医療観察法

2018年09月03日月曜日

正式名称は「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」です。
※「心神喪失等」には、心神喪失と心神耗弱(こうじゃく)が含まれています。



◎成立のきっかけ

この法律の成立のきっかけは、2001年に起こった池田小学校事件です。
この事件をきっかけにして2005年に本法律が施行されました。


◎責任能力とは

責任能力の有無が裁判で争点になることは有りますが、そもそも責任能力とは「是非善悪を合理的に判断したり、その判断に従って行動する能力」を指します。
責任能力を欠いた者の犯行は、罪となりません。

責任能力が無いと判断されるのは以下の場合を指します。

  1. 14歳未満の者:刑法第41条
    少年犯罪の取り扱いで重要なポイントです。
    14歳未満は刑事罰に問うことができないので、逆送(家庭裁判所から検察へ送ること)はありません。
  2. 心神喪失者:刑法第39条
    「精神障害のために善悪の判断をする能力がない状態の者」を指す。
    心神喪失者の犯罪は「罰しない」とされています。
  3. 心神耗弱者:刑法第39条第2項
    「精神障害のために善悪の判断能力が著しく低い状態の者」を指す。
    心神耗弱者の犯罪は「その刑を軽減する」とされています。


◎目的と対象行為

目的:心神喪失等の状態で6罪種を行った者に対して、必要な医療を行うことによって症状の改善を図り、事件が繰り返さない状態で社会復帰を促進することが目的。

医療観察法の対象行為はいわゆる「6罪種」に限定されている。
つまり、6罪種以外の犯罪では、医療観察法の対象となることはない。
6罪種は以下の通り。
  1. 放火とその未遂
  2. 殺人とその未遂
  3. 傷害(軽微なものは除く)
  4. 強盗とその未遂
  5. 強制性交および準強制性交とその未遂
  6. 強制わいせつ

ちなみに、強姦罪は「強制性交等罪」に変更となりました。
名称のみでなく、中身も結構変わっています。

  • 強姦罪では、男性器を女性器に挿入しなければ強姦罪とはならなかった。しかし、今回の改正で「性交等」となり、犯罪行為に該当する範囲が広がり、性交・肛門性交(アナルセックス)・口腔性交(オーラルセックス)を暴行・脅迫を用いて(もしくは13歳未満の者に対して)行えば強制性交等罪が成立する。
  • 強姦罪では3年以上の刑期だったのが、5年以上ということに厳罰化されている。
  • 非親告罪になった。強姦罪では親告罪で「被害者が言わなければ、警察は操作できない」罪だった。しかし、被害者が泣き寝入りすることが多いことが問題視され、変更となりました。ちなみに「強制わいせつ罪」も非親告罪に変更されている。
    (ちなみに公認心理師の守秘義務違反は「親告罪」です!)


◎その他の事柄

  • ①検察官が心神喪失等を理由に不起訴にした、②裁判で心神喪失等を理由に無罪になった、後に検察官が地方裁判所に申し立てを行うことで処遇が開始される。
  • 申し立てがあると、医療観察法による医療の必要性を判断するために鑑定入院が行われる。鑑定入院の期間は2か月が原則で、最長が3か月
  • 保護観察所の社会復帰調査官が、生活環境の調査を行う。
  • 申し立てを受けた地方裁判所では、裁判官1名と精神保健審判員(精神科医)1名からなる合議体を構成し、精神保健参与員(PSWなど)が加わり、生活環境の調査等を元に意見を述べ、審判を行う。
  • 指定入院機関(厚労省大臣が指定)に入院し、標準モデルでは18カ月の入院期間となる。
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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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