公認心理師 2018-70

2018年10月23日火曜日

中学2年生の息子Bの不登校について相談する母親Aの事例です。
事例の状況を踏まえ、SCの対応として「まず行うべきもの」を選択する問題です。

事例の状況は以下のとおりです。
  • 中学1年生のときの欠席は年1日程度で部活動も出ていた。
  • 中学2年生の5月の連休過ぎから休みがちになり、1か月以上欠席が続いている。
  • 家での会話も少なく、部屋にこもりがちで表情は乏しい。
  • 食事や睡眠は取れている。
  • 母親Aが学校に行けない理由を聞くと、うるさがり言い争いになる。
  • 担任がBに電話をかけても出ない。
  • 母親Aは「どう対応していいのか全くわかりません」と話す。

以上を踏まえ、各選択肢の対応の検証を行っていきます。



解答のポイント

事例への支援のポイントを「母親への支援」「不登校への支援」と捉えることができる。
事例の情報から、各対応の是非を判断することができる。



選択肢の解説


『①教育支援センターの利用を強く勧めてみる』

現在のAの状態として「学校に行けない理由を聞くと、うるさがり言い争いになる」とあります。
この状態で教育支援センターの利用を勧めることで、Aが動くとは考えにくいだけではなく、こうしたアプローチを行うことによってさらに部屋にこもってしまうことも考えられます

将来的に勧めることを検討するのはあり得ますが、「まず行うべきもの」としては不適切だと言えます。
よって、選択肢①は不適切と判断できます。



『②「お宅に伺ってB君と話してみましょう」と提案する』

Aに対する学校の刺激を与えたときの反応としては、「学校に行けない理由を聞くと、うるさがり言い争いになる」「担任がBに電話をかけても出ない」などの記述があります。
すなわち、学校の刺激に対する拒否的な態度が見受けられます。

この状況において、学校組織の一員であるSCが家庭訪問することは本人の拒否的な態度が強まる恐れがあります。
「SCには外部性がある」という意見もあるでしょうが、学校を休んでいるBにとって学校から来る人物というだけでどのように認識されるかは推して知るべしという感じでしょうか。

また、家庭訪問の実践については、県の教育委員会等の方針によってできる範囲がずいぶん異なります。
そうした点を鑑みても、「まず行うべきもの」として選択肢②は不適切と思われます。



『③Aの苦労をねぎらった上で、Bの現在の様子を詳しく聴く』

事例の情報からSCの対応として求められるのは以下の2点です。
  1. 「どう対応していいのか全くわかりません」という母親Aを支える。
  2. Bの不登校への支援を考える。

まず母親Aは対応がわからず暗中模索の状態であり、混乱を示していると捉えることが必要です。
その苦慮感にアプローチするような関わりが必要なので、選択肢にある「苦労をねぎらった上で」というのは適切だと言えます。

また、不登校の支援については、現状ではBの学校への拒否感、Aがどういったところが特に難しいと感じているか、学校の話題以外の家族とのやり取り、などの情報を総合して対応を検討していくことが望ましいと考えられます。
事例の情報はそこまでの記述がないため、そういった情報を収集することが求められます。
よって、選択肢にある「Bの現在の様子を詳しく」というのは適切と言えます。
事例の情報の中に「現在の様子」というのはごくわずかの記載があるのみですので、その辺を厚くしていくことが求められます。

さらに「聴く」というスタンスも、情報収集をしつつ母親を支えていくという意味合いが含まれていると感じられます。
以上より、選択肢③が「まず行うべきもの」として適切と判断できます。



『④Aのこれまでの子育てに問題があるのではないかと指摘し、Aに改善策を考えさせる』

現在の事例の情報では、母親Aの子育てに関するものはほとんど見受けられません
「母親Aが学校に行けない理由を聞く」というのが唯一の母子の関わりですが、学校に行けなくなった息子に対してのアプローチとしてごく自然なものと捉えることが可能であり、これを元に母親に責を負わすのは酷な考えだと思われます。

また何かしらの対応の瑕疵があったとしても、それを責めるという対応は適切とは言えませんし、それで改善が見られるという期待は薄いと言ってよいでしょう。
よって、選択肢④は不適切な対応と判断できます。



『⑤「思春期にはよくあることですから、そのうち学校に行くようになりますよ」と励ます』

上記の助言は、Bの反応が思春期心性によって生じたと判断できる場合になります。
(もちろん、そう判断できる場合であっても安易な励ましは不適切と思われますが)
思春期心性によるものの場合、例えば、親に対して親とは違う価値観をぶつけるといったことが生じます。
事例の「母親Aが学校に行けない理由を聞くと、うるさがり言い争いになる」という情報は、そういった思春期心性のものと確定するには根拠薄弱です。

もちろん不登校という事態は、思春期心性と無関係ではありません。
しかし、この時期から始まる不登校を「そのうち学校に行くようになる」と安易に考えることはできません
それまでの環境や精神生活の在り方によって長短に幅がかなりあるので、選択肢のような励ましは後々のトラブルになりかねません。

よって選択肢⑤は不適切と判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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