公認心理師 2018-99

2018年11月17日土曜日

少年事件の処理手続きとして、正しいものを1つ選ぶ問題です。
こうした年齢によって明確に分けられる問題については、出題する側としても出しやすい領域だと思われます。

少年法に限らず法律の改正にあたっては、何かしらの大きな事件を契機としていることが少なくありません。
この問題も、大きな事件をきっかけとして改正されたポイントを問われています。
こうした事件の流れと共に、動的に捉えておくことが重要です。




解答のポイント

少年法における年齢別の適用できる対応について把握していること。



選択肢の解説


『①14歳未満の触法少年であっても重大事件である場合は検察官送致となることがある』

神戸連続児童殺傷事件(1997年)により少年法改正の機運が高まり、平成12年(2000年)に少年法が改正されました。
この改正の中には、刑事処分可能年齢を16歳から14歳に引き下げる、ということが含まれています。

これは少年法における「犯罪少年」の枠組みの変更が行われたということになります。
こちらは少年法第3条に記されており、他の条項からの演繹的に「14歳以上20歳未満で罪を犯した少年」が「犯罪少年」であると捉えることが可能です。
※「犯罪少年」が少年法第20条第1項(検察官への送致)の規定に該当することになります。

14歳未満の少年は刑事責任能力がないと考えられており、刑事責任を問うことができず児童福祉法上の措置が優先されます(少年法第24条等に関連有り)。
少年審判に付するのが適当と認められる少年だけ家庭裁判所に送致されますが、仮に家庭裁判所に送致されても検察官送致されることはなく、観護措置の期間も4週間を超えて延長されることはありません。

この「14歳未満」という点については、2003年には長崎男児誘拐殺人事件、2004年には佐世保小6女児同級生殺害事件が発生したことによる改正が該当します。
少年院送致の下限年齢が14歳以上から「おおむね12歳以上」に引き下げられました

少年院法第4条には、少年院の種類と共に少年種別も以下のように記載されています。
「第一種 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの」
「第三種 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの」

以上より、選択肢の内容は検察官送致に関する事項として該当しません。
よって、選択肢①は誤りと言えます。



『②14歳以上で16歳未満の犯罪少年は検察官送致とならない』

ここで重要なのは「検察官送致」ということは何を指しているのか理解していることです。
一般的に少年については児童福祉法による保護処分が中心となり、これはあくまでも教育の一環とされています。
しかし検察官送致というのは、犯罪に対する法的効果として、国家および地方自治体によって犯罪をおかした者に科せられる一定の法益の剥奪を指す刑事処分に該当することを意味します

選択肢①でも触れたとおり、2000年の改正によって刑事処分可能年齢を16歳から14歳に引き下げられました。
これはいわゆる「犯罪少年」を指し、少年法第20条第1項(検察官への送致)の規定に該当することになります。

間違えてはいけないのは、少年法第20条第2項の「検察官への送致」との絡みです。
こちらでは「家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定(検察官への送致)をしなければならない」とあります。
この内容は「16歳以上で故意の死亡事件を起こした少年は検察官送致をするのが決まり」ということであって、「16歳以上でないと検察官送致できない」というわけではありません
意外とこの辺がごっちゃになりやすいので気をつけましょう。

以上より、選択肢②は誤りと言えます。

余談ですが、選択肢①と選択肢②は真っ先に外すことが可能です。
選択肢①が正しいとすれば、選択肢②も正しくなってしまいます(14歳未満が検察官送致アリなら、それ以上もアリとなるのが自然)。
また選択肢②が正しいとすれば、選択肢①を間違いとすることは不可能です(14歳以上で検察官送致にならないとすれば、14歳未満でもならないのが自然なはずだから)。

こうした選択肢内の矛盾が多いと助かるのですが、今回の試験ではほとんど見当たりませんでしたね。



『③16歳以上で故意に人を死亡させた事件の場合は、原則的に検察官送致となる』

こちらについても2000年の少年法改正の一つです。
少年法第20条の「検察官への送致」では、以下のように記されています。
「家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない
「前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない」

上記より、選択肢③は正しいと言えます。



『④18歳未満の犯罪少年であっても重大事件を犯せば死刑になることがある』

先述の通り「犯罪少年」に対しては、刑事処分を受けさせることが可能です。
一方で、その場合においても不定期刑や量刑の緩和など様々な配慮を規定しています(少年法51条、52条、58条、59条、60条等)

特に本選択肢と関連があるのは少年法第51条になります。
罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する
「罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、十年以上二十年以下において言い渡す」

ただし、こうした基準が適用された場合、第58条第1号の少年に対する仮出獄可能期間の特則(7年)は適用しない(第58条第2項) ことになります。

このような規定の背景には以下のような事情があります。
国際法である「児童の権利に関する条約」第37条によって、この締約国は以下のことの確保が求められています。

  • いかなる児童も、拷問又は他の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けないこと。死刑又は釈放の可能性がない終身刑は、十八歳未満の者が行った犯罪について科さないこと
  • いかなる児童も、不法に又は恣意的にその自由を奪われないこと。児童の逮捕、抑留又は拘禁は、法律に従って行うものとし、最後の解決手段として最も短い適当な期間のみ用いること。
  • 自由を奪われたすべての児童は、人道的に、人間の固有の尊厳を尊重して、かつ、その年齢の者の必要を考慮した方法で取り扱われること。特に、自由を奪われたすべての児童は、成人とは分離されないことがその最善の利益であると認められない限り成人とは分離されるものとし、例外的な事情がある場合を除くほか、通信及び訪問を通じてその家族との接触を維持する権利を有すること。
  • 自由を奪われたすべての児童は、弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有し、裁判所その他の権限のある、独立の、かつ、公平な当局においてその自由の剥奪の合法性を争い並びにこれについての決定を速やかに受ける権利を有すること。

日本は「児童の権利に関する条約」を批准しているため、少年法に関係なく18歳未満の少年に対して死刑の判決を下すことはできないわけです。

よって、選択肢④は誤りと判断できます。



『⑤事案が軽微で少年法の適用が望ましい事件の場合は、20歳を超えても家庭裁判所で不処分を決定することができる』

この選択肢の内容は、20歳以上でも少年法の適用が可能か否かを問うております。
20歳以上は成人として扱われ、一般の刑事事件と同様の手続で処理されることになります。
これは少年法第2条に明示されています。
「この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、「成人」とは、満二十歳以上の者をいう」

少年法では、20歳を境とした以下の条項が記されております。
第19条第2項:家庭裁判所は、調査の結果、本人が二十歳以上であることが判明したときは、前項の規定にかかわらず、決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない
20歳以上は保護処分の対象外(処分時)ですが、収容継続等はあります。

少年と扱われるためにはそれなりの決まりがあります。
少年法の適用が可能になる(少年と扱われる)には、少年審判の段階で20歳未満である必要があります。
事件が20歳未満の時期でも、少年審判で処遇が決定される前に20歳になった場合は成人として扱われるということです。

20歳以上は刑事処分の対象になり(処分時)、有期刑の上限は20年、併合罪の場合は30年となっています。
また死刑のよって処断可能になります(行為時)。

以上より、選択肢⑤は誤りと言えます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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