公認心理師 2018-27

2018年09月23日日曜日

特別支援教育に関する制度的な設問です。
適切に解いていくには複数の法律・通知を把握しておかなければならないので、結構大変な印象でした。



解答のポイント


学校教育法の特別支援に関する条項を理解していること。
文部科学省が出している各種通知を把握していること。



選択肢の解説


『①私立学校では実施されていない』

学校教育法等の一部改正により2007年度より特別支援教育が制度化され、それにより小・中学校だけではなく高校においても特別支援教育を構築し、高校生が抱える多様な困難・ニーズへの支援の具体化が早急の課題となっています。

2007年の「特別支援教育の推進について(通知)」では、特別支援教育の体制整備は国公立高校のみでなく、私立高校でも必須となっています(例えば、こちら)。

2016年に文科省から出ている「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知)」では、「通級による指導」(大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部の授業について障害に応じた特別の指導を特別な場で受ける指導形態)を、高等学校及び中等教育学校の後期課程においても実施できるようにするものとして示されています。

以上のように、私立学校、私立高校などでも特別支援教育は行われており、選択肢①の内容は誤りと言えます。


『②特別支援学校教諭免許状が必須である』

文部科学省の「特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第13回)配付資料」に「資料7:特別支援教育に係る教育職員免許状について」が記載されています。
それによると以下の通りです。

  • 特別支援学校の教員は、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校の教諭免許状のほか、特別支援学校教諭免許状を有していなければならない(法第3条第3項)
    ただし、専ら「自立教科等」の教授を担任する教員は、「自立教科等」について授与された特別支援学校教諭免許状を有していればよい(同条同項)。
  • 法第3条の規定にかかわらず、幼・小・中・高の教諭免許状を有する者は、「当分の間」特別支援学校の相当する部の教諭等となることができる(法附則第16項)
  • 特別支援学級担任や、通級による指導を担当する教員については、特別支援学校教諭免許状を有すること等の法令上の規定はない

以上より、特別支援学校に勤める場合は必要だが(これについても「当分の間」なら持っていなくても可能)、特別支援学級の担任や、通級指導については必須とはなっていません
よって、選択肢②は誤りと言えます。



『③対象となる障害種別は発達障害と知的障害である』

学校教育法第81条に以下のように記載されています。
「小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。
一 知的障害者
二 肢体不自由者
三 身体虚弱者
四 弱視者
五 難聴者
六 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの

この六の記載が、いわゆる発達障害児を対象としています。

また「特別支援教育の推進について(通知)」においては、以下のように記載されています。
特別支援教育は、これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害も含めて、特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において実施されるものである」

こちらについては、インクルーシブ教育・合理的配慮の考えが入ってきていますね。

以上より、特別支援教育の障害種別は、従来はいわゆる「5障害」(知的、聾・唖、肢体不自由、病弱)とされており、加えて発達障害児も対象となっています。
よって、選択肢③の内容は誤りと言えます。

この選択肢を出した意図としては、小中学校で勤務する者にとって馴染みがあるのが「知的学級」「情緒学級」という表現であり、それぞれが知的・発達障害の子どもたちの支援を行います。
それ以外の障害については、設備等の問題もあり小中学校での対応が難しいことが多いためです。

つまり、小中学校で勤務する者にとって、選択肢にある2障害が対象となっている場面を多く見るので、きちんと特別支援教育の対象を把握しているかを問うているのだと思います。


『④特別支援学校及び特別支援学級の2か所で行われる』

学校教育法施行規則の第140条、第141条には以下のような記載がある。

  • 第140条:通級による指導
    小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において、…該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く)のうち当該障害に応じた特別の指導を行う必要があるものを教育する場合には…特別の教育課程によることができる
  • 第141条:他校通級
    特別の教育課程による場合においては、校長は、児童又は生徒が、当該小学校、中学校、義務教育学校又は中等教育学校の設置者の定めるところにより他の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部において受けた授業を、当該小学校、中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程において受けた当該特別の教育課程に係る授業とみなすことができる


以上のように、通級指導が入ってきており、選択肢④の内容は誤りと言えます。


『⑤就学に際して専門家及び保護者の意見聴取が義務づけられている』

就学先決定のための手続きについて、今までの変遷を知っているかを問われています。

平成14年の「学校教育法施行令改正」では、以下の点が見直されました。
  1. 特別支援学校に就学すべき障害の程度(就学基準)の改正
    各障害ごとに医学や科学技術の進歩等を踏まえた内容に見直し(別紙)
  2. 認定就学制度の導入
    就学基準に該当する児童生徒で市町村の教育委員会が小・中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者(認定就学者)については、小・中学校に就学する認定就学制度を導入
  3. 専門家の意見聴取の義務付け
    障害のある児童の就学先の決定に際して、市町村の教育委員会による、教育学、医学、心理学その他の障害のある児童生徒の就学に関する専門的知識を有する者の意見の聴取を義務付け


そして平成19年の「学校教育法施行令改正」では、以下の点が示されました。
  • 保護者の意見聴取の義務付け
    障害のある児童の就学先の決定に際して、上記の専門家からの意見聴取に加え、保護者からの意見聴取の義務付けを新たに規定

以上より、選択肢⑤の内容は正しいと言えます。
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小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

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