「怒っている?」と聞かれやすい人について

2019年07月08日月曜日

怒っていないのに、よく人から「怒ってる?」と聞かれる人いますよね。
特に問題がなければ良いのですが、時々それによって回復過程が失速することもあります。
例えば、それが母子関係で生じている場合など。

まずは「本当は怒っているのに、そのことへの自覚がない場合」があります。
本当は怒っていて、怖い顔しているけど、その自覚がないということですね。
これは細やかに状況を聞いていくことで、ある程度見通すことが可能です。

怒りの表出については、それが自然なものであるとする他者の存在(カウンセリング場面においてはカウンセラー、ですね)によって表出しやすくなる場合もあります。
ただ、怒りなどのネガティブな感情全般の認識が難しくなっている時には困難になることも多いでしょう。

いずれの場合であっても、怒りなどのネガティブな感情であっても「クライエントの一部」「クライエントの大切なもの」と見なして関わることが大切です。
それが社会的にどのような意味を持とうが「クライエントの内面から表出されたもの」であることは間違いなく、それを否定的なものと見なして関わるのはクライエント自身を否定的に見るのとイコールです。

こういうことが可能になるためにも、カウンセラーは一般常識からある程度「自由」であることが大切だと思います。
一般常識を「気にしない」のでも「外れている」のでもなく、あくまでも一般常識はわかっているけど「自由」であるということです。
「気にしない」とか「外れている」のは、単なる非常識ですからね。


さて他にも「怒ってる?」と聞かれやすい人の特徴パターンがあります。
それは無表情な人です。
正確にはあまり内面が表情として現れない人です。

多くの人にとって、相手の表情からその感情を読むというのは幼少期からブラッシュアップされている能力です。
その能力をもって、相手の感情を読み取り、自身の言動を調整していくのは社会的にも必要なことと言えるでしょう。

ですが先述の通り、「内面が表情として現れない人」というのもいます。
表情から内面が読み取れない場合、「自分の感情状態を基準に解釈してしまう」ということが起こります(ここで言う「解釈」は精神分析的な意味のそれとは違いますよ)。
特に関係が成立していない場合、例えば、その人がどういう人かよくわかっていない場合などでは、相対していて多少の不安があるので、その不安を基準として「怒っているのではないか?」「何か不機嫌なことを言っただろうか?」といった認識が生じやすくなります。

もちろん、自他の区別がしっかりとできている人はそういった解釈を行わないのですが、精神的な要因や未成熟といったことを背景として、自他の区別がつきにくい状態というのは生じてきます。

これは思春期の子どもたちにも生じやすい現象と言えるでしょう。
彼らが言う「周りが自分を嫌っている」という訴えは多くの場合、「自分が自分に対してよいイメージをもてていない」ということが影響しています。
そうした自分が持っている否定的な自己イメージが、周囲が持っているものと考えてしまうわけです。
よって、こういう訴えに対して論理的な修正(例えば、そんなことないよ、などの声掛け)は効果が薄い方法と言わざるを得ません。
意味がないとは言いませんが、ターゲットにするものを間違えているという感じですね。
この場合のターゲットは、あくまでもその語り手の「自己イメージ」であることが多いということです。

対して、内面がすぐに表情に現われる人は、そういった認識が向けられることが少なくなります。
無表情はある意味「何色にも染まる」という状態になりやすいですが、明確に表情がある場合は「すでに何色かに染まっている」わけです。
明らかに笑っている人に「この人は怒っているんだ」という感情を抱くことは難しいでしょうから(そういう人もいますけど、それはそれでどういう心理があるのかが分かりやすくなりますね)。

表情の話とはズレるかもしれませんけど、カウンセラーに置き換えると色んな意見があるでしょう。
カウンセラーは個人的な価値判断や考え方を出すべきではないという学派もあり(実際は没個性的に振る舞うというのは誤った認識なのですが)、だからこそクライエントの特殊な感情を映しやすいという意見があります。
一方で、オープン・ダイアローグなどでは、リフレクティング・プロセスの中でカウンセラーらの意見を出し合うことが効果的であるとされています。
私はどちらかと言えば後者のスタンスですが、これは勤めている領域や対象とする問題・病理によって異なってくると思います。

「怒っている?」と人から尋ねられる人は、そのことに疑問を抱いており「怒っていないのに…」と困惑していることも少なくありません。
そういう場合に、多少の自己理解の促進のため、こういった仮説を伝えてみるのも一つのやり方かもしれないですね。
カウンセリングが良い形で展開していくと、「怒っている?」と聞かれることが少なくなるような気がしています。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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