公認心理師 2018追加-66

2019年03月07日木曜日

5名の生徒の様子と検査結果から、アンダーアチーバーの生徒を選択する問題です。

内容は以下の通りです。
  • 中学校の担任教師が担当する5名の生徒について、日常の様子と知能検査の結果を参照して次のように考えている。
  • Aは怠学傾向がみられそもそも勉強に関心が向いていない。
  • Bは知能指数が高いにもかかわらず学力が向上しない。
  • Cの学力が向上しない理由は知能指数の低さにありそうだ。
  • Dは知能指数が低いことに加え、注意散漫で授業に集中できない。
  • Eは知能指数が低いにもかかわらず学力が高い。
5名の生徒のうち、アンダーアチーバーが疑われる生徒として、最も適切なものを1つ選ぶ問題です。

こちらの問題、実は公認心理師2018-68でほぼ同じ内容が出題されております。
このときは「学業不振児」という表現でしたが、狭義にはアンダーアチーバーという概念が含まれています。



解答のポイント


アンダーアチーバーの定義を知っていること。



選択肢の解説


『①A:怠学傾向がみられそもそも勉強に関心が向いていない』

怠学とは、そのまま怠けて学校に行かないことなどを指します
非行などの延長で語られることも多いですね。

怠学については、家庭に学習環境がない場合、ネグレクト傾向のある家庭、発達の特徴があるにも関わらず支援されなかったためにやる気を失った状態、学習を強制する環境に長く置かれたことによる反応、などなど多くの要因が考えられます

支援において重要なのは「生来の怠けなどない」という前提で考えていくことであり、子どもの一見して怠けと捉えられる言動には必ず理由があると考えて関わっていくことです。
よく子どものことを「怠けている」と評する人がおりますが、そういう人は「その人自身が怠けている」のです。
すなわち、よくよく観察したり関わったりすれば、その子どもが「怠けている」のではないことがわかるはずなのに、そういった手順をせずに「怠けている」から子どもの状態が適切に把握できないわけです。

怠学についてはアンダーアチーバーの説明としては適切ではありません(アンダーアチーバーの説明は選択肢②を参照にしてください)。
よって、選択肢①は不適切と判断できます。



『②B:知能指数が高いにもかかわらず学力が向上しない』

アンダーアチーバーとは、狭義には潜在的能力に見合うだけの学力を示していない子どもを指します
潜在的能力が低いために学力が低い学業遅滞児と概念的に区別されます。

アンダーアチーバーの判定は学力偏差値(要は学校の成績)と知能偏差値(ここで言う知能指数)を使って、成就指数等を算出することでなされます
成就指数とは、潜在的能力に比して学力がどの程度高いか、低いかを表す指標です。
通常は学力偏差値を知能偏差値で割り、100をかけたものを言います。
成就指数が、100を大幅に超える者をオーバーアチーバー、100を大幅に下回る者をアンダーアチーバーと呼びます

ただし、上記では知能が高い者ほど値が低くなる傾向があるため、現在は回帰成就値(学力偏差値-知能偏差値から推定される学力偏差値)が用いられています。

アンダーアチーバーは、自尊感情や社会的スキルをはじめとする適応性の発達に課題を抱える傾向があるほか、オーバーアチーバーと比べて学業の失敗を努力不足のためではないと考える傾向があります。
アンダーアチーバーは学習意欲を持つこと、学習習慣の形成自体が難しく、その状況から抜け出せないことが指摘されています。

学業不振の原因としては以下がその例として挙げられます。
  1. 身体的要因:視覚障害、心臓病等で十分に授業が受けられない。
  2. 性格的要因:神経質、情緒不安定などで集団学習が困難。
  3. 家庭的要因:両親の離婚、貧困等のため、物理的・精神的に学習に支障をきたす。
  4. 学校要因:学級運営、教師との関係などに問題があるため。
こうした諸原因以外にも、過去の経験不足、学習習慣の不適切などが挙げられます。
それぞれに応じて教育、治療、環境改善により克服していくことが必要となります。

Bの知能指数が高いにもかかわらず学力が向上しない、というのは上記の内容に合致します。
よって、選択肢②が適切と判断できます。



『③C:学力が向上しない理由は知能指数の低さにありそうだ』

教員職の用語で、学業不振にある子どもを学業不振児とよび、そのうち知的障害により知能が低い場合は学業遅滞と言います

Cの児童は知的障害という表現はなされていないので学業遅滞児と確定することはできませんが、少なくとも、アンダーアチーバーの説明としては不適切であると言うことはできます
よって、選択肢③は不適切と判断できます。



『④D:知能指数が低いことに加え、注意散漫で授業に集中できない』

こちらは前半の「知能指数が低い」という点からは学業遅滞の可能性が示唆されます
同時に後半の「注意散漫で授業に集中できない」というのは、子どもが学習することに好感を抱いていない場合から、発達障害の可能性まで幅広く捉えることが可能です

いずれにせよ、アンダーアチーバーの説明としては適切とは言えません。
よって、選択肢④は不適切と判断できます。



『⑤E:知能指数が低いにもかかわらず学力が高い』

こちらの内容は、選択肢②の説明よりオーバーアチーバーであると考えられます
オーバーアチーバーは、本人の自立心や社会性といった精神的な側面が健全な発達を遂げいるか否かが重要で、それが伴っていないと学習意欲の減退や、友人関係の不適応が生じる可能性があります。

よって、選択肢⑤は不適切と判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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