BPSDとは「認知症の行動・心理症状」の略になります。
国際老年精神医学会(IPA)が、認知障害以外の障害を上記のように一括して呼ぶことを提唱しています。
かつては、中核症状に対して「周辺症状」と言われてきましたが、現在ではBPSDという表現が広まっています。
こちらでまず大切なのはBPSDを知っていることですが、知らなくても「中核症状」および「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」とその訳から、何となくアタリをつけて解いていきたいところです。
解答のポイント
認知症の症状を中核症状とBPSDに分けることができる。
BPSDという表現を知らなくても、その言葉のニュアンスから推察して判断できる。
選択肢の解説
【中核症状】
中核症状は脳の神経細胞が障害されることによって直接起こる症状を指します。具体的には、以下のような症状が該当します。
- 記憶障害
- 見当識障害
- 実行機能障害
- 失語
- 失行
- 失認
- 注意障害
【BPSD】
中核症状に対してBPSDは、本人の性格や生活環境をはじめ、普段から接している人との関係などによって症状の現れ方が異なるので個人差が大きいとされています。中核症状よりもBPSDの方が、介護者の負担感を増大させ、医療的な介入が求められる症状とされています。
よって、BPSDの評価は、認知症の治療や介護を考える上で、極めて重要と言えます。
国際老年精神医学会が2003年に提示し、日本老年精神医学会が2005年に監訳を行ったBPSDの症状については以下の通りです。
- 行動面:
・活動性の障害:焦燥、不穏、多動、徘徊、不適切な行為
・攻撃性:言語性、身体性
・摂食障害
・日内リズムの変動
・睡眠と覚醒の障害
・夕暮れ症候群
・とくに不適切な行動 - 心理面:
・焦燥、うつ、不安、感情不安定、興奮、無為
・妄想:ものを盗まれる、隠されるというもの、ここは自分の家でないという
・配偶者や介護者:浮気をしている、だましている
・幻の同居人妄想
・鏡徴候
・幻覚:幻視、幻聴、幻嗅、幻触
また、これら以外にも、喚声、性的抑制欠如、不用品の溜め込み、罵り、つきまとい、弄便、失禁などが含まれます。
BPSDの評価については、ほとんどが本人をよく知っている主介護者から聴取して得られた情報に基づく行動評価尺度です。
例えば、Neuropsychiatric Inventory(NPI)ではBPSDを10項目に抽出し、妄想、幻覚、興奮、抑うつ、不安、多幸、無為・無気力、脱抑制、易刺激性、異常行動について、よく日常生活を知っている介護者に対して、統一した質問により随時下位項目に進んでいく構造化面接を行います。
『②失行』
上記より、失行は中核症状に分類されます。よって、選択肢②が正しいと判断できます。
『①失禁』
『③徘徊』
『④妄想』
『⑤抑うつ』
上記より、これらの選択肢はBPSDに分類されます。よって、選択肢①、選択肢③、選択肢④および選択肢⑤は誤りと判断できます。
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