公認心理師 2018-69

2018年09月16日日曜日

スクールカウンセラーに相談してきた、40歳男性小学校教諭へのアプローチに関する設問です。
「まず行うべきもの」という文言が入っているのが気になるところです。



解答のポイント

事例から考えられる可能性を列挙し、いずれとも矛盾しない選択肢を見つけること。


事例から読み取れること

本問では、まずは事例内容から考え得る可能性を列挙していきたいと思います。

  1. どういった背景かはさておき、Aが抑うつ状態にある可能性。
  2. Aが授業がうまくできない、生徒とコミュニケーションが取れない、保護者からクレームがくるのは、Aの能力的な問題が大きい。
  3. Aの心理的課題、例えば中年期危機などが生じており、それによってうまく社会生活が送れなくなっている。
    または、Aはある程度うまくできているにも関わらず、自己評価の低さゆえに事例のような言動を示している。保護者からのちょっとした指摘をクレームと受け取っている可能性。

他にもあるとは思いますが、事例の内容はさまざまな見立ての可能性があることがわかります。


問題の解き方

事例における対応を問う場合、私は大きく2通りのパターンがあると思っています。

一つ目は、事例内容から「最も適切な対応を選択する」という場合です。
もっともポピュラーですし、多くの事例問題はこちらに属していると思います。

二つ目は、事例内容から考えられる可能性について「すべてカバーするような対応を選択する」という場合です。

すでに示した通り、本事例では多様な可能性が考えられます。
こうした事例問題においては、「特定の方法を選択すること自体が臨床的ではない」ということも少なくありません。

本設問は二つ目の場合を念頭に置きながら解くのが良いように考えております。


選択肢の解説

まず、問題文にある「まず行うべきもの」について考えてみます。
こうした様々な可能性が考えられる状況においては「この問題を適切に見立てるための情報をしっかりと把握する対応」が求められます

すなわち「まず行うべきもの」は、様々な可能性を考慮しつつ、見立てのための情報を集めるような対応を取っている選択肢と捉え、以下の検証を行っていきます。


『①医療機関への受診を勧める』

こちらは、Aの状態を精神医学的問題ありと見立てた場合の対応となります。
しかし、事例の内容から精神医学的問題の存在を同定できる情報は少なく、また、その他の可能性を排除する根拠もないため、選択肢①は適切ではないと判断できます。

また、精神医学的問題があったとしても、学校でのコンサルテーションですぐに受診を勧めるというのはかなり切迫している印象です。
そこまでの印象も受けません。


『②管理職と相談し、Aの業務の調整をする』

まず引っかかるポイントとして、Aに許可を取った形跡がないことが挙げられます。

また、こちらの対応もAの言ったことを全面的に現実であると断定したものになっています。
例えば、Aの自己評価の低さが背景にあれば、周囲が業務を調整することで、その傾向に拍車をかける恐れもあります。

いずれにせよ、選択肢②の内容もやや極端な印象が強く、適切な内容とは言えないと思われます。


『③Aの個人的な問題に対して定期的に面談する』

事例の内容から、Aに個人的問題があり、それが今回の学級での問題が生じていると判断するに足る情報が見当たりません

確かに、もともと能力的な問題があれば40歳になる前に、何かしらの不都合が生じただろうと考えるのが自然です。
よって、40歳という年齢による課題(例えば中年期危機)等を個人的問題と捉えて支援していくというのは可能性としては有り得ます

一方で、40歳くらいになってくるとメランコリー型うつ病の可能性も考える必要があるなど、単に個人的な問題と同定するには根拠が薄弱と言えます。
よって、選択肢③の内容も適切とは言えません。


『⑤Aの代わりに、保護者からのクレームに対応する』

何かしらの理由で、Aには対応できない・対応させられない・対応できる状態ではない、といった判断がなされた場合に取られる対応だと思われます。

しかし、現状で上記のいずれかに断定できる情報も見当たりません
よって選択肢⑤も不適切と言えます。

ちなみに、いかなる場合でも担任の代わりにSCがクレームを受けるというのも違和感がありますね。
(やらないわけではありませんが)


『④Aから授業の状況や身体症状について詳しく聴く』

こちらの選択肢では、以下のポイントを全て押さえてあると判断できます。
  • Aの「授業がうまくできない」ということが、現実にはどういうことを指しているのかを明確にしていく。
    それによって、問題の質を同定しやすくなる。
  • 食欲がないこと、睡眠が取れていないことなど、精神医学的問題が生じていないかを身体症状の内容から見立てていく。
    事例の状況を踏まえると、いきなり精神症状について聞くのではなく、話題にしやすい身体症状からテーマにしていくのがセオリーだと思われます。
    (学校という場でもありますし)
  • 「聴く」というニュアンスより、Aの個人的ケアも念頭に入れている感じを受ける。
    (これは感覚的なものかもしれませんが…)

選択肢④は、多くの可能性を含む事例の内容を、広くカバーしている内容と捉えることが可能ですから、適切な内容と考えることができます。

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About Me

小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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