臨床心理学の基礎理念(科学者-実践家モデル・生物心理社会モデル(BPSモデル))

2019年06月10日月曜日

臨床心理学の基礎理念として、科学者-実践家モデル、BPSモデルなどがブループリントに挙げられています。
これらについて簡単に述べていきましょう。

これらについてはまだ出題されていないので、どのような形で問題となるのかまだわかっていません。
大枠の定義くらいは押さえておきたいところですね。



科学者-実践家モデル

1949年、臨床心理学の養成について会議が開かれ「科学者-実践家モデル」が採択され、専門職(profession)としての臨床心理学が確立しました。
医学モデルの無批判の受容という批判もあります。
伝統的は博士課程養成モデルとして、リサーチと臨床の両方を重視する姿勢です。

このモデルで求められている専門職としてのサービスは以下の通りです。
  1. 個人に対する診断・治療はもとより矯正・医療によるサービス
  2. コミュニティのよりよい健康のため積極的な精神衛生プログラムを必要している集団や社会組織に対するサービス
  3. 訓練中の学生、他の専門職、市民に対する教育・情報普及によるサービス

対して、このモデルにおけるリサーチによる貢献は以下の通りです。
  1. 人間行動についてのより良い理解の開発
  2. 診断手続きの正確さ・信頼性の改善
  3. より有効な治療法の開発
  4. 精神衛生増進法・不適応予防法の開発
これらが科学者-実践家モデルに求められたものとなります。
こうしたモデルへの批判として、実践家はリサーチ結果の利用者であれば良いとする「実践者学者モデル」や、リサーチ技能重視の「臨床科学者モデル」が生まれました。



生物・心理・社会モデル(BPSモデル)

BPSモデルは、生物的・心理的・社会的アプローチを体系的に統合したEngel(エンゲル,1977)による造語です。
論文タイトルは「新しい医学モデルの必要性-生物医学への異議申し立て」(主な引用箇所は以下の通り)。
  • 医師の責任は、心理生物的な統一体である患者の問題がどういう問題であるか評価し、他の援助専門職へのリファーを含め、患者がどう行動すべきか勧奨することである。
  • 医師の専門職としての基本的な知識・技能は、社会的・心理的・生物的なものに渡らなければならない。患者のために行う問題評価と行動勧奨はこれら3つを含むからである。

Ghaemi(ガミー)はBPSモデル批判として、このモデルではある事態における優先すべき要因がわからない、事態によって優先すべき要因があるので「他の専門性を尊重・顧慮し、自らの専門性に還元しないこと」が重要とされています。

約10年後の1989年、医療費削減と高品質医療提供を目的に「医療政策研究機構」が設立され、アメリカ精神医学会は1993年にうつ病の治療ガイドラインを出版されます。
これが「実証的支持のある療法(empirically supported treatment;EST)」(心理療法一般の効果が確認されたなら、進んで特定の障害や問題に対して優れた療法の特定は必然)の始まりとされており、後のエビデンスベイストに続いていきます。



エビデンスに基づく実践

医療政策研究機構(現在の医療研究・品質調査機構)設立から10年後の1997年に医学者Sackett(サケット)によって「Evidence-Based MEDICINE」が出版されます。
定義は「心理学におけるエビデンスに基づく実践は、患者の特性・文化・選択に即して、入手可能な最善のリサーチを臨床技能と統合する」になります。

EBMの3要素は以下のとおりです。
  1. 科学的根拠:メタアナリシスなどがここに含まれる
  2. 臨床上の経験・技能
  3. 患者の価値感:事例の個別性に関しては2や3に含まれている。
特に日本では2と3を知らない人が多い。1のみで捉えないように!
事例の個別性もエビデンスベイストでは扱っています。

エビデンスベイストアプローチについては、公認心理師2018-116をご参照ください。
詳しく載せていますので。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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