公認心理師 2018-73

2018年10月22日月曜日

26歳男性の事例で、事例の記述から見立てを行い、その見立てに沿った対応を選ぶ問題です。

この事例は発病初期のと思われます。
あまり試験勉強には役立たないかもしれませんが、中井久夫先生の「こんなとき私はどうしてきたか」が私個人の対応の指針となっています。

事例の情報としては以下の通りです。
  • 職場の同僚たちの会話が自分へ当てつけられていると訴えて家族と共に来院。
  • 2か月前から自分の考えが筒抜けになっていると思うようになった。
  • 「いつも見張られているので外出できない」と、周囲を警戒しながら話す。
  • 身体疾患、過度の飲酒及び違法薬物の摂取はない。

この状態から考えられるのは「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」ですね。
事例の情報と合致するのは「統合失調症様障害」だと思われます。
その他の障害が除外されるのは以下の理由です。
  • 妄想性障害:妄想主題であるが、行動が奇異と判断できる可能性があるため除外。
  • 短期精神病性障害:1日以上1カ月未満という期間が該当しないので除外。
  • 統合失調症:障害の持続的な徴候が6か月間有しているかわからないため除外。
  • 統合失調感情障害:気分エピソードが見られないので除外。
  • 物質・医薬品誘発性精神病性障害:薬物摂取が無いという記述があるので除外。
よって、以下では「統合失調症様障害」の診断基準と照らしていきます。

A.以下のうち2つ(またはそれ以上)、おのおのが1カ月間(または治療が成功した際はより短い期間)ほとんどいつも存在する。これらのうち少なくとも1つは(1)か(2)か(3)である。
(1)妄想
(2)幻覚
(3)まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)
(4)ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動
(5)陰性症状(すなわち感情の平板化、意欲欠如)

B.エピソードの持続期間は、1カ月以上6カ月未満である。

D.その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない

以上より、事例は「統合失調症様障害」と判断できます。
あとは選択肢の中から適当と思われる治療法を選択していきます。



解答のポイント

事例の情報から「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」に該当する事例だと判断できること。
上記の事例や時期における適切な治療を選択することができる。



選択肢の解説


『①抗不安薬』

不安およびそれに関連する心理的・身体的症状の治療に用いられる薬剤です。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬については、不安障害への長期的な有効性が認められないとされており、抗うつ薬を処方されることが多いです。
神田橋先生はベンゾジアゼピン系抗不安薬を頓服で出すと、リストカット等の問題が出やすいことをずいぶん前から指摘していましたね。

不安障害だとSSRIなどの処方が多いと思います。

よって、選択肢①は事例への治療法として不適切と判断できます。



『②気分安定薬』

激しい持続的な気分の変化を特徴とする気分障害、典型的には双極性障害の治療に用いられる精神科の薬です。
炭酸リチウム(リーマス)等ですね。
抗てんかん薬も気分安定薬に含まれ、てんかんや双極性障害などに処方されます。

よって、選択肢②は事例への治療法として不適切と判断できます。



『③抗精神病薬』

主に統合失調症の治療薬として用いられます。
抗精神病薬は大きく2分類することができ、古い定型抗精神病薬と、新世代型の非定型抗精神病薬があります。

定型抗精神病薬については統合失調症に、非定型抗精神病薬については統合失調症、双極性障害、うつ病など幅広く用いられます。

よって、選択肢③は事例への治療法として適切と判断できます。



『④対人関係療法』

対人関係療法(IPT)は、中から重度の非妄想性うつ状態と診断された成人に対する外来治療法として開発された短期の心理療法で、現在では双極性障害・過食症・産後うつ・夫婦カウンセリング・トラウマ治療などにも活用されている幅広い心理療法です。
水島広子先生などが有名ですね。

サリヴァンの精神医学における対人関係理論に由来しており、クラーマンを中心に開発されました。

よって、選択肢④は事例への治療法として不適切と判断できます。



『⑤認知行動療法』

認知行動療法は、うつ病、パニック障害、強迫性障害、不眠症、薬物依存症、摂食障害、統合失調症などにおいて、科学的根拠に基づいて有効性が報告されています。

統合失調症への治療法として有効とされていますが、事例は発病初期の事例と捉えることができます。
この時期の支援としては、薬物療法が第一選択とされるべきであり、その後の状態に応じて適宜認知行動療法などのアプローチを検討されるべきと考えられます。

よって、選択肢⑤は事例への治療法として不適切と判断できます。


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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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