公認心理師 2018追加-15

2019年02月16日土曜日

NEO-PI-Rについて、正しいものを1つ選ぶ問題です。

NEO-PI-Rの臨床心理学領域一般の使用頻度がどの程度なのか、ちょっとわかりませんが私にはあまり馴染みがありません。
こういった検査は、臨床領域だけでなく地域によって使われる頻度がかなり違うという特徴がありますので、その辺の正確な情報は掴みにくいですね。

私は、NEO-PI-Rに関する設問は、検査として知っているか否かを問うている問題ではないと考えています。
NEO-PI-Rの成立過程は、特性論の歴史、BigFive等の成立過程と並行しており、これらと抱き合わせで理解しておくことが重要になります。

NEO-PI-Rについては、公認心理師2018-8の選択肢③で一度出題されています。
過去問を細かく復習していたなら、サービス問題だったと言えるでしょう。
NEO-PI-Rの記述はありませんが、過去に特性論について記事を書いています。
多少は参考になるかと思います。



解答のポイント


NEO-PI-Rの成立過程を特性論の歴史の流れで把握していること。
下位次元の内容を把握していると望ましい。



選択肢の解説


『①G.W.Allportが開発した』
『②人格の類型論が背景にある』

NEO Personality lnventory (NEO-PI)はCosta&McCrae(1985)の一連の研究に基づいて開発されたものであり、人格の生涯発達的研究を視点に入れた新しい検査です。
1978年から10年間にわたり研究、開発されてきたものであり、人格の5因子モデル(いわゆるBigFiveですね)に基づいています

BigFiveは特性論の代表的研究です
すなわち、NEO-PI-Rは、健康な成人の人格特性の5つの主要な次元を測るための尺度と言えます
(NEO-PIがNEO-PI-Rに改良された経緯は後ほど別選択肢で)

ここでなぜオルポートの名前が出てきたのかを理解しておきましょう
オルポートは特性論の代表的研究者であり、基本的辞書仮説(重要な特性は必ず自然言語に符号化されているはず)をもとに、辞書に掲載されている性格表現用語として約18000語を抽出した上で、これを整理・分類し4504語を主要な性格表現用語としてまとめました。

しかし、これを適切に処理する方法が見つからず、長く放置されることになります。
その後、因子分析という科学的方法が盛んになったことで、手つかずになっていた特性語のまとまりが分析され、5因子が共通して見出されるようになりました。
ゴールドバーグはこれらの因子を、以下のように解釈・命名し「Big Five」と呼びました。
  1. 外向性:対人関係や外界に対する働きかけにおける積極性を示す。
  2. 調和性:対人関係における共感性や思いやりに関わる。
  3. 勤勉誠実性:仕事面におけるセルフ・コントロールや責任感に関わる。
  4. 情緒安定性(神経症傾向):情動における安定性。
  5. 知性(開放性):知的関心における開放性を示す。
これらは文化差や民族差を超えた普遍性を持つものとして、1990年代からはこの5因子モデルがパーソナリティ研究の中心的位置を占めるようになっていきました。

Costa&McCraeも同様に、5因子モデルを提唱し、それを細かく検証して下位次元を設定することでNEO-PI-Rの開発を行いました

ゴールドバーグのBigFiveと、コスタ&マクレ―の5因子モデルはほぼイコールの関係にあります。
ただ、成立過程に若干の違いがあり、ゴールドバーグは先述したとおり、基本的語彙仮説と統計処理(因子分析)を中心として導かれたモデルです。
それに対して、コスタ&マクレーの5因子モデルは、理論的なアプローチを通したパーソナリティの階層構造(下位次元がある)を強調したモデルになります
でも、コスタ&マクレーも因子分析を使っているので、やはり大差はないのかな…と思ってしまいますが、その辺の詳しいところまでは調べ切れていません。
やはり、下位次元を設定しているなどの違いは大きいのだろうと思います。

このように、オルポート→BigFive(ゴールドバーグ)≒5因子モデル(コスタ&マクレー)→NEO-PI-Rという流れがあるので、ある種のひっかけ問題としてオルポートの名前が出ているわけです
NEO-PI-Rが特性論を基にしていることを知っていると、特性論→オルポートという連想をしてしまいがちです。
そういう人を引っかけようとしている選択肢と言えます。
(オルポート?誰それ?という人は引っかからないかもしれないですね)

試験問題には「知らないと解けない問題」だけでなく、ここで示されたような「ある程度勉強している人が引っかかりやすい問題」もあるので要注意です

以上より、選択肢①および選択肢②は誤りと判断できます。



『④敵意は外向性の下位次元に含まれる』
『⑤各人各次元にはそれぞれ2つの下位次元がある』

測定される次元は5つで、各次元はさらに6つの下位次元から構成されており、包括的な人格の測定を可能にしています。
1つの下位次元には8つの評定尺度があります。

5次元とそれぞれの下位次元は以下の通りです。
  • 神経症傾向:不安、敵意、抑うつ、自意識、衝動性、傷つきやすさ
  • 外向性:温かさ、群居性、断行性、活動性、刺激希求性、よい感情
  • 開放性:空想、審美性、感情、行為、アイデア、価値
  • 調和性:信頼、実直さ、利他性、応諾、慎み深さ、優しさ
  • 誠実性:コンピテンス、秩序、良心性、達成追求、自己鍛錬、慎重さ
すでに示した通り、この5次元はコスタ&マクレーが提唱し、詳細な下位次元を定めました

上記の通り、「敵意」は外向性ではなく神経症傾向に含まれていますね
以上より、選択肢④および選択肢⑤は誤りと判断できます。



『③誠実性と調和性は後から加えられた』

NEO-PI-Rの開発は、人格における個人差のすべての主要な側面を測定でき、かつ多目的に 使用可能な検査を作ることを目的として始められました。
この検査の開発経緯は以下の通りです。

開発当時はBigFiveについての統一的見解は出ていませんでしたが、McCrae&Costaはこ れらの体系を比較、検討して行く中で、人格の分類の仕方や捉え方はそれぞれ異なるが、特に神経症傾向と外向性という高次の因子が存在することに関しては意見の一致がみられ ると考えました。

その点から、神経症傾向と外向性はより広いクラスターとして、その下位次元に分類・分割できると考えたのです。
そうした視点より、まずは人格特性を定めてそれらを下位次元に分類していくという作業を行いました

このようなやり方をもって、神経症傾向と外向性に加え、開放性という第3の次元を加えました
そして3次元と18の下位次元を特定し、NEO-PIおよびNEO-PI-Rの前身であるNEOインベントリーを開発しました

その後、1983年にNEOインベントリーに調和性と誠実性の次元が追加され、1985年に神経症傾向・外向性・開放性の次元スケール+下位次元スケールおよび調和性・誠実性の次元スケールから成るNEO-PIが刊行されました。
更に1990年には調和性と誠実性の下位次元スケールも作成され、NEO-PI-Rとして1991年に刊行され、現在に至っています

こうした流れで、コスタ&マクレーは5因子モデルを洗練させていきました。

以上のように、誠実性と調和性が1983年に加えられたということが言えます。
よって、選択肢③は正しいと判断できます。

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1 件のコメント

  1. 6つの下位次元、出題者全て答えられるのか❓
    こんな重箱の隅的問題出す、意味がわからん。

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About Me

小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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