公認心理師 2018-92

2018年11月10日土曜日

認知及び言語の発達の遅れが疑われる3歳の幼児に用いるアセスメントツールとして、最も適切なものを1つ選ぶ問題です。

この問題を解くにあたっては、選択肢のアセスメントツールが以下の点をクリアしている必要があるという認識を持つことが重要です。
  • 認知及び言語の発達を測るテストであること。
  • 3歳の幼児が適用範囲に含まれるテストであること。
上記の2点が一つでも該当しなければ、その選択肢は除外してよいわけです。
この点を踏まえて、各選択肢の検証を行っていきます。

なお、解説では、臨床心理士資格試験で過去に判断を求められたポイントを含めて記載しておきます。
来年度の臨床心理士試験に向けて勉強中の方にも、ご活用いただけると幸いです。



解答のポイント

選択肢で示されている各アセスメントツールについて「何を測るのか」と「適用年齢」を把握していること。



選択肢の解説


『①BDI』

ベック抑うつ質問票のことを指します。
うつ状態の測度であり、うつの重症度を判断するには適切だが、それ以外の病理の判断は難しいです。
DSM-IVの診断基準に沿って作成されており、過去2週間の状態についての21項目の質問によって抑うつ症状の重症度を評価します。

うつ状態の測度であることから、適用年齢も13歳~80歳に設定されています。

以上より、選択肢①は不適切と判断できます。



『②CMI』

Cornell Medical Index=CMI健康調査表は、幅広い身体的・精神的自覚症状を把握できる質問紙法です。
1949年にコーネル大学ブロードマン、アードマン、ヴオルフの3教授によって発表されました。

12区分の身体的項目と6区分の精神的項目についての質問から構成され、男性211項目、女性213項目です。
幅広い自覚症状に関する質問(精神科、内科・心療内科、外科・脳神経外科、整形外科、産婦人科、泌尿器科、皮膚科、眼科、耳鼻科、歯科)が含まれるので、臨床各科への応用が可能とされています。

精神医学では神経症、統合失調症、心身症に伴う不安の客観的な測定(スクリーニング)、またそれに対する心理療法の効果の測定において広く用いられています
記録用紙にある重症度評価段階基準に基づいて重症度がすぐに算出可能です。

適用範囲は14歳以上とされています。

以上より、選択肢②は不適切と判断できます。



『③KABC-Ⅱ』

Kaufman Assessment Battery for Children をK-ABCと略して呼んでいます。
Kaufman, A.S. & Kaufman, N.L.(1983)により作成されました。
認知処理過程尺度における問題解決と、習得度尺度のある事実に対する知識を明確に区別して、前者の一連の技能を知能と解釈しています。

その改訂版であるKABC-Ⅱは2004年に刊行されました。
日本版KABC-Ⅱは、日本版K-ABCを継承・発展させた新機軸の心理・教育アセスメント手段であり、認知尺度のみならず、基礎学力を測定できる個別式習得尺度を備えています
また、認知処理を、継次処理と同時処理だけでなく、学習能力、計画能力の4つの能力から測定していることも特徴です。

継次処理能力、同時処理能力、計画能力、学習能力、流動性推理や結晶性能力など幅広い能力を測定でき、検査結果を教育的働きかけに結び付けて活用しやすいとされています。
漢字や文章作成などの書き課題や算数課題などが取り入れられているので、検査結果そのものが学習の見立てや支援に生かすことがしやすいです。

非言語尺度には、模倣の構成、視覚類推、位置探し、手の動作などを設けてあり、聴力障害や言語障害などで不利にならないよう評価可能です。
プロフィール分析では、複数の下位検査から考えられる能力のみならず、それに影響を与える環境因の可能性なども吟味していきます。

適用年齢は、2歳6ヶ月から18歳11ヶ月とされています(改訂前は12歳が上限でした)。

以上より、選択肢③が適切と判断できます。



『④MPI』

モーズレイ人格目録を指します。
Maudsley Personality Inventoryの略で、Eysenckの考案による性格検査です。
2次元(外向・内向、神経症的傾向)で性格類型を想定しており、虚偽発見尺度が含まれています。

神経症的傾向(N尺度)および外向性(E尺度)を測るための2つの尺度があり、それぞれの項目は24ずつで構成されています。
このほかに虚偽発見尺度(L尺度:Lie Scale)20項目が含まれています。
E・N・Lの3尺度の他にE及びN項目に似た項目12を加え、全体の項目数を80にしてあります。

MPIは約16歳以上の文字を読めるものであれば、だれにでも実施することができるとされています。
なお、アイゼンクの業績についてはこちらにまとめてありますので、ご確認ください。

以上より、選択肢④は不適切と判断できます。



『⑤WISC-Ⅳ』

Wechsler式知能検査の幼児子どもバージョンであり、5歳~16歳11ヶ月が対象となっている。

知的発達のいくつかの領域における個人内差を明らかにできる。
指標得点(群指数)は、言語記憶理解、知覚処理推理、ワーキングメモリ、処理速度の4つから成っている。
※日本版WISC-Ⅳより、「群指数」は「指標得点」に解消されており、WISC-Ⅳでは「群指数」という呼び方はしません。

WISC-Ⅲから引き継いだのは「類似・単語・理解・知識・数唱・算数・積み木模様・絵の完成・符号・記号探し」であり、Ⅳから新しく「絵の概念・語音整列・行列推理・絵の抹消・語の推理」が示された。

WISC-ⅣではCPIという指標得点が採用されています。
CPIは「認知熟達度指標」と呼ばれ、情報を流暢に処理する能力を示します。
また、従来からの言語能力を測る指標も備わっております

以上より、選択肢⑤は3歳に適用ができないツールであるため、不適切と判断できます。

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2 件のコメント

  1. 『⑤WISC-Ⅳ』のご解説中にいくつかの誤りがあります。
    ・「Wechsler式知能検査の幼児バージョン」……とありますが、16歳まで適用可能な検査なので「幼児」は明らかに誤りです。「児童」と記載すべきと思います。
    ・WISC-Ⅳでは「群指数」という言葉は使われておりません。
    ・「言語記憶」は誤りであり、「言語理解」が正しいです。
    ・「知覚処理」は誤りであり、「知覚推理」が正しいです。

    …以上、ご検討くだされば幸いです。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      誤りのご指摘、助かります。

      >16歳まで適用可能な検査なので「幼児」は明らかに誤りです。「児童」と記載すべきと思います。
      本当ですね、幼児は間違いです。
      ご示唆いただいた「児童」に修正しようかと思いましたが、ここでは「子ども」と表記させていただきます。
      主な理由として、児童福祉法では「小学校就学の始期から18歳に達するまでの者」、学校教育法では「6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、12歳に達した日の属する学年の終わりまでの者」とされているなど、児童と表記するとその辺が今度はややこしくなりそうなので。

      >WISC-Ⅳでは「群指数」という言葉は使われておりません。
      これは知りませんでした。
      日常的に使っていました(恥ずかしい…)。
      日本版WISC-Ⅳより、群指数は「指標得点」と改称されたのですね。

      >「言語記憶」は誤りであり、「言語理解」が正しいです。
      >「知覚処理」は誤りであり、「知覚推理」が正しいです。
      本当ですね。

      ご指摘ありがとうございました。
      修正させていただきます。

      またお気づきの点などございましたら、コメント頂けると幸いです。

      削除

About Me

小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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