公認心理師 2019-24

2019年08月07日水曜日

問24は文部科学省が行った調査についての把握です。
この調査は、その名称を変えたなどの経緯があるなどけっこう有名なものですね。

問24 2017年に文部科学省が実施した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」における暴力行為に当てはまるものとして、適切なものを1つ選べ。
①中学生が親を殴った。
②学区内の公園で、中学生が故意に遊具を壊した。
③高校生が後輩の中学生に対し、金品を持ってくるように命令した。
④小学生がバットの素振りをしていたところ、通りかかった教師に当たった。
⑤中学校内で、同じクラスの生徒同士が殴り合いになったが、双方に怪我はなかった。

こちらの調査ですが、以前は「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸課題に関する調査」という表記でした。
つまり、不登校を「問題行動等」の中に含めていたわけです。
その点に批判が集まり、今回のような表記に変更されたという経緯があります。

文部科学省のページにある「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」から引用しつつ解説をしていきましょう。
併せてこちらのページにある用語の解説も押さえておきましょう(本問を解くにはこちらの方が重要になります)。



解答のポイント

本調査における「暴力行為」の定義を把握していること。



選択肢の解説


①中学生が親を殴った。

本調査では「暴力行為」を「自校の児童生徒が、故意に有形力(目に見える物理的な力)を加える行為」として調査しています。
この点で言えば暴力行為を否定することはできないのですが、「用語の解説」を見てみると以下のような説明がなされています。

「暴力行為」とは「自校の児童生徒が、故意に有形力(目に見える物理的な力)を加える行為」をいい、被暴力行為の対象によって、「対教師暴力」(教師に限らず,用務員等の学校職員も含む)、「生徒間暴力」(何らかの人間関係がある児童生徒同士に限る)、「対人暴力」(対教師暴力、生徒間暴力の対象者を除く)、学校の施設・設備等の「器物損壊」の四形態に分ける。ただし、家族・同居人に対する暴力行為は、調査対象外とする

上記の下線部の「家族・同居人に対する暴力行為は、調査対象外とする」という点から、本選択肢は暴力行為に該当しないことがわかりますね
よって、選択肢①は本調査における暴力行為と見なすのは不適切であると判断できます。


②学区内の公園で、中学生が故意に遊具を壊した。

重要なのはこの選択肢の内容が「暴力行為」の「器物破損」に該当するか否かです

用語の解説では…
「暴力行為」とは「自校の児童生徒が、故意に有形力(目に見える物理的な力)を加える行為」をいい、被暴力行為の対象によって、「対教師暴力」(教師に限らず、用務員等の学校職員も含む)、「生徒間暴力」(何らかの人間関係がある児童生徒同士に限る)、「対人暴力」(対教師暴力、生徒間暴力の対象者を除く)、学校の施設・設備等の「器物損壊」の四形態に分ける。ただし、家族・同居人に対する暴力行為は、調査対象外とする。
…とされています。

このことから「公園の遊具」は「学校の施設・設備等の器物破損」という枠組みには該当しないことがわかります

なお、器物破損の例は以下の通りになります。
  • 教室の窓ガラスを故意に割った
  • トイレのドアを故意に壊した
  • 補修を要する落書きをした
  • 学校で飼育している動物を故意に傷つけた
  • 学校備品(カーテン,掃除道具等)を故意に壊した
  • 他人の私物を故意に壊した
  • その他、学校の施設・設備等を故意に壊した
あくまでも学校の施設・設備等に限定されていることがわかりますね。

よって、選択肢②は本調査における暴力行為と見なすのは不適切であると判断できます。



③高校生が後輩の中学生に対し、金品を持ってくるように命令した。

この選択肢で留意するポイントは「高校生」「後輩の中学生」「金品を持ってくるよう命令」の3点だと考えられます。

「高校生」ですから、本調査が義務教育以外が対象か否かということを確認する必要があります。
その点については「調査対象:国公私立小・中・高等学校(小学校には義務教育学校前期課程、中学校には義務教育学校後期課程及び中等教育学校前期課程、高等学校には中等教育学校後期課程を含む)」という記載が見られますから、問題がないと言えるでしょう。

また「後輩の中学生」についても、生徒間暴力が「何らかの人間関係がある児童生徒同士に限る」とされているので、こちらも暴力行為であることを否定するものではありません。
生徒間暴力の例の一つとして「高等学校在籍の生徒2名が、中学校時の後輩で、中学校在籍の生徒の身体を壁に押し付けた」というものがあるので、この点については明らかですね。

ただし「金品を持ってくるよう命令」については、この調査では暴力行為を「自校の児童生徒が、故意に有形力(目に見える物理的な力)を加える行為」と定義しています
よって、「金品を持ってくるよう命令」は本調査の暴力行為の枠組みに当てはまらないことがわかります。

以上より、選択肢③は本調査における暴力行為と見なすのは不適切であると判断できます。



④小学生がバットの素振りをしていたところ、通りかかった教師に当たった。

まず本調査では、暴力行為の内訳として「対教師暴力」「生徒間暴力」「対人暴力」「器物損壊」を挙げていますから、本選択肢にある「教師」もその対象になります。

一方で、この調査では暴力行為を「自校の児童生徒が、故意に有形力(目に見える物理的な力)を加える行為」と定義しています
選択肢にある「バットの素振りをしていたところ」に関しては「故意に」という点に反しますから、本調査における暴力行為には該当しないことがわかります

ちなみに対教師暴力の例は以下の通りです。
  • 指導されたことに激高して教師の足を蹴った
  • 教師の胸倉をつかんだ
  • 教師の腕をカッターナイフで切りつけた
  • 養護教諭目掛けて椅子を投げ付けた
  • 定期的に来校する教育相談員を殴った
  • その他、教職員に暴行を加えた
これらも押さえておきましょう。

以上より、選択肢④は本調査における暴力行為と見なすのは不適切であると判断できます。



⑤中学校内で、同じクラスの生徒同士が殴り合いになったが、双方に怪我はなかった。

まず「中学校内で、同じクラスの生徒同士が」という点については、本調査の暴力行為の定義に合致していることがわかります。

更に、本調査では「当該暴力行為によってけががあるかないかといったことや、けがによる病院の診断書、被害者による警察への被害届の有無などにかかわらず、暴力行為に該当するものを全て対象とすることとしている」とされています
つまり本選択肢にある「双方に怪我はなかった」という点は、暴力行為の有無の判断材料にはならず、本行為は暴力行為に該当すると言えます

こちらのページには、生徒間暴力の例が載っていますので、それを転記します。
  • 同じ学校の生徒同士がけんかとなり、双方が相手を殴った
  • 高等学校在籍の生徒2名が、中学校時の後輩で、中学校在籍の生徒の身体を壁に押し付けた
  • 部活動中に、上級生が下級生に対し、指導と称して清掃道具でたたいた
  • 遊びやふざけを装って、特定の生徒の首を絞めた
  • 双方が顔見知りで別々の学校に在籍する生徒同士が口論となり、けがには至らなかったが、身体を突き飛ばすなどした
  • その他、何らかの人間関係がある児童生徒に対して暴行を加えた
このように怪我には至らなかった場合も、本調査の暴力に該当することが示されております。

考えてみれば当たり前のことで「怪我がなければ暴力行為にならない」という論理になってしまうと、「犯罪が行われたけど誰も傷ついてないから犯罪にはならない」ということになってしまいます。
更に、こころの専門家である我々からすると、本当に問題になるのは「殴られたときの恐怖感」であって「殴られたことによる怪我の有無」ではありませんよね。

以上より、選択肢⑤が暴力行為に当てはまるものとして適切と判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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