公認心理師 2018-45

2018年10月05日金曜日

発達障害及びその支援についての設問です。
主に福祉的な支援に関する内容となっていますね。

本問で特に争点となっているのは、障害者手帳についてです。
障害者手帳とは身体、知的、精神的な障害があることを証明する書類のことです。
  1. 身体障害者手帳
  2. 療育手帳
  3. 精神障害者保健福祉手帳
があります。
これらの取得に関して、どのように解釈するかが解くうえで求められています。



解答のポイント

手帳制度について理解していること。
発達障害者支援法の内容を把握していること。



選択肢の解説


『①療育手帳を取得することはできない』

基本的な知識として以下のことを押さえておきましょう。
  • 身体障害者福祉手帳:身体障害者福祉法第15条に定められている。
  • 療育手帳:「知的障害者」については知的障害者福祉法に定めがあるものの、療育手帳については「療育手帳制度について(昭和48年9月27日厚生事務次官通知)」に示されている。
  • 精神障害者保健福祉手帳:精神保健福祉法律第45条に定められている。

そして「発達障害」については、発達障害者支援法に定めがあるものの、手帳制度については存在しません。
そこで現状では、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付基準に該当する場合、当該手帳の交付が認められています(総務省が示している「発達障がい者に対する療育手帳の交付について(概要)」より)。

上記の通り、「療育手帳」とは、都道府県や政令指定都市・中核市などの自治体が、知的障害児・知的障害者に交付する手帳です(法で定められた制度ではありません)。

各自治体の独自制度のため、名称を「愛の手帳」(東京都・横浜市)、「みどりの手帳」(さいたま市)、「愛護手帳」(青森県・名古屋市)とする自治体もあります。
名称が違うだけではなく、障がいの程度の区分やサービス内容も自治体によってかなり違いがあります。

すなわち、療育手帳は自治体の独自施策のため、手帳交付の統一基準がありません。
そのため、同じ症状でも、交付する自治体と交付しない自治体があり、対応にばらつきがあるのが現状です。

療育手帳における発達障害者の取り扱いについては、「設定しているIQの上限値を上回った場合でも、社会適応能力、専門医の診断結果などを総合的に判定し、交付する場合があるとするものもあるなど、その取組は区々」(総務省が示している「発達障がい者に対する療育手帳の交付について(概要)」より)です。

上記の情報を踏まえ、本選択肢をどのように解釈するかが重要です。
概ね、以下のような解釈ができるかと思います。
  1. 発達障害者であっても知的障害があれば交付される、と捉える。
  2. 知的障害がなくても自治体によっては交付することもある、と捉える。
  3. 発達障害のみでは手帳を取得することはできない、と捉える。

解釈1及び2の場合は選択肢①は誤りとなるので除外しますが、解釈3の場合は正しい内容となってしまいます。

ここでは解釈1及び2を採用し、選択肢①の内容は誤りと判断したいと思います。


『②精神障害者保健福祉手帳を取得することはできない』

精神障害者保健福祉手帳について記してあるのは精神保健福祉法ですが、この第45条には「精神障害者(知的障害者を除く)は、厚生労働省令で定める書類を添えて、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地)の都道府県知事に精神障害者保健福祉手帳の交付を申請することができる」とされています。

そして、精神保健福祉法第5条において「この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう」とされています。
すなわち、精神保健福祉法内においては「発達障害」の記載はなされていません。

この記載については、厚生労働省保健医療局長通知「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」でなされています。
発達障害に関するところを抜き出すと以下の通りです。

「精神疾患(機能障害)の状態は、「統合失調症」、「気分(感情)障害)」、「非定型精神病」、「てんかん」、「中毒精神病」、「器質性精神障害」、「発達障害」及び「その他の精神疾患」のそれぞれについて精神疾患(機能障害)の状態について判断するためのものであって、「能力障害(活動制限)の状態」とともに「障害の程度」を判断するための指標として用いる」

発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が、通常低年齢において発現するものである。ICD―10ではF80からF89,F90からF98に当たる。「精神疾患(機能障害)の状態」欄の状態像及び症状については以下の通りである。
(a) 知能・記憶・学習・注意の障害
(b) 広汎性発達障害関連症状
(c) その他の精神神経症状」
※一部抜粋になっています。

以上のように、精神障害者福祉手帳の取得者として発達障害者があげられています。
よって、選択肢②は誤りと言えます。


『③発達障害者支援センターの役割に診断は含まれない』

発達障害者支援センターは「発達障害者支援法」に定められています。
その第14条に、その役割が示されております。

「都道府県知事は、次に掲げる業務を、社会福祉法人その他の政令で定める法人であって当該業務を適正かつ確実に行うことができると認めて指定した者(以下「発達障害者支援センター」という)に行わせ、又は自ら行うことができる」
  1. 発達障害の早期発見、早期の発達支援等に資するよう、発達障害者及びその家族その他の関係者に対し、専門的に、その相談に応じ、又は情報の提供若しくは助言を行うこと
  2. 発達障害者に対し、専門的な発達支援及び就労の支援を行うこと
  3. 医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体並びにこれに従事する者に対し発達障害についての情報の提供及び研修を行うこと
  4. 発達障害に関して、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連絡調整を行うこと
  5. 前各号に掲げる業務に附帯する業務

上記に「診断」の役割は含まれておりません。

また、こちらの資料にもあります通り、発達障害者支援センターの役割として、医療機関等との連携が含まれており、専門的な診断についてはそちらでなされることになります。

よって、選択肢③の内容は正しいと判断できます。


『④発達障害者支援法では、注意欠如多動症/注意欠如多動性障害〈AD/HD〉は支援の対象に含まれない』

発達障害者支援法第2条に発達障害者の定義がなされております。
「この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」

以上より、選択肢④は誤りと判断できます。

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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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