行う人がほとんど。
  4. 罰金:お金を奪う刑で、その額は原則1万円以上とされている。
  5. 拘留:懲役のように身柄を拘束する刑だが、その期間が1日以上30日未満と、懲役より短くなっている。
  6. 科料:罰金と同じくお金を奪う刑だが、その額は原則1000円以上1万円未満と、罰金より低くなっている。
  7. 没収:物を没収する刑。この刑は、単独で科すことができないため、例えば「懲役○年プラス没収」というように、他の刑に付け加えて科すことになる。
    このため、没収は付加刑と呼び、反対に死刑から科料までの6つの刑を主刑と呼ぶ。
選択肢①の秘密保持義務違反では、上記の罰金が科せられることが定められていますね。
この辺については2018-30の選択肢②で出題されているので、間違えたくないところです。
一方で行政処分では刑法総則の定めは適用されません。

ここで公認心理師法関連の法的義務、罰則、行政処分、その内容についてまとめておきましょう。
公認心理師の法的義務は以下の通りです。
  • 信用失墜行為の禁止
  • 秘密保持義務
  • 連携等(医師の指示を含む)
  • 資質向上の責務
  • 罰則の対象
上記のうち、罰則になるのが秘密保持義務違反であり、違反すれば「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」となります。

行政処分の対象は以下の通りです。
  • 信用失墜行為の禁止
  • 秘密保持義務
  • 医師の指示
そして行政処分の内容としては、「登録の取り消し」「期間を定めての公認心理師・心理師の名称使用停止」となります

これらを改めて覚えておきましょう。
以上より、選択肢②が誤りであると判断できるので、こちらを選択することが求められます。


③主務大臣は文部科学大臣及び厚生労働大臣である。

公認心理師は、教育、医療・保健、福祉、司法・矯正、労働・産業、学術・研究など非常に多岐にわたる活動領域を想定しており、特定の分野に限定されない「汎用性」「領域横断性」を特長とする心理職国家資格を旨とするものです。
よって、文部科学省と厚生労働省による共管とされ、主務大臣は文部科学大臣と厚生労働大臣と規定されています

この点は公認心理師法を読めば明確です。
いくつか抜き出してみましょう。
  • 第6条(試験の実施):試験は、毎年一回以上、文部科学大臣及び厚生労働大臣が行う。
  • 第8条(試験の無効等):文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があった場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。
  • 第25条(文部科学大臣及び厚生労働大臣による試験事務の実施等):文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関の指定をしたときは、試験事務を行わないものとする。
  • 第30条(公認心理師登録証):文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録をしたときは、申請者に第二十八条に規定する事項を記載した公認心理師登録証(以下この章において「登録証」という)を交付する。
まだまだたくさんありますが、この通り文部科学大臣と厚生労働大臣が主務大臣であることが読み取れます。
ちなみに公認心理師の登録証に記載されている大臣のサインも、文部科学大臣と厚生労働大臣の名前が併記されていますね。

以上より、選択肢③は正しいと判断できるので除外することが求められます。



④国民の心の健康の保持増進に寄与することが目的である。

公認心理師法第1条(目的)は「この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする」とされています。

選択肢の内容は、そのまま同法第1条に該当します。
よって、選択肢④は正しいと判断できるので除外することが求められます。



⑤公認心理師は、心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果の分析を行う。

公認心理師法第2条に、公認心理師の業務が規定されております。
「この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう」とされ、以下の4つが定めらえております。
  1. 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること
  2. 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
  3. 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
  4. 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。
選択肢の内容は、まさに第2条第2号に該当しますね。

よって、選択肢⑤は正しいと判断できるので除外することが求められます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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