集団過程:社会心理学

2018年08月27日月曜日

現任者講習会テキストから出やすい的な話を聞きます。
その真偽はともかく、公認心理師現任者講習テキストにある内容をきちんとチェックしておくことは大切ですね。

社会心理学は自分の体験と突き合わせながら理解しやすいのですが、それ故にわかった気になってしまうということが起こりやすいように思います。
ここでは「集団過程」についてまとめていきます。


【社会的勢力】

◎他者の行動・態度・感情を、影響者が臨むように変化させる能力を指します。

5種の社会的勢力

◎French&Ravenは5種類の社会的勢力を挙げています。
①報酬勢力:欲しいものを与える力があること。欲しがっているほど、他からもらえないほど高まります。
②強制勢力:回避したいと思うものを、こちらがコントロールできること。
③正当勢力:受け手が社会的規範を内在化していることによる。「先生には従う」という規範を内在化していれば、先生は先生であることによって勢力を持つ。
④準拠勢力:受け手が送り手と同一視したい、理想化していることによるもの。好きな芸能人のやっていることを真似する、など。
⑤専門勢力:送り手が専門知識・技能をもっていることによるもの。若い公認心理師だけど、きちんと専門性を持っていると感じたら態度を変える、など。

単純に言うと「どのような要因を送り手が持つと、相手に影響を与えやすいか」ということになるでしょうか。


【社会的インパクト理論】

◎Latan,B.が、社会的促進や社会的手抜きといった広範な現象を説明しようとして提唱した理論。他者の存在が、個人の遂行行動に与える影響を定式化しました。

◎個人が受ける「影響の強さ」(この理論では「インパクト」と呼ぶ)は…
 「他者の強度:S」→地位が高い、社会的勢力
 「他者との直接性:I」→説得する人との空間的、時間的な接近度
 「説得する人の数:N」→そのまま人数
  の3要素の関数である、と考えます。

◎この理論によると1人の影響力の及ぶ限界は50人くらいだとされている(SとIを固定した場合、です)。
よって、SNSのフォロワーが50人くらいだと影響力大だが、100人とか200人を超えてしまうと影響力がなくなってしまうということですね。
逆も然りで、フォロワーが100人いるような人に対して、影響を与えることも難しいということになります。

◎この理論によって、人数が多くなるほど責任が分散して手を抜く(社会的手抜き)という現象の説明を行っています。


【集団意思決定】

ある集団の均質性が高いと(みんな同じような水準の人たちだと)、以下のようなことが生じやすくなるとされています。
(余談ですが、臨床心理士資格試験の過去問で、グループワークを行う場合、色んな水準の人がいた方が良いとされていますね)

◎リスキー・シフト:個人で単独に決定を行った場合よりも、集団討議を経た決定の方が、危険性が高く勇ましい(リスキー)決定になること。

◎コーシャス・シフト:逆に、より慎重な(コーシャス)決定がなされることを指す。

これらの現象は、個々人の元々の傾向が集団全体としてより強められる「集団極性化」の一つと考えられています。
集団極性化が生じる要因としては「情報的影響」と「社会的比較」があります。
情報的影響:自分が思いつかなかった意見を知ることができ、より意見が強まる。
社会的比較:人が集団内で、自分を社会的に望ましい存在に見せようとすることで意見が強まる。

◎集団的浅慮(グループ・シンク):集団での方が愚かな決定を下しやすいとされる。
元々、誤った政策決定につながる集団の心理的傾向をモデル化したものです。
現任者講習テキストには「社会的地位が高い成員が」とありますが、この概念を提唱したJanisは「団結力のある集団が、構造的な組織上の欠陥を抱え、刺激の多い状況に置かれる」ことが集団的浅慮が生じやすい条件としています。
研究対象としている現象(政策失敗)の母体(政府)が、社会的地位が高いわけですから、間違ってないかもしれませんが、定義上正しいかどうかは判断つきにくいところです。

◎社会的参照:他者の様子・顔色などを参照にして自分の態度を決めることを指す。

【同調行動】

◎Aschの同調理論:長さが同じ線はどれだ?と問う研究。みんなが明らかに間違っているやつを指したら、間違っていると思っても、同じ線を指定してしまう。
(「あっし(Asch)もそれで、と同調行動」と覚えましょう)
ちなみに、一人でも違う線を指す人がいれば、ぐっと同調頻度は下がります。

◎私的同調と公的同調:集団に心から同調している場合は前者、反対しているけど表面上合わせているのが後者になります。
AllenやFestingerが、これらについて指摘していますね。


【自己カテゴリー化理論】

◎Turnerが提唱した理論で、集団の成員として自己のアイデンティティを捉え、その集団内の規範を自己の中に取り入れることを概念化したもの。

◎外集団と自己との違いを際立たせ、内集団と自己との類似性を明確にする集団が、社会的アイデンティティが活性化しやすい集団とされている。
Share /

0 件のコメント

コメントを投稿

About Me

小学校~大学までの教育領域で臨床活動をしています。また10年以上、臨床心理士資格試験対策の勉強会に携わってきました。
このブログでは公認心理師および臨床心理士の資格試験に向けた内容をアップしていきます。時々、コラムや読書録なども。

Followers

CONTACT

名前

メール *

メッセージ *

© 公認心理師・臨床心理士の勉強会
designed by templatesZoo