機能分析と実験的行動分析・応用行動分析

2019年05月23日木曜日

ブループリントの項目について解説していくシリーズです。
(シリーズ名をつけると抜け出せなくなるから、以降は言いません)
「心理状態の観察及び結果の分析」に「機能分析」という用語があります。
こちらについて簡単に説明していきましょう。

まず「機能分析」について学ぶ前に「行動分析」について述べていきます。
この2つの用語はほぼ同じように扱われていることも多いようですね。

まず「行動分析」についてです。
有斐閣の辞典によると定義が2つ示されています。

個体がなぜそのように行動するかを明らかにしようとする行動の客観科学。…⑤研究対象としてのヒトを含めた動物のオペラント行動などにその特徴がある。主要な研究領域に実験的行動分析と応用行動分析がある。

こちらの定義はより全般的な定義と言えますが、その中でもオペラント行動を背景とした定義も示されています。
もう一つの定義は以下の通りです。

スキナーの徹底的行動主義のパラダイムを用いた分析すべてを指す用語であるが、行動変容(応用行動分析)を行う際の対象児・者のアセスメントを指す場合もある。後者の場合、行動分析は弁別刺激-反応-結果の三項による随伴性が分析される。

こちらにある「三項による随伴性」とは、いわゆる三項随伴性のことであり、徹底的行動主義の主要な概念の一つです。
三項随伴性では、「問題を引き起こす先行刺激」「刺激に対するClの反応(標的となる問題行動)」「その反応から引き起こされる後続刺激(=結果)」という枠組みで、標的行動と環境との関連性のアセスメントをしていきます。

そして有斐閣の「臨床心理学」には、機能分析について以下のように記されています。

行動を生じさせる刺激、それによって生じる行動、行動の結果という3つの要素の結びつき(随伴性)によって、行動が生じるというとらえ方である。そして行動と結果との随伴性を明らかにすることを機能分析と呼ぶ。

すなわち、行動分析の2つ目の定義が「機能分析」とイコールとなっているわけです。
そう考えると、「行動分析」は「機能分析」までを含んだより広い概念だと捉えることができます。

いくつかの教科書等には、機能分析は「クライエントの問題行動を標的として、それを引き起こす変数を特定するとともに、その問題行動が維持されている環境との相互作用のメカニズムを把握する技術を指す」と心理療法の枠組みでは説明されているものも多いです。
しかし、上記の定義を考えれば、別に心理療法の枠組みに限るものではなく、動物を対象とした場合でも当てはまることがわかると思います。

さて、こうした行動分析は有機体の行動の予測と制御を目標としています。
つまり、観察可能な有機体の行動と外界の出来事の間の関係を明らかにしようとするわけです。

具体的には、実験室等の厳密に制御された環境で、ヒトを含む動物を対象に、環境要因を直接操作し、環境への機能によって定義された行動を変容させることで、両者の因果関係を明らかにしようとするのです。
そして、行動分析におけるこうした研究領域を「実験的行動分析」といいます。

この「実験的行動分析」で見出された変数を用いて、人間の行動問題の分析と修正を目的として「応用行動分析」が誕生しました。
こちらがよく心理療法で用いられるタイプのものですね。
ASDの療育でよく活用されるものです。

さて上記より、これらの用語について説明するとしたら以下のようになると思います。
  • 行動分析:
    個体がなぜそのように行動するかを明らかにしようとする行動の客観科学であり、この中に機能分析を含む。
  • 機能分析:
    行動分析の中でもスキナーの徹底行動主義のパラダイムを用いた分析であり、特に三項随伴性を前提にしている。
  • 実験的行動分析:
    行動分析(機能分析も含む)を用いて有機体(動物とか)の行動の予測と制御を目標としたもの。
  • 応用行動分析:
    実験的行動分析で見出された変数を人間の行動問題の分析と修正を目的として応用したもの。ここでもスキナーの三項随伴性を通した分析、すなわち機能分析を用いた行動問題の分析が行われている。
行動療法のモデルの中で「応用行動分析モデル」がありますが、それはこちらの応用行動分析の論理を用いているということです。

ちょっとややこしい用語ですが、しっかりと押さえておきましょう。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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