公認心理師 2018-28

2018年09月23日日曜日

産業保健に関する基本的知識について問う設問です。
単純に知っているか否かを問う問題ですね。



解答のポイント

労働基準法、労働安全衛生法等の基本的事項を把握している。
過労死等(過労死等防止対策推進法)の定義を理解している。



選択肢の解説


『①事業場を経営する者を管理監督者という』

これは「労働基準法における管理監督者」と捉えて問題ないと思います。
厚生労働省が出している「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」というパンフレットで、管理監督者について示しています。

「管理監督者」は労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けません。
「管理監督者」に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断します。

具体的な条件としては以下の通りです。

  • 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること。
  • 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること
  • 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
  • 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること

すなわち、経営者と一体的な立場ではありますが、経営者=管理監督者というわけではありませんから、選択肢①は誤りと言えます。


『②労働者は自らの健康管理に関する安全配慮義務を負う』

こちらについては、以前の記事で詳しく述べておりますので、ご参考ください。

労働契約法第5条に定められているのが「労働者の安全への配慮」です。
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする


安全配慮義務とは、「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、使用者において配慮する義務」のことです。

使用者がこの義務を怠り、労働者に損害を生じさせたときは、その損害を賠償しなければなりません
この損害賠償は、労災認定による補償と並行して請求されることがあります。

通常次の3条件がある場合に該当します。
  1. 予見の可能性:損害の発生が予見出来ること。使用者が予見していなくとも、予見出来ると認定できる場合を含む。
  2. 結果回避義務を果たさなかった
  3. 因果関係があること

以上のように、安全配慮義務を負っているのは使用者であり、労働者ではありません。
よって、選択肢②は誤りと言えます。


『③ストレスチェック制度は労働者のうつ病の早期発見を目的とした取組である』

こちらについても、以前の記事で詳しく述べていますので、ご参考ください。

ストレスチェック制度は労働安全衛生法第66条10に記載があります。
「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない」

この制度は、労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに、職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止すること(一次予防)を主な目的としたものです。

上記以外で重要そうなこととしては以下の通りです。
  • 常時使用する労働者に対して、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施することが事業者の義務となる(労働者数50人未満の事業場は当分の間努力義務)。
  • 検査結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に提供することは禁止される。
  • 検査の結果、一定の要件に該当する労働者から申出があった場合、医師による面接指導を実施することが事業者の義務となる。また、申出を理由とする不利益な取扱いは禁止される。
  • 面接指導の結果に基づき、医師の意見を聞き、必要に応じ就業上の措置を講じることが事業者の義務となる。

以上のように、選択肢③の内容は誤りと言えます。


『④常時50人以上の労働者を使用する事業場は、産業医を選任しなければならない』

労働安全衛生法第13条によると、以下のように記載があります。
「事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない」

労働安全衛生法施行令第5条によると、以下のように記載があります。
「法第十三条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする

以上のように、選択肢④の内容は正しいと言えます。


『⑤過労死等防止対策推進法における「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患又は心臓疾患を原因とする死亡をいう』

同法第2条に「過労死等」の定義に関する記載があります。
「この法律において「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう」

以上のように、選択肢⑤の内容は誤りと言えます。
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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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