公認心理師 2018追加-29

2019年02月27日水曜日

学校教育法に規定されている内容として、正しいものを1つ選ぶ問題です。

出席停止等の規定については「いじめ防止対策推進法」でも示されていますが、本問はあくまでも「学校教育法」に関する内容となっています。
特に懲戒等を「誰が行うのか」については、必ず押さえておかねばならないポイントと言えそうですね。



解答のポイント


学校教育法に規定されている学校の種類について把握していること。
学校教育法に定められている懲戒について理解していること。



選択肢の解説


『①学校には各種学校が含まれている』

学校教育法第1条に、学校教育法における「学校」の定義がなされています。
「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする

この選択肢を解く上で大切なのは、上記の「幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校」を選択肢内の「各種学校」と読み替えてしまわないことです
「各種学校」は、「学校」とは別に規定されています。

学校教育法第134条第1項に、各種学校について規定があります。
第一条に掲げるもの以外のもので、学校教育に類する教育を行うもの(当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるもの及び第百二十四条に規定する専修学校の教育を行うものを除く)は、各種学校とする

各種学校は、公立のものは都道府県の教育委員会が認可し、私立のものは都道府県知事が認可することになっていますので、各種学校に無認可校は含まれません。
各種学校の種類としては、予備校等、服飾・料理関係(~服飾学院など)、看護系(~看護学院など)、事務関係(~珠算学校など)、語学関係、外国人学校(インターナショナルスクールなど)、自動車教習所、宗教関係、サポート校などがあります

以上より、選択肢①は誤りと判断できます。



『②中等教育学校の修業年限は3年とする』

中等教育学校については、学校教育法第63条に規定があります。
「中等教育学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、義務教育として行われる普通教育並びに高度な普通教育及び専門教育を一貫して施すことを目的とする」

つまり、前期中等教育(中学校などにおける教育)と後期中等教育(高等学校などにおける教育)を一貫して施すシステムをとる学校のことを指します
この点を知っていれば、この選択肢は除外することが容易だと思います。
身近に中等教育学校がある人はこのシステムを知っている割合が高いので、解きやすかったのではないかと思います。

学校教育法第65条には「中等教育学校の修業年限は、六年とする」とされ、同法第66条には「中等教育学校の課程は、これを前期三年の前期課程及び後期三年の後期課程に区分する」とされています。

以上より、選択肢②は誤りと判断できます。

ちなみに中等教育学校は1998年6月の学校教育法改正により新たに定められた学校種です
従来から私立の中学校・高等学校の併設校にはカリキュラムを大幅に調整した中高一貫教育を行う学校が多かったですが、この改正により中学校から高等学校に相当する教育を一貫して施すために単一の学校として設置することが可能になったことになります。



『③校長は教育上必要があると認めるときは、児童生徒に転校を命じることができる』
『④市町村の教育委員会は、教育上必要があると認めるときは、児童生徒に懲戒を加えることができる』

こちらについては学校教育法第11条に以下のように規定されております。
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない」

上記の「懲戒」については文部科学省が「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例」の中で以下を例示しております。
  • 放課後等に教室に残留させる。
  • 授業中、教室内に起立させる。
  • 学習課題や清掃活動を課す。
  • 学校当番を多く割り当てる。
  • 立ち歩きの多い児童生徒を叱って席につかせる。
  • 練習に遅刻した生徒を試合に出さずに見学させる。
上記の参考事例の中には、体罰の例なども載っているので併せて覚えておくと良いでしょう。
ちなみに公認心理師2018-38の選択肢⑤も、こちらの内容と絡んでいますのでご参照ください。

このように「校長及び教員」が教育上必要があるときに「懲戒」を加えることができるとされております
よって、選択肢③および選択肢④は誤りと判断できます。

ちなみに「懲戒」という言葉についてもう少し説明していこうと思います。
「懲戒」は広い意味を持ちますが、本選択肢で示されている「懲戒」は生徒指導的な意味合いが強いと捉えることができます。

生徒指導的な「懲戒」だけでなく、学校教育法施行規則第26条第2項には「懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は、校長が行う」という規定があります(退学は、公立の義務教育学校では認められていません)。
こうした法的根拠を有するものから有さないものまで、「懲戒」の幅はかなり広いことがわかります。



『⑤市町村の教育委員会は、他の児童生徒の教育を妨げると認められる児童生徒があるときは、その保護者に対して、児童生徒の出席停止を命じることができる』

学校教育法第35条第1項に「市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる」と定められており、以下の通り各号が規定されています。
  1. 他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
  2. 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
  3. 施設又は設備を損壊する行為
  4. 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
このような行いがある場合、出席停止を命じることができます。

第35条第2項以下に、その際の留意する事項が示されております。
  • 第2項:あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない。
  • 第3項:出席停止の命令の手続に関し必要な事項は、教育委員会規則で定めるものとする。
  • 第4項:市町村の教育委員会は、出席停止の命令に係る児童の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。
すなわち、出席停止を行ったとしても、教育上の支援は行う必要があるということです。
学習機会の保証が求められるということですね。

以上より、選択肢⑤が正しいと判断できます。

この出席停止の規定ですが、実際に学校で頻繁に運用されることはありません。
この背景には、出席停止のためにはそれなりの手順が必要であるということがあるでしょう。

第35条第1項の規定に限らずですが、何かしらの強権を発動する場合の判断で重要なのが「その規定を運用しなかった場合の損害」が「運用した場合の損害」を上回っているか否かになります。
私は「第35条第1項を運用することによって回避される損害」が「運用しないことによって生じる損害」よりも大きければ運用すればよいし、そうでなければ運用すべきではないと考えています。
これは刑法第37条の「緊急避難」の規定でも示されている考えです。

老子は「兵は不祥の器なり」と述べています。
これは軍事力は必要であるが、あくまでもそれは「不祥の器」、つまり必要悪であって無闇にこれを使うことを戒めています。
出席停止のような規定も、それとどこか通じるところがあるように思っています。

つまり、そうした強い制限を伴う規定は「使ってはいけない」という封印とともに存在するものであり、封印されているからこその強い制限を伴う規定であるという考え方です。
軽々しく好き勝手に使える規定は、その組織が都合の良いように運用しがちです。

そうならないためにも「学校教育法第35条第1項」を実際に行うことが簡単ではないという仕組みの存在が必要なのです。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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