公認心理師 2018追加-98

2019年04月15日月曜日

幼児又は児童への司法面接について、最も適切なものを1つ選ぶ問題です。

司法面接は、公認心理師2018-144の選択肢③において出題されています。
また、過去に一度簡単にまとめた記事を出しています。

出題も2度目ですし、この際しっかりとまとめようと思います。
出典は仲真紀子先生編著の「子どもへの司法面接」です。



解答のポイント


司法面接の特徴について把握していること。



司法面接とは


【司法面接の定義】

司法面接は「法的な判断のために使用することのできる精度の高い情報を、被面接者の心理的負担に配慮しつつ得るための面接法」と定義することができます。
狭義の司法面接は、その歴史的背景から、子どもの被害者・目撃者を対象としてきました。
しかし、司法の場で用いる情報収集のための面接法という観点から言えば、被疑者への接見、取り調べ、大人の被害者や目撃者からの事情聴取、法廷での尋問なども司法面接の範疇に含まれると言えます。


【司法面接の目的と特徴】

司法面接にはいくつかの種類がありますが、①正確な情報をより多く引き出すこと、②子どもへの精神的負担を最小限にすることは共通の目的であり、それが最大限生かされるように工夫されています。
司法面接の特徴は、以下のようなものとされます。
  1. 記憶の変容や汚染が起きないように、また供述が変遷しないように、できるだけ早い時期に、原則として1度だけ面接を行う。
  2. 面接を繰り返さないですむように、録画・録音という客観的な方法で記録する。
  3. 面接は、子どもに圧力をかけたり、誘導・暗示を与えたりすることのないように、自由報告を主とする構造化された方法を用いる。
  4. これも子どもが何度も面接を受けることを防ぐためであるが、複数の期間が連携して、1度で面接を行うか、面接の録画を共有できるようにする。
事項では、上記についてもう少し詳しく述べていきます。


【司法面接の特徴:自由報告を求める】

法的判断に役立つ正確な情報を引き出すには、誘導や暗示の影響を最小限にしなければなりません。
面接における誘導・暗示は、面接者の言葉に由来することが多いです。
これを避けるため、被面接者自身にできる限り語ってもらうことが重要です。

まずは質問の種類については以下の通りです。
  • オープン質問:
    「話してください」「そして」「それで」など。
    より正確で、より多くの情報を含んでいる。
  • WH質問(焦点化質問):
    「いつ」「どこで」「だれが」など。
    応答は短くなりがちだが、その内容は比較的正確である。
  • クローズド質問(選択肢の提示):
    「はい」「いいえ」あるいはAかBか等で答える選択式の質問。
  • 誘導質問:
    「~ですね」等の「はい」を誘発する質問。質問の「~ですね」が「はい」を引き出すタグとして機能するので、タグ質問とも呼ばれる。
    クローズド質問および誘導質問への応答は短いものになりがちである。また、質問に含まれる命題(「Aですか?」に対して「Aである」)への黙従が起きたり、質問に含まれる命題が記憶を汚染するなどの可能性がある。
これらの知見を踏まえ、オープン質問を用いて子どもの自由報告を最大限得ようとすることが、司法面接の特徴の1つと言えます。


【司法面接の特徴:ゆるやかな構造化】

子どもを面接室に連れて来て「話してください」と問いかけても、子どもは何を話せばよいのかわからないかもしれません。
そこで、多くの面接法が次の4つの段階を踏んで行われます。
  1. ラポールの形成:
    話しやすい関係性を築く。
  2. 自由報告:
    「今日は何を話しに来ましたか」などの誘いかけにより、自発的な報告を求める。
  3. 質問:
    自由報告で全ての情報が得られない場合、必要に応じて質問を行う。
    ①オープン質問
    ②WH質問
    ③クローズド質問
    ④確認・誘導質問(ここまでで、疑われる内容が報告されない場合、「叩かれたことがありますか」「誰が叩きましたか」などの疑われる内容についてのクローズド質問を行う。イギリスでは、疑われる内容についてのクローズド質問を「誘導質問」と呼ぶ)
  4. クロージング:
    子どもからの質問や希望を受け、感謝して終了する。
これらは一方向ではなく、ラポール形成後でも自由報告がうまくなされなければ、ラポール形成に戻ることもあり得ます。
各段階を行きつ戻りつしながら行われるということです。


【司法面接の構造】

導入の段階では、以下のような「最小限の手続き」を行います。
導入には7~8分ほどに要するとされます。
  1. 挨拶・説明:
    子どもが面接室に入ってきたら、面接者はドアまで出向いて子どもを暖かく迎え入れ、椅子に座らせ、自己紹介を行い、面接の目的を告げる。
  2. グラウンドルールの説明:
    ①「今日は本当のことを話すのが大切です」
    ②「質問の意味がわからなければ「わからない」と言ってください」
    ③「質問の答えを知らなければ「知らない」と言ってください」
    ④「私が間違ったことを言ったら「間違っているよ」と言ってください」
    ⑤「私はその場にいなかったので何があったかわかりません。どんなことでも○○さんの言葉で全部話してください」
  3. ラポール形成:
    「○○さんは何をするのが好きですか」などのように、安心して話せるような関係性を築く。
  4. 出来事を思い出して話す練習:
    司法面接ではエピソード記憶が重要だが、意味記憶との混乱が生じることも多い。
    そこで、過去の出来事を思い出して話す練習をしてもらう。
    例えば「今朝起きて、ここに来るまでにあったことを、全部思い出して話してください」と記憶喚起を求め、子どもが話し始めたら、それを遮ることなく聞いていく。
こうした手続きの上で、本題に入っていきます。

自由報告ではオープン質問により、子どもから、問題となっている出来事の報告を得ます。
上述の通り、自由報告だけでは十分でない場合には、他の質問形式も活用します。
一定の情報が得られ、さらなる情報を得るためにクローズド質問を用いる必要が出てきたならば、面接者はブレイクを取ります。

ブレイクとは「中断」「休み時間」という意味で、その間に面接者はモニター室などにいるバックスタッフと話し合い、欠けている情報や明確にすべき情報について、どう尋ねるかについて支援を受けます。
そして、必要に応じてクローズド質問等を行っていくこともあります。

クローズド質問・誘導質問になりやすいが、確認せずにおくことが不適切な情報は以下の通りです。
  1. 加害者の言葉:
    脅しや口止めをしていたかどうかは、被疑者の意図を推察する上で重要。
  2. その場に誰がいたか:
    他に加害者がいないか、目撃者や被害者がいないか確認する。
  3. 子どもがこの出来事について、他の誰かに報告しているかどうか:
    すでに開示があれば、その人物からも情報収集ができる。
  4. 疑われる出来事について何も話さなかった場合の質問:
    「○○さんは叩かれたことがありますか」などのように被疑者の名前は伏せて尋ねる方がよい。そこで「はい」と答えれば、オープン質問によって更に情報を得る。
これらの手法を用いて情報を収集し、それが十分であればクロージングになります。
あるいは上記の質問をしても情報を得ることができなくてもクロージングになります。
クロージングでは、報告してくれたことに対して感謝するとともに、他の面接者が知っておいた方がよいこと、子どもが話しておきたいこと、子どもからの質問などを受けます。

上記以外にも、更に詳しい手法について「子どもへの司法面接」には記載がありました。
興味のある方は一読されることをお勧めします。



選択肢の解説


『①児童が発現した言葉を面接者が分かりやすい表現でかみ砕いてフィードバックする』

司法面接では、記憶の変容や汚染が起きないようにすることが重要です。
よって、子どもの言葉をそのまま記録したり、やり取りの中で用いることが重要であり、それを別の言葉に換えてしまうことは適切ではありません

例えば、子どもが「嫌なことをされた」と言ったときに「叩かれた」と言い換えてはならないのはよくわかると思います。
他にも「ぶつかった」を「押された」とすること、「手が当たった」を「叩かれた」とするなど、言い換え可能性は無数にあると思います。

証言心理学でも、車と車が「ぶつかった」と表現したときと「激突した」と表現したときでは、聞き手にイメージされる事故の大きさが異なります。
そうした言い換えによって子ども自身が、現実よりも自分がされたことを過大・過小評価してしまうことが「記憶の変容や汚染」なわけです。

このことは面接者自身も気がつかないうちに行ってしまうこともあり得ます。
子どもの使った言葉を使いながらやり取りすることを念頭に置いて進めることが重要になります。

以上より、選択肢①は不適切と判断できます。



『②児童が答えやすいように、基本的に問いかけは閉じられた(クローズド)質問とする』

面接は、子どもに圧力をかけたり、誘導・暗示を与えたりすることのないように、自由報告を主とする構造化された方法を用います。
司法面接で重要なのは子どもの自由報告であるので、使われる質問はオープン質問が中心になります

その他にも「WH質問(焦点化質問)」「クローズド質問(選択肢の提示)」「誘導質問」などがありますが、これらは自由報告で必要な情報が得られなかった場合にやむを得ず行われるものです。
特に、クローズド質問および誘導質問は、質問に含まれる命題(「Aですか?」に対して「Aである」)への黙従が起きたり、質問に含まれる命題が記憶を汚染するなどの可能性があるので必要な場合以外には用いないのが原則です。

以上より、選択肢②は不適切と判断できます。



『③本題に入る前に、練習として本題と関係のない話題についてエピソードを話させる』

司法面接の導入部では、子どもに出来事を思い出して話す練習をしてもらいます
それは、司法面接においてはエピソード記憶が重要だが、意味記憶との混乱が生じることも多いとされているためです

具体的には、例えば「今朝起きて、ここに来るまでにあったことを、全部思い出して話してください」と記憶喚起を求め、子どもが話し始めたら、それを遮ることなく聞いていくというやり方で行います。

以上より、選択肢③は適切と判断できます。



『④事実をしっかり引き出すために同じ面接者が繰り返し面接を重ね十分な時間をかけて行う』
『⑤様々な立場の専門職が面接の手法を変えて別々に事情を聴取し、それを持ち合った後で協議検討する』

司法面接にはいくつかの種類がありますが、①正確な情報をより多く引き出すこと、②子どもへの精神的負担を最小限にすることは共通の目的であり、それが最大限生かされるように工夫されています。

その点を踏まえて、記憶の変容や汚染が起きないように、また供述が変遷しないように、できるだけ早い時期に、原則として1度だけ面接を行うことを重視しています
面接を繰り返さないですむように、録画・録音という客観的な方法で記録することになりますし、複数の機関が連携して、1度で面接を行うか、面接の録画を共有できるようにします

以上より、選択肢④および選択肢⑤は不適切と判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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