公認心理師 2018追加-134

2019年04月30日火曜日

介護保険法について、正しいものを2つ選ぶ問題です。

本法の成立背景として、老人福祉法の財政の破綻、医療分野を切り離して老人保健法を制定したものの、これも破綻したことがその成立に大きく関わっています。
これらの破綻のために、新たに高齢者福祉を扱うシステムが必要となり、そこで登場したのが介護保険法となります。

まずは各法律の第1条くらいに定めてある、その法律の「目的」をしっかりと押さえておくことが重要です。
介護保険法の目的は以下の通りです。
「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする」

すなわち、要介護者等について、介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定めることを目的とする法律と言えます。
これらを踏まえて、各選択肢の解説に入っていきましょう。



解答のポイント


介護保険法の基本的事項を把握していること。



選択肢の解説


『①保険者は市町村及び特別区である』

介護保険法第3条に「保険者」に関する規定が以下のようになされています。
市町村及び特別区は、この法律の定めるところにより、介護保険を行うものとする

ちなみに「特別区」とは、日本における特別地方公共団体の一種で、都の管轄にあって議会を持つ基礎的な地方公共団体を指します。
地方自治法第281条第1項で「都の区」と規定されるていますが、「東京都の区」ではありません。
しかし、現在のところ都は東京のみであるため、特別区とは事実上、東京都の区部を指すことになっていますね。

以上より、選択肢①は正しいと判断できます。



『②要介護者とは要支援状態にある65歳以上の者をいう』

介護保険法第7条に各用語の定義がなされています
それによると要介護者とは以下のいずれかに該当する者とされています。
  1. 要介護状態にある六十五歳以上の者
  2. 要介護状態にある四十歳以上六十五歳未満の者であって、その要介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(以下「特定疾病」という)によって生じたものであるもの
選択肢は「要支援」となっていますが、こちらは「要介護」が正しいわけですね。

「要支援1~2」「要介護1~5」という要介護度は、心身の状態に応じて7段階に分けられています。
ざっくりとした分け方にはなりますが、「要介護」とは、入浴、排泄、食事等の日常生活動作について常時介護を要すると見込まれる状態のことをいい、「要支援」とは、現在は介護の必要が無いものの、将来要介護状態になる恐れがあり、家事や日常生活に支援が必要な状態をいいます。

以上より、選択肢②は誤りと判断できます。



『③国民は65歳に達すると保険料を納付する義務が生じる』

介護保険法第10条には「資格取得の時期」として、「前条の規定(第1号および第2号被保険者)による当該市町村が行う介護保険の被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日から、その資格を取得する」とされています。
  1. 当該市町村の区域内に住所を有する医療保険加入者が四十歳に達したとき
  2. 四十歳以上六十五歳未満の医療保険加入者又は六十五歳以上の者が当該市町村の区域内に住所を有するに至ったとき。
  3. 当該市町村の区域内に住所を有する四十歳以上六十五歳未満の者が医療保険加入者となったとき。
  4. 当該市町村の区域内に住所を有する者(医療保険加入者を除く。)が六十五歳に達したとき。
上記の通り、40歳以上は資格取得となり、国民全員が40歳以上になると介護保険料を支払うことが義務付けられています
65歳以上は第1号被保険者、それ未満になると第2号被保険者となります。

第1号被保険者に関しては、介護保険法第132条に以下の通り規定されています。
  1. 第一号被保険者は、市町村がその者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合においては、当該保険料を納付しなければならない
  2. 世帯主は、市町村が当該世帯に属する第一号被保険者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。
  3. 配偶者の一方は、市町村が第一号被保険者たる他方の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。
ちなみに保険料の納付方法としては、特別徴収(年金天引き)と普通徴収(直接納付)があります。

一方、第2号被保険者に関しては、加入する医療保険とともに徴収されるため、国民健康保険の被保険者は、世帯ごとに徴収されます
なお国民健康保険以外の保険の被保険者も、加入している医療保険料と合わせて徴収されます。
厚生労働省のこちらの図がわかりやすいかなと思います。

上記のように、40歳以上の国民は介護保険料を納付する義務が生じます。
よって、選択肢③は誤りと判断できます。



『④65歳以上の被保険者には受給のための特定疾病が政令で定められている』

特定疾病についての規定は、上記でも示した介護保険法第7条第3項第2号に以下の通り規定されています。
要介護状態にある四十歳以上六十五歳未満の者であって、その要介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(以下「特定疾病」という)によって生じたものであるもの

上記は「要介護者」についてですが、同条第4項第2項には「要支援者」についても規定されています。
要支援状態にある四十歳以上六十五歳未満の者であって、その要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が特定疾病によって生じたものであるもの

選択肢にあるような「65歳以上」ということになれば、要支援認定、要介護認定によって受給が可能になります。
特定疾病が関わってくる場合は年齢の枠組みが下がり、「40歳以上65歳未満」+「要介護or要支援」ということになりますね

以上より、選択肢④は誤りと判断できます。



『⑤医療保険者は介護保険事業が健全かつ円滑に行われるよう協力しなければならない』

介護保険法第6条に「医療保険者の協力」として、以下のように定められています。
医療保険者は、介護保険事業が健全かつ円滑に行われるよう協力しなければならない

ちなみに「医療保険者」とは「医療保険各法の規定により医療に関する給付を行う全国健康保険協会、健康保険組合、都道府県及び市町村(特別区を含む)、国民健康保険組合、共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団」のことを指します(介護保険法第7条第7項)。

以上より、選択肢⑤は正しいと判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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