公認心理師 2018-120

2018年11月28日水曜日

配偶者に対する虐待への対応について、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉に定める内容として、誤っているものを1つ選ぶ問題です。

こちらの問題はDV防止法の内容がそのまま出ています。
重要なのは「通告が努力義務」という、他の法律との違いをしっかりと認識していることですね。




解答のポイント

DV防止法の基本的内容を把握していること。
(特にDV防止法第6条が重要)



選択肢の解説


『①婦人相談員は被害者に対して必要な指導を行うことができる』

DV防止法第4条の「婦人相談員による相談等」には以下のように記載されています。
婦人相談員は、被害者の相談に応じ、必要な指導を行うことができる

条文そのままの内容となっています。
よって、選択肢①は正しいと言え、除外することが求められます。



『②被害者を発見した者が配偶者暴力相談支援センターへ通告することは、努力義務である』

DV防止法第6条の「配偶者からの暴力の発見者による通報等」には以下のように記載されています。
「配偶者からの暴力(配偶者又は配偶者であった者からの身体に対する暴力に限る)を受けている者を発見した者は、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報するよう努めなければならない

条文の末尾が「努めなければならない」となっているので、こちらは努力義務ということになります。
努力義務と法的義務の違いを意識しつつ条文を読むことが大切で、この点についてはいわゆる「合理的配慮」に関する条項を読む際にも気をつける必要がありますね。

児童虐待、高齢者虐待、障害者虐待などは通告義務(法的義務)が生じるわけですが、DVの通告は努力義務となっています。
第6条第2項においては「医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報することができる。この場合において、その者の意思を尊重するよう努めるものとする」となっています。

児童は年齢等の関係上、自分で環境を変えたり援助希求を出すことが難しい場合も多いです。
高齢者や障害者も、自ら助けを求められない状況にある可能性が予見されます。
一方で、DV防止法で想定されているのは成人した機能が障害されていない被害者ですから、当人の意思を尊重するという意味で「努力義務」になっていると思われます。

以上より、選択肢②は正しいと言え、除外することが求められます。



『③医療関係者は、配偶者暴力相談支援センターなどの情報を被害者に提供することが求められる』

DV防止法第6条第4項には「医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その者に対し、配偶者暴力相談支援センター等の利用について、その有する情報を提供するよう努めなければならない」とされています。

選択肢内にある「提供することが求められる」という表現は、上記条項内の「その有する情報を提供するよう努めなければならない」という努力義務規定を指しているものと捉えることが可能です。

以上より、選択肢③は正しいと言え、除外することが求められます。



『④被害者を発見した者が警察に通報することには、刑法その他の守秘義務に関する規定によって制限が設けられている』

DV防止法第6条第3項において「刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前二項の規定により通報することを妨げるものと解釈してはならない」とされています。

こうした通告が条項に含まれている法律では、こうした「守秘義務の規定は通報を妨げるものと解釈しません」といった内容が必ず含まれています
タラソフの判例のように、守秘義務を守ることで被害者の福利に反する結果になることは避けねばなりません。

何度か載せていますが、現任者講習会テキストに記載されている例外状況は以下の通りです(問47の選択肢④をご参照ください)。
  • 明確で差し迫った生命の危険があり、攻撃される相手が特定されている場合
  • 自殺など、自分自身に対して深刻な危害を加えるおそれのある緊急事態
  • 虐待などが疑われる場合
  • そのクライエントのケアなどに直接関わっている専門家同士で話し合う場合(相談室内のケース・カンファレンスなど)
  • 法による定めがある場合
  • 医療保険による支払いが行われる場合
  • クライエントが、自分自身の精神状態や心理的な問題に関連する訴えを裁判などによって提起した場合
  • クライエントによる明示的な意思表示がある場合
こうした状況下では、守秘義務を超えて通告することが重要になります。
下線部がDVと関係しそうな箇所ですね。

いずれにせよ、「刑法その他の守秘義務に関する規定によって制限が無いことが定められている」というのが正しいわけです。
以上より、選択肢④は誤りと言え、こちらを選択することが求められます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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