公認心理師 2018追加-52

2019年02月10日日曜日

DSM-5の神経発達症群/神経発達障害群について、正しいものを2つ選ぶ問題です。

真っ直ぐにDSM-5の内容を問うていると言えますが、いくつかDSM-Ⅳ-TRからの変遷を知っておいた方が良い選択肢も含まれています。



解答のポイント


神経発達症群/神経発達障害群に含まれる障害を把握していること。
各障害の診断基準の変遷を把握していると解きやすい。



選択肢の解説


『①選択性緘黙が含まれる』

選択性緘黙は「不安症群/不安障害群」に該当します。
この群に含まれるのは以下の障害になります。
  • 分離不安障害
  • 選択性緘黙
  • 限局性恐怖症
  • 社交不安障害
  • パニック障害
  • 広場恐怖症
  • 全般性不安障害
  • その他の、特定不能の不安障害
大切なのが、「神経発達症群/神経発達障害群」に含まれる障害の把握と、「不安症群/不安障害群」に含まれる障害の把握になります。
両面から理解できると安心して除外できる選択肢ですね。

以上より、選択肢①は誤りと判断できます。



『②典型的には発達早期に明らかとなる』

こちらは「神経発達症群/神経発達障害群」に含まれる各障害の診断基準に記載があります。

【知的能力障害群】
  • 知的能力障害:知的および適応の欠陥は、発達期の間に発症する。
  • 全般的発達遅延:小児期早期には臨床的重症度の妥当性のある評価をすることができない場合に、5歳未満の人のために用意されたカテゴリー。
  • 特定不能の知的能力障害:5歳以上の人が失明や言語習得前の難聴、運動機能障害、重度の問題行動または併発した精神疾患などで評価が困難な場合のために用意されたカテゴリー。

【コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群】
  • 言語症/言語障害:症状の始まりは発達期早期である
  • 語音症/語音障害:症状の始まりは発達期早期である
  • 小児期発症流暢症(吃音):症状の始まりは発達期早期である(遅発性は成人期発症流暢症とされる)。
  • 社会的(語用論的)コミュニケーション障害:症状は発達期早期より出現している(しかし、能力の限界を超えた社会的コミュニケーションが要求されるまでは、その欠陥は完全に明らかにならないかもしれない)

【自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害】
  • 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害:症状は発達早期に存在していなければならない(しかし社会的要求が能力の限界を超えるまでは症状は完全に明らかにならないかもしれないし、その後の生活で学んだ対応の仕方によって隠されている場合もある)

【注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害】
  • 注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害:不注意、多動性/衝動性の症状のいくつかは12歳までに存在していた
※DSM-5になって、7歳から12歳に引き上げられました。

【限局性学習症/限局性学習障害】
  • 限局性学習症/限局性学習障害:学習困難は学齢期に始まるが、欠陥のある学業的技能に対する要求が、その人の限られた能力を超えるまでは完全には明らかにならないかもしれない(例:時間制限のある試験、厳しい締切り期限内に長く複雑な報告書を読んだり書いたりすること、過度に重い学業的負荷)

【運動症群/運動障害群】
  • 発達性協調運動症:この症状の始まりは発達段階早期である
  • 常同運動障害:発症は発達期早期である
  • チック障害群:この群に該当する障害はすべて18歳未満の発症。

上記のように、発達早期に始まることが示されているものが多いです。
年齢がやや引き上げられている障害もありますが、それは小さい頃に「無かった」ことを示しているのではなく、環境との絡みによって初めて明らかになることを見越してということになります。

以上より、選択肢②は正しいと判断できます。



『③知的障害を伴わない発達障害のグループである』

選択肢②のなかで「神経発達症群/神経発達障害群」に含まれる障害を列挙しましたが、その中に「知的能力障害群」が含まれております
以上より、選択肢③は誤りと判断できます。



『④異なる神経発達症が併発することはほとんどない』

ある障害と別の障害が併存し得るかどうかは、いろいろ変遷があり、現在では併存し得るとされている場合がほとんどです。
例えばASDでは「知的能力障害と自閉スペクトラム症はしばしば同時に起こり…」という記載が見られます
上記のように、併存し得るという記載がわざわざされているものは少ないです。

しかし、それは「併発しない」ことを示しているわけではありません。
ADHDはASDとの併存は不可でしたが、現在は可能になっています。
すなわち本選択肢で問うているのは、除外診断項目として「記載されなくなった」という経緯について知っているか否かと言えます。

現在では多くの「神経発達症群/神経発達障害群」に含まれる障害間で併発が有り得るとされており、「除外診断」項目に含まれなくなっています
以上より、選択肢④は誤りと判断できます。



『⑤発達の里程標への発達の遅れだけでなく、過剰な兆候も含まれる』

そもそも「里程標」とは物事の推移・展開・発達の一段階を示すしるしとなるものを指します。
すなわち、発達の標準的な流れからの遅れだけでなく、過剰な兆候も含まれるか否かを問うているわけです。

選択肢前半の「発達の里程標への発達の遅れ」についての記載は多く見られます。
要は標準的な発達に比べて遅れているということに関する記載ですね。
知的障害群やコミュニケーション障害群では、そういった記載が中心になっています。

一方で、選択肢後半の「過剰な兆候」についても記載が見られます。
ASDにおいては「同一性への固執、習慣への頑ななこだわり」「強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する興味」「感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味」などがそれに当たります
またADHDの多動性・衝動性に関する内容は、ほぼすべてが「過剰な兆候」に関するものになっていますね

「発達の里程標への発達の遅れ」については、通常の発達ラインに達していない事柄ではあるけれど通常発達でも見られる可能性があるもの、と見てよいかなと思います。
それに対して「過剰な兆候」については、通常の発達では見られ難い指標、通常見られるよりも強い強度であること、という風に捉えられるかなと思います

以上より、選択肢⑤は正しいと判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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