公認心理師 2018-56

2018年10月10日水曜日

保護観察制度に関する設問です。
保護観察制度自体は「更生保護法」の制度なので、こちらの法律から引っ張って示していきます。


各法律のどの程度の深さまで出題されるのか、これから数年の試験問題を見ていくことでわかってくるかなと思います。



解答のポイント

更生保護法の内容を把握していること。



選択肢の解説


『①保護観察の特別遵守事項は変更されることがある』

特別遵守事項は更生保護法第51条に記載されており、「保護観察対象者は、一般遵守事項のほか、遵守すべき特別の事項(以下「特別遵守事項」)が定められたときは、これを遵守しなければならない」とされています。

特別遵守事項は、次に掲げる事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において、具体的に定めるものとされています。
  1. 犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒その他の犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと。
  2. 労働に従事すること、通学することその他の再び犯罪をすることがなく又は非行のない健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行し、又は継続すること。
  3. 七日未満の旅行、離職、身分関係の異動その他の指導監督を行うため事前に把握しておくことが特に重要と認められる生活上又は身分上の特定の事項について、緊急の場合を除き、あらかじめ、保護観察官又は保護司に申告すること。
  4. 医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇として法務大臣が定めるものを受けること。
  5. 法務大臣が指定する施設、保護観察対象者を監護すべき者の居宅その他の改善更生のために適当と認められる特定の場所であって、宿泊の用に供されるものに一定の期間宿泊して指導監督を受けること。
  6. 善良な社会の一員としての意識の涵かん養及び規範意識の向上に資する地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動を一定の時間行うこと。
  7. その他指導監督を行うため特に必要な事項

そして、更生保護法第52条には「特別遵守事項の設定及び変更」が示されております。

保護観察所の長は、保護観察処分少年について、法務省令で定めるところにより、少年法第二十四条第一項第一号の保護処分をした家庭裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。これを変更するときも、同様とする」(第1項)

「地方委員会は、少年院仮退院者又は仮釈放者について、保護観察所の長の申出により、法務省令で定めるところにより、決定をもって、特別遵守事項を定めることができる。保護観察所の長の申出により、これを変更するときも、同様とする」(第2項)

地方委員会は、保護観察付一部猶予者について、刑法第二十七条の二の規定による猶予の期間の開始の時までに、法務省令で定めるところにより、決定をもって、特別遵守事項を定め、又は変更することができる。この場合において、仮釈放中の保護観察付一部猶予者について、特別遵守事項を定め、又は変更するときは、保護観察所の長の申出によらなければならない」(第4項)

上記の通り、特別遵守事項の変更については定められています。
よって、選択肢①は正しいと判断できます。



『②刑事施設からの仮釈放の許可は保護観察所長の決定による』

仮釈放に関しては、更生保護法第33条~第40条に記載があります。
特に仮釈放の許可については第39条に示されています。
  1. 刑法第二十八条の規定による仮釈放を許す処分及び同法第三十条の規定による仮出場を許す処分は、地方委員会の決定をもってするものとする
  2. 地方委員会は、仮釈放又は仮出場を許す処分をするに当たっては、釈放すべき日を定めなければならない
  3. 地方委員会は、仮釈放を許す処分をするに当たっては、第五十一条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定める場合その他特別の事情がある場合を除き、第八十二条第一項の規定による住居の調整の結果に基づき、仮釈放を許される者が居住すべき住居を特定するものとする。
  4. 地方委員会は、第一項の決定をした場合において、当該決定を受けた者について、その釈放までの間に、刑事施設の規律及び秩序を害する行為をしたこと、予定されていた釈放後の住居、就業先その他の生活環境に著しい変化が生じたことその他その釈放が相当でないと認められる特別の事情が生じたと認めるときは、仮釈放又は仮出場を許すか否かに関する審理を再開しなければならない。この場合においては、当該決定は、その効力を失う
  5. 第三十六条の規定は、前項の規定による審理の再開に係る判断について準用する。

以上のように、仮釈放の許可については「地方委員会」の決定によってなされます。
地方委員会とは「地方更生保護委員会」の略で、第16条に記載があります。
地方更生保護委員会(以下「地方委員会」という)は、次に掲げる事務をつかさどる」

こちらはどのような人物が委員となるのかについては、法律上の記載は見られませんが、一般的には法務省OBが中心で、近年は教員や会社役員など民間出身者が増えてきたそうです。

よって選択肢②は誤りと判断できます。



『③保護観察処分に付された少年は少年院送致になることはない』

保護観察処分になる少年については以下の2パターンあります。
  1. 保護観察処分少年
    非行により家庭裁判所から保護観察の処分を受けた少年を指します
    更生保護法第二節(第66条~第70条)に条文が示されております。
  2. 少年院仮退院者
    非行により家庭裁判所から少年院送致の処分を受け、その少年院から仮退院となった少年を指します
    更生保護法第三節(第71条~第74条)に条文が示されております。

2の場合、仮退院を許されると、少年院から釈放されて保護観察に付されるが、その仮退院の期間中成績が良好なら仮退院を退院に切りかえられることもあります。

これに反し、仮退院の期間中に再犯し家庭裁判所に送られて新たな処分(少年院送致や保護観察処分)を受けると、元の保護処分(少年院送致)が取り消されます。
また、仮退院の期間中に保護観察の遵守事項に違反すると、家庭裁判所の戻し収容の決定で再び少年院に収容されることがあります。

よって、選択肢③は誤りと判断できます。



『④保護観察中に転居する場合、同一都道府県内であれば保護観察所長に届け出る必要はない』

更生保護法第50条に保護観察対象者が守らねばならない「一般遵守事項」についての記載があります。

そのうち、第3号~第5号には以下の通り示されております。
「保護観察に付されたときは、速やかに、住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長にその届出をすること」(第3号)
「前号の届出に係る住居に居住すること」(第4号)
転居又は七日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受けること」(第5号)

すなわち転居する場合は、転居先の住所に関係なく保護観察所長の許可が必要となります。
よって、選択肢④は誤りと判断できます。



『⑤少年院仮退院者の保護観察を継続する必要がなくなった場合、地方更生保護委員会が退院を検討する』

地方更生保護委員会の所掌事務は、更生保護法第16条に記載されています。
  1. 刑法第二十八条の行政官庁として、仮釈放を許し、又はその処分を取り消すこと。
  2. 刑法第三十条の行政官庁として、仮出場を許すこと。
  3. 少年院からの仮退院又は退院を許すこと
  4. 少年院からの仮退院中の者について、少年院に戻して収容する旨の決定の申請をすること
  5. 少年法第五十二条第一項又は同条第一項及び第二項の規定により言い渡された刑(不定期刑)について、その執行を受け終わったものとする処分をすること。
  6. 刑法第二十五条の二第二項及び第二十七条の三第二項の行政官庁として、保護観察を仮に解除し、又はその処分を取り消すこと。
  7. 婦人補導院からの仮退院を許し、又はその処分を取り消すこと。
  8. 保護観察所の事務を監督すること。
  9. 前各号に掲げるもののほか、この法律又は他の法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。

上記の通り地方更生保護委員会は、仮出獄の許可・取り消し、少年院からの仮退院・退院の許可、保護観察所の監督などにあたっています。
よって、選択肢⑤は正しいと判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
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