公認心理師 2018-145

2018年11月27日火曜日

内発的動機づけによる学習をしている者として、正しいものを1つ選ぶ問題です。

内発的動機づけの概念は、もともとは、動因低減説への反論として導入されました。
動因低減説では、生体を本来怠け者と捉え、不都合な状態が生じない限り、自ら進んで行動・学習しないと見なしたのに対し、内発的動機づけ説では、生体を本来活動的で、たえず環境と相互交渉しつつ自らの有能さを追求していく存在として概念化されました。


動因低減説はX理論、内発的動機づけ説はY理論というイメージでしょうか。
(マクレガーのX理論・Y理論のこと。問100を参照のこと)

内発的動機づけの原型は、知的好奇心(認知的動機づけ)ないし理解への動機づけとされていますが、これに加えて熟達への動機づけや社会的相互交渉への動機づけも含めることができます。
一般的に内発的動機づけに基づいた行動、例えば学習は極めて効率的な学習となりやすく、しかも継続的に行うことができます。

内発的動機づけの定義は諸家によって微妙に異なりますが、ある程度一致している点で記述すると「その動機が引き起こす活動以外の賞に依存しない動機づけ」と言えます。

これに対し、外発的動機づけとは義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけを指します。
内発的な動機づけに基づいた行動は行動そのものが目的であるが、外発的動機づけに基づいた行動は何らかの目的を達成するためのものと言えます。
たとえばテストで高得点を取るためにする勉強や、昇給を目指して仕事を頑張る場合などがそれにあたります。

また、外発的動機づけと内発的動機づけを自己決定性の単一の次元上に位置づけて捉える研究者もおります。

上記の点を踏まえ、選択肢の検証を行っていきます。



解答のポイント

内発的動機づけ及び外発的動機づけの定義を理解していること。



選択肢の解説


『①A:社会科に興味があり自ら進んで学習するが、テストのために勉強することが嫌い』

「社会科に興味があり自ら進んで学習する」という内容は、まさに賞罰に依存しない内発的動機づけと捉えることができます。
また「テストのために勉強することが嫌い」というのは、外界にあるものさしで測られることを嫌っていると捉えることが可能であり、すなわち外発的動機づけによって動くことを忌避しているということになります。

もちろん、外発的動機づけによって動くことを忌避することと、内発的動機づけが高いことを直接結びつけることはできませんが、A自身が内発的動機づけによって学習していることは間違いないと言えます。
よって、選択肢①は内発的動機づけによる学習をしている者と見て正しいと判断できます。



『②B:テストで良い点を取るために勉強するが、学習内容には興味がない』

「テストで良い点を取るために勉強する」という動機づけは、テストで良い点を取るという賞を求めていると捉えることができます。
この賞によってもたらされる動機づけは、外発的動機づけとなります。

一方で、「学習内容には興味がない」となっているように、内発的動機づけの存在が否定されております。
内発的動機づけを有していれば、むしろ学習内容に興味を持ち、その興味を原動力として学んでいくはずです。

以上より、選択肢②は外発的動機づけによる学習をしている者と捉えられるので、誤りと判断できます。



『③C:何事に対しても優れた成果を出すために努力し、学習に取り組む時間が長い』

こうした成果という目的を達成することを目指した行動の背景にあるのは、外発的動機づけと捉えられます。
成果を出すことによって、C自身の内発的な何かが充足される可能性は否定できませんが、それでも「成果」という外付けのものさしを基準にしているという点は変わりません

結果として生じている「学習に取り組む時間が長い」という点については、内発的・外発的を判断する指標とはなり得ません。
あくまでも、その行動の背景にある動機内容が重要です。

以上より、選択肢③は外発的動機づけによる学習をしている者と捉えられるので、誤りと判断できます。



『④D:親や教師に叱られることを避けるために学習することが多く、学習が楽しいと思ったことはない』

「親や教師に叱られることを避けるため」という罰を背景とした動機づけは、外発的動機づけと考えられます。

さらに「学習が楽しいと思ったことはない」という記述も、内発的動機づけの存在を否定していると捉えることが可能です。

以上より、選択肢③は外発的動機づけによる学習をしている者と捉えることができるので、誤りと判断できます。



『⑤E:勉強しないと不安になる傾向があり、学習時間が長い』

内発的動機づけは「賞罰に依存しない行動」であることが重要になります。
Eのような「勉強しないと不安になる傾向」は、Eの生育史の中で「勉強しない」ことで何かしら不安を感じさせるような環境の存在を疑うことが可能です。

例を挙げればキリがありませんが、以下のような事柄が考えられます。

  • 幼いころから家庭環境の中で、勉強しないと罰が与えられてきた。
  • 勉強できるほうが人間的な価値が高いというイデオロギーを内面化してしまっている。
  • 上のきょうだいがいて、そのきょうだいが勉強していない場面で強く叱責されているのを観察学習している。

もちろん問題の記述のみではEの不安の背景に何があるのかを見通すのは不可能です。
ですが内発的動機づけを起源とする行動に不安が伴うとは考えづらく、何かしら外側からの要請・圧力の存在が予測できます

以上より、選択肢⑤は内発的動機づけによる学習をしている者と捉えることができないので、誤りと判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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