公認心理師 2018-82(解説に誤りがあります)

2018年09月10日月曜日

ここの解説には誤りがあります。
改めて正しい解説を別記事として作成します。

リクエストをもらったので、午後に実施した問82の解説を行います。
この問題の解説を優先的に、とご希望がある方は本ブログウェブバージョンの「コメント・質問など」からお送りください。


問82は難しい問題でした。
始めは④かと思いましたが、どうも違うかな…という感じです。


解答のポイント

「反応バイアス」とは何かを大まかで良いから知っている。
心理物理学(精神物理学)の方法とその内容を理解している。


解答のための知識


◎反応バイアスについて

反応バイアス』とは、同一回答や黙従傾向、中間選択といった、項目内容と無関係に系統的な回答がなされることを指す。
統計的な誤り、原因帰属の誤り、目撃証言の誤りには、バイアスの要因が大きく絡んでいるとされている。

本設問では、心理物理学の方法の中で、こうした反応の偏り・誤りが出ないように工夫されている方法を選ぶことが求められている。


◎心理物理学(精神物理学)について

フェヒナーは心と身体の依存関係を調べる学問(=人間には人間独自の外界刺激を受け取る法則があるのではないか?)として「精神物理学」の着想を得た。

物理的刺激を体系的に与えて、それに対する感覚の変化を観察するという方法を用いた。
フェヒナーの実験的手続きは今でも用いられており、調整法・極限法・恒常法などが有名。

なお「心理物理学」と「精神物理学」の表現については、古くからのフェヒナーやウェーバーの業績についてを「心理物理学」、フェヒナーが考案し現在でも活用されている方法論を指して「精神物理学」と呼称する向きもある。

その意味では本問は「精神物理学」と表記したほうが良いようにも思えるが、一般的にはどちらも同じものとして捉えることが多い上、ブループリントにも「心理物理学」と記載がある。


◎心理物理学の方法論について


『①極限法』
実験者が刺激を一定の段階で少しずつ変化させながらその刺激に対する被験者の判断を求め、被験者の判断が特定の変化をする点を決定するという方法を指す。
手続きとして次の刺激が予測しやすいという問題点がある。


『②調整法』
被験者自身が刺激のある属性の値を変化させて、刺激の変化を観察しながら等価判断などを行う方法。
手続きとして次の刺激が予測しやすいという問題点がある。
ミュラーリヤー錯視の実験などが代表的。


『③一対比較法』
精神物理学的測定法の一種。
被験者に刺激を2つずつ組にして提示し、感覚的印象の大小や好嫌などについて評定・選択させて刺激の主観的価値を計量化する方法。
人間の感覚的判断以外に計測法がないような分野における官能検査法の一つ。

例えば、10個の物の好悪を順番に並べるのは意外と難しい。
そうした状況において、10個の物を1対1で比較することによって、それぞれの商品の選好度の微妙な差を適切に反映した順位付けが可能になるというのが『一対比較法』である。


『④二肢強制選択法』
「二肢」が付くと調べづらくなりますが、「強制選択法」で調べるとすぐに出てきます。
実験心理学で常用される手法の一つで、選択肢の数をあらかじめ実験者が限定して問いかけ、その中から被験者に選ばせる方法のことを指す。
本問の二肢については、「左に行くか、右に行くか」といったどちらかしかない場面を用意する場合を指す。

選択肢の選択そのものは実験者が恣意的に行ったものである、ということになる。

強制選択法は、恒常法で用いられることが多い。
恒常法はあらかじめ用意しておいた数段階の刺激をランダムに提示し(二肢強制選択法では、どちらの方が~か?と問う)、被験者の判断を求める。

被験者がしっかりと弁別できれば正答率は100%で、まったく弁別できなければ正答率は50%になる。
各刺激に対する反応の分布を統計的に処理することによって、目的の測定値(弁別閾など)が算出される。


『⑤マグニチュード推定法』
スティーブンスが提唱した新精神物理学で用いられる直接的な感覚尺度構成法の一つ。
彼は直接観察者に感覚の大きさを数量的に推定させることを通して感覚量の表現が可能と考えた。

すなわち、観察者に一系列の刺激を提示し、各刺激についてその感覚的大きさを数によって直接的に推定させる方法(マグニチュード推定法)を採用した。

基準となる刺激に対する評価を単位として、観察刺激をそれに対する比率として評価させ「比率尺度」を構成する。
観察者が比率判断でき、かつそれが数で表現可能であることを前提としている。


選択肢の正誤

上記の内容から、どれが『反応バイアスを含まない測定を目指す方法』と言えるかの判断をすることになりますね。

まず『①極限法』については、実験者が刺激を操作しているという点で一考する余地がありますが、手続きとして次の刺激が予測しやすいという問題点から誤りと判断ができる。

『②調整法』については、被験者が刺激を操作・判断するという点で、バイアスがかかりやすいように思えますから、誤りだと判断しておきます。
また①と同様に、次の刺激が予測しやすいという問題もあります。

『③一対比較法』につきましては、「感覚的印象の大小や好嫌などについて評定・選択させて刺激の主観的価値を計量化する方法」ですから、誤りになると思われます。

『④二肢強制選択法』については、2択の選択をかなりの数行わせて、統計的に測定値を算出するという手法なので、バイアスが入りにくいように感じます。

ただし、こちらを正答と判断しているのは、厳密に言えば「恒常法」の内容のためです。
『④二肢強制選択法』自体は、実験者が2択に絞ってどちらかを選ばせる、という方法だと思うので、バイアスがかかるんじゃない?と言われればそんな気もします…。

そして恒常法自体、かなりの回数の施行をさせるため「疲労」というバイアスが入ってくることが考えられます。

『⑤マグニチュード推定法』については、最初の説明を読むと観察者の感覚で判断させている感じがあるので不適切かなと思いましたが、「比率尺度を構成することを前提としている」という点が重要と判断します。
よって、『⑤マグニチュード推定法』が適切だと思われます。

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2 件のコメント

  1. ブログ参考にさせていただいております。
    この問題は選択肢を選ぶのに難渋したので、ここの解説が本当に勉強になりました。
    解説達成の長い道のり応援させていただいております^^

    返信削除
    返信
    1. あたたかいコメントありがとうございます。

      この問題、私は「極限法は実験者が操作する」という中途半端な知識だけを持ち合わせて試験に臨んだため、間違ってしまいました。
      しかし、それも実力。仕方がないと思っております。

      試験の合否はともかくとしても、こうした知識の積み重ねが現場でも役立つときがくると信じて続けていこうと思います。
      また気が付いたことなどございましたら、コメントいただけると幸いです。

      削除

About Me

小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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