NEO-PI-R

2019年07月04日木曜日

今日はNEO-PI-Rについてです。
2018年度公認心理師試験では、本試験で選択肢の1つとして、追加試験では1問丸々使って出題されていました。
特性論と絡めた概念なので、これを出題することで幅広い知識・理解を問うことができるという利点があるのだろうと思います。

NEO Personality lnventory (NEO-PI)はCosta&McCrae(1985)の一連の研究に基づいて開発されたものであり、人格の生涯発達的研究を視点に入れた新しい検査です。
1978年から10年間にわたり研究、開発されてきたものであり、人格の5因子モデル(いわゆるBigFiveですね)に基づいています。



NEO-PI-Rの開発経緯

開発当時はBigFiveについての統一的見解は出ていませんでしたが、McCrae&Costaはこ れらの体系を比較、検討して行く中で、人格の分類の仕方や捉え方はそれぞれ異なるが、特に神経症傾向と外向性という高次の因子が存在することに関しては意見の一致がみられ ると考えました。

その点から、神経症傾向と外向性はより広いクラスターとして、その下位次元に分類・分割できると考えたのです。
そうした視点より、まずは人格特性を定めてそれらを下位次元に分類していくという作業を行いました。

このようなやり方をもって、神経症傾向と外向性に加え、開放性という第3の次元を加えました。
そして3次元と18の下位次元を特定し、NEO-PIおよびNEO-PI-Rの前身であるNEOインベントリーを開発しました。

その後、1983年にNEOインベントリーに調和性と誠実性の次元が追加され、1985年に神経症傾向・外向性・開放性の次元スケール+下位次元スケールおよび調和性・誠実性の次元スケールから成るNEO-PIが刊行されました。
更に1990年には調和性と誠実性の下位次元スケールも作成され、NEO-PI-Rとして1991年に刊行され、現在に至っています。

こうした流れで、コスタ&マクレーは5因子モデル(Big Five)を洗練させていきました。



特性論について(特にオルポートを中心に)

開発経緯からもわかるように、NEO-PI-Rは、健康な成人の人格特性の5つの主要な次元(BigFive)を測るための尺度と言えます。
BigFiveは特性論の代表的概念ですね。

公認心理師試験ではオルポートの名前が選択肢として出てきていますが、なぜ彼の名が出てきたのかを理解しておきましょう。
オルポートは特性論の代表的研究者であり、基本的辞書仮説(重要な特性は必ず自然言語に符号化されているはず)をもとに、辞書に掲載されている性格表現用語として約18000語を抽出した上で、これを整理・分類し4504語を主要な性格表現用語としてまとめました。

しかし、これを適切に処理する方法が見つからず、長く放置されることになります。
その後、因子分析という科学的方法が盛んになったことで、手つかずになっていた特性語のまとまりが分析され、5因子が共通して見出されるようになりました。

ゴールドバーグはこれらの因子を、以下のように解釈・命名し「Big Five」と呼びました。
  1. 外向性:対人関係や外界に対する働きかけにおける積極性を示す。
  2. 調和性:対人関係における共感性や思いやりに関わる。
  3. 勤勉誠実性:仕事面におけるセルフ・コントロールや責任感に関わる。
  4. 情緒安定性(神経症傾向):情動における安定性。
  5. 知性(開放性):知的関心における開放性を示す。
これらは文化差や民族差を超えた普遍性を持つものとして、1990年代からはこの5因子モデルがパーソナリティ研究の中心的位置を占めるようになっていきました。

Costa&McCraeも同様に、5因子モデルを提唱し、それを細かく検証して下位次元を設定することでNEO-PI-Rの開発を行いました。
ゴールドバーグのBigFiveと、コスタ&マクレ―の5因子モデルはほぼイコールの関係にあります。

ただ、成立過程に若干の違いがあり、ゴールドバーグは先述したとおり、基本的語彙仮説と統計処理(因子分析)を中心として導かれたモデルです。
それに対して、コスタ&マクレーの5因子モデルは、理論的なアプローチを通したパーソナリティの階層構造(下位次元がある)を強調したモデルになります。
でも、コスタ&マクレーも因子分析を使っているので、やはり大差はないのかな…と思ってしまいますが、その辺の詳しいところまでは調べ切れていません。
やはり、下位次元を設定しているなどの違いは大きいのだろうと思います。

このように、オルポート→BigFive(ゴールドバーグ)≒5因子モデル(コスタ&マクレー)→NEO-PI-Rという流れがあるので、ある種のひっかけ問題としてオルポートの名前が出ているわけです。



NEO-PI-Rで測れること

測定される次元は5つで、各次元はさらに6つの下位次元から構成されており、包括的な人格の測定を可能にしています。
1つの下位次元には8つの評定尺度があります。

5次元とそれぞれの下位次元は以下の通りです。
  1. 神経症傾向:不安、敵意、抑うつ、自意識、衝動性、傷つきやすさ
  2. 外向性:温かさ、群居性、断行性、活動性、刺激希求性、よい感情
  3. 開放性:空想、審美性、感情、行為、アイデア、価値
  4. 調和性:信頼、実直さ、利他性、応諾、慎み深さ、優しさ
  5. 誠実性:コンピテンス、秩序、良心性、達成追求、自己鍛錬、慎重さ
すでに示した通り、この5次元はコスタ&マクレーが提唱し、詳細な下位次元を定めました。


【2018-8③、2018追加-15】

Share /

0 件のコメント

コメントを投稿

About Me

小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

Followers

CONTACT

名前

メール *

メッセージ *

© 公認心理師・臨床心理士の勉強会
designed by templatesZoo