公認心理師 2018追加-20

2019年03月09日土曜日

非行について、正しいものを1つ選ぶ問題です。

非行少年の処遇については、以前記事を書いているのでご参照ください。
公認心理師2018-106が類似問題になります。

何を問われているかを明確にしながら解いていくことが大切ですね。



解答のポイント


少年法を根拠とした非行少年の処遇について把握していること。



選択肢の解説


『①校内暴力は中学校と高等学校で増加傾向にある』

こちらについては「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(その1)」に記載があります。
上記の資料には「暴力行為」ということでまとめられていますが、本選択肢は「校内暴力」について問うているものです。
よって、「学校の管理下における暴力行為発生件数の推移」を見ることが求められていますね。

上記によると、以下のように校内暴力件数は推移しています。
  • 小学校:
    平成25年度 10078件
    平成26年度 10609件
    平成27年度 15870件
    平成28年度 21605件
    平成29年度 26864件
  • 中学校
    平成25年度 36869件
    平成26年度 32986件
    平成27年度 31274件
    平成28年度 28690件
    平成29年度 27389件
  • 高等学校
    平成25年度 7280件
    平成26年度 6392件
    平成27年度 6111件
    平成28年度 5955件
    平成29年度 5944件
上記の通り、小学校ではここ数年で倍増していますが、中学校および高等学校では減少傾向にあります

ちなみに「暴力行為」について、以下の定義を把握しておくことが大切です(文部科学省のこちらのページに記載があります。例も併せて見ておきましょう)。
「自校の児童生徒が、故意に有形力(目に見える物理的な力)を加える行為」をいい、被暴力行為の対象によって「対教師暴力」(教師に限らず、用務員等の学校職員も含む)、「生徒間暴力」(何らかの人間関係がある児童生徒同士に限る)、「対人暴力」(対教師暴力、生徒間暴力の対象者を除く)、学校の施設・設備等の「器物損壊」の四形態に分ける。ただし、家族・同居人に対する暴力行為は、調査対象外とする」

小学校の増加は、マルトリートメントを背景とした粗暴な状態の顕在化、発達的要因などが関係していると思われます。

よって、選択肢①は誤りと判断できます。



『②非行少年とは触法少年、虞犯少年及び不良行為少年の3つをいう』

こちらについては少年法第3条(審判に付すべき少年)に記載があります。
  1. 罪を犯した少年
  2. 十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
  3. 次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
    保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
    正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
    犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
    自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
上記はそれぞれ、犯罪少年、触法少年、虞犯少年と呼ばれます。
そして、これら3つをまとめて非行少年と呼びます
ちなみに少年法における「少年」は男性女性の両性を指しています。

より平易に述べると以下の通りです。
  • 14歳以上20歳未満で罪を犯した少年:犯罪少年
  • 14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年:触法少年
  • 家出、不良交友、不純異性交遊等があり、その性格及び環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる恐れがある少年:虞犯少年
少年法に規定される年齢は、原則として20歳未満です。
刑法において責任を問える年齢が14歳以上とされているので、14歳以上と14歳未満ではその取扱いが異なります。
14歳未満(触法少年と14歳未満の虞犯少年)については、要保護児童として児童福祉法による措置が優先されます。

以上より、選択肢②は誤りと判断できます。



『③少年鑑別所は非行に関する親や学校からの相談や非行防止への援助の業務を担う』

少年鑑別所の役割は以下のようなものです。
  1. 家庭裁判所の求めに応じ、鑑別対象者の鑑別を行うこと。
  2. 観護の措置が執られて少年鑑別所に収容される者等に対し、健全な育成のための支援を含む観護処遇を行うこと。
  3. 地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助を行うこと。
本選択肢は上記の第3項についての内容になっています。

少年鑑別所法第131条に以下のように記載されています。
ちなみに少年鑑別所法は平成27年に施行されました。
「少年鑑別所の長は、地域社会における非行及び犯罪の防止に寄与するため、非行及び犯罪に関する各般の問題について、少年、保護者その他の者からの相談のうち、専門的知識及び技術を必要とするものに応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うとともに、非行及び犯罪の防止に関する機関又は団体の求めに応じ、技術的助言その他の必要な援助を行うものとする
上記のうち、「非行及び犯罪の防止に関する機関又は団体」の中に学校が含まれているとみてよいです。

以上より、選択肢③は正しいと判断できます。



『④児童相談所は家庭裁判所から送致を受けた少年を児童自立支援施設に措置することはできない』

まず少年法第18条(児童福祉法の措置)において以下のように規定されています。
「家庭裁判所は、調査の結果、児童福祉法の規定による措置を相当と認めるときは、決定をもつて、事件を権限を有する都道府県知事又は児童相談所長に送致しなければならない
すなわち、児童福祉法による措置が優先される場合(問題やその状況、年齢などによって)は児童相談所長(つまり児童相談所)に送致されることになります。

本選択肢で問うているのは、少年法第24条(保護処分の決定)との整合性です
少年法第24条は以下の通りです。
家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。ただし、決定の時に十四歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分をすることができる。
一 保護観察所の保護観察に付すること。
二 児童自立支援施設又は児童養護施設に送致すること
三 少年院に送致すること。

すなわち「家庭裁判所の保護処分において児童自立支援施設送致があるが、家庭裁判所がそれを選択せずに児童相談所に送致したにも関わらず、家庭裁判所が送致しなかった児童自立支援施設に児童相談所が措置して良いのか?」について尋ねているわけです。
「家庭裁判所→児童自立支援施設」とできるのに、「家庭裁判所→児童相談所→児童自立支援施設」とすることの是非、ですね。
迂回、たらい回ししているような印象を受けますよね。

結論から言えば、家庭裁判所から送致された少年を、児童相談所が児童自立支援施設に措置することは可能です
家庭裁判所が児童自立支援施設送致・児童養護施設送致とする場合、以下の2ルートがあります。
  1. 児童自立支援施設または児童養護施設送致決定による保護処分
  2. 都道府県知事または児童相談所長送致決定による児童福祉法上の措置
これらは児童自立支援施設に送られるという結果は同じですが、ルートが違うことによって法律上の在り方が異なります
その内容は以下のようになります。


ただし、児童養護施設は本来、要保護児童のための施設であり、非行性のある児童に対する特別な処遇を行うことは困難なので、実務上、家庭裁判所から児童養護施設送致決定によって送致されることはあまりありません
ですが可能は可能なので、表のような異同点をしっかりと把握しておくことが重要です。

以上より、選択肢④は誤りと判断できます。



『⑤非行少年は家庭裁判所での審判を受け、保護観察又は少年院送致のいずれかの保護処分を受ける』

まず冒頭の非行少年についておさらいです。
犯罪少年、触法少年、虞犯少年、これら3つをまとめて非行少年と呼びます

すなわち…
  • 14歳以上20歳未満で罪を犯した少年:犯罪少年
  • 14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年:触法少年
  • 家出、不良交友、不純異性交遊等があり、その性格及び環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる恐れがある少年:虞犯少年
…本問ではこれらすべての指しているとまずは理解することが大切です。

さて、本問の理解では、少年法第24条の規定が重要です。
家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。ただし、決定の時に十四歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分をすることができる
一 保護観察所の保護観察に付すること
二 児童自立支援施設又は児童養護施設に送致すること
三 少年院に送致すること

本問では「保護観察又は少年院送致のいずれかの保護処分を受ける」となっていますが、上記第2号の「児童自立支援施設又は児童養護施設に送致」が抜け落ちております。
この点に本選択肢の瑕疵があると見てよいでしょう

また少年法第23条第2項には「家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない」とあります
保護処分を受けないという場合もあるということですね。
本選択肢では「保護処分」の内容を問うていますので、本事項については+アルファの知識になりますが、審判の結果「保護処分に付さない」という判断もあることを理解し置くことは重要ですね。

以上より、選択肢⑤は誤りと判断できます。

Share /

2 件のコメント

  1. いつも参考にさせていただいています。分かりやすい解説をありがとうございます。

    本問の選択肢⑤について、「非行少年は、必ず審判を受け、保護観察又は少年院送致の保護処分を受ける」のではなく、「調査の結果、審判に付さない」(少年法第19条)こともあれば、「審判の結果、保護処分に付さない」(第23条)こともあるため、誤りなのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。

      選択肢⑤の解説、確かにずれていましたね(注目するポイントがずれていた)。
      書き換えたとおり「児童自立支援施設又は児童養護施設に送致」が抜けていることが、本選択肢の正誤判断で重要な箇所だと思います。
      また23条の内容も重要でしたね。

      ただし、ご指摘にあった少年法第19条は、実は本問の正誤判断に用いることはできないと考えております。
      まず19条は「調査の結果、審判に付さない」ということですから、本選択肢の「非行少年は家庭裁判所での審判を受け」という前提からずれてしまいます。
      つまり選択肢は「審判を受けた」という前提条件のもとで示されているので、審判の前になされる調査については時系列で言えば終わった話ということになります。
      こうした理由から、まず少年法第19条を正誤判断に用いることはできないと考えます。

      以上です。
      いずれにせよ、解説のポイントがずれていたことは間違いありません。
      ご指摘いただきありがとうございました。

      またお気づきの点などございましたら、コメント頂けると幸いです。

      削除

About Me

小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

Followers

CONTACT

名前

メール *

メッセージ *

© 公認心理師・臨床心理士の勉強会
designed by templatesZoo